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by cafegent
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写真家、稲越功一さんの「芭蕉景」。是非、観て欲しい。

写真家の稲越功一さんがお亡くなりになった。
享年68歳とのことだが、新聞で訃報を知って驚いた。銀座で開催中の写真展「芭蕉景」を先月拝見したばかりだったからだ。

最近もシルクロードなどを撮影し、独特な詩的風景写真が有名で、80年代には「男の肖像」で講談社出版文化賞を受賞しており、その頃から役者や文化人などの写真が評判を呼んだ。僕が広告の仕事を中心に手がけていた頃、写真の依頼で稲越さんの事務所を訪ねると、必ず儀式の様に先ず小さなグラスを用意してシェリー酒を注いでくれた。まだ日が暮れる前の時間なのだが、酒で乾杯をし、そこから打ち解けてきたところで仕事の話に入るのだった。
その仕草からもてなしまで、もう全てが格好良いお方だった。
真っ白なポロシャツ姿で、テニスの帰りだろう時にもお会いしたが、渋かったナぁ。あの頃だって、もう僕の歳を上回っていただろうが、僕もあんな素敵なオヤジになりたいナと密かに憧れたものだ。

そして、いつだったか一枚の写真を戴いた。まだSMAPが6人組だった頃の彼らの肖像写真だから、もう10数年以上前だろうか。稲越さんはその写真に赤鉛筆でサインをしてくれて、僕は今でも大切にしている。

今一度、「芭蕉景」を観に行こう。芭蕉の歩いた奥の細道に長年向き合ってきた稲越功一さんの写真世界が、きっと何かを語りかけてくれるかもしれない。

それにしても、ここ最近悲しい知らせが多すぎる。それだけ、僕らが歳をとってきただけなのかもしれないが、背伸びをして、彼ら背中を追いかけて来た若造にとってみれば、無性に悲しいのだ。あぁ、久しぶりに「春愁」と云う言葉が浮かぶ。手吹きのグラスにシェリー酒を注いで、黙祷しよう。  合掌。
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by cafegent | 2009-03-02 19:08 | ひとりごと