東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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深夜酒場で飯を食い、『深夜食堂』にハマる。

居酒屋、スナック、バーなどがひしめく飲み屋街にはいろんな人種が出入りしている。名前も職業も知らない彼らと酒場を通じて一晩の酒をご一緒する機会が多々有る。酒の杯が重なるにつれて、互いの歩んで来た道のホンのごく僅かを語り合った時などは、随分と酒が美味いと感じるものだ。
そして、いつまた会えるのか分からぬのに、彼らが僕の居る店の扉を開けるのを待っているようになるのだ。

目黒から少し離れた途或る駅近くの古い飲み屋街に、夜遅くから開く店が在る。外から見れば場末のスナックなのだが、料理上手のママが一人でカウンターの中に立ち、酒の肴や美味い料理をチャッチャカと手際よく作ってくれるのだ。

緑色の看板が灯る時23時頃は、仕事帰りの連中や出勤前の同業の方々で賑わいを見せ、深夜を過ぎると麻雀を終えた奴ら、水商売の連中や役者、踊り子なんかが腹を空かせてやってくる。此の店は毎朝8時過ぎまでいろんな連中が訪れるのだ。
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壁にはママ自慢の料理が沢山書かれているが、メニューに無くたって、材料が有るモンなら、何でも作ってくれるのが嬉しいのだ。
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終電が過ぎて、ゆっくりとした時間を過ごしたい時、僕は此処のドアを開ける。棚に置いた芋焼酎のボトルをカウンターに移せば、ママは黙ってグラスと白湯の入った魔法瓶を出してくれるのだ。後はお湯割りを呑みながら、肴をつまみ、時々カレーライスや餃子などを戴くことにしている。
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先日はカウンターの隣の席に、テレビで良く知るる役者が呑んで居た。僕より随分と若いのだが、何故かずっと年上に思えてしまうから妙だ。この役者さんは、以前から名バイプレイヤーとして人気があるが、日テレ土曜深夜の連ドラでは、見事に主役のヤブを演じていた。あのドラマは、僕もずっと観てしまったナ。

また、深夜には時折、昔『くびれ女王』で野郎どもを立たせてくれた女優サンも顔を出す。壁には彼女のカレンダーも貼ってあり、相変わらずのくびれ具合が輝いている。

仕事も終わり、付き合いの飯も済み、酒場の徘徊も終わる頃、僕はこうして、此の店の扉を開けるのだ。

ここ数年、とんと漫画を読まなくなったのだが、時々ハマる漫画に出会うことがある。漫画アクションとビッグコミックスピリッツなどの漫画週刊誌を買わなくなってからと云うもの誰かに教えてもらわない限り、もう訳が分からなくなってくる。それだけ、新しい作家や漫画が登場しているのだから仕方の無いハナシなのだが。

そして、先日神保町の「兵六」で隣に居合わせた常連キューちゃんから「コレ、面白いよ!」って差し出されたのが『深夜食堂』だった。
その場で、中の一話「ソース焼きそば」を読んだら、もう目がうるうるとしてしまったのだ。

翌日、第1巻から3巻までをアマゾンで購入したのだが、本が届く前に近所のブックオフにて第一巻が350円で出ていたので、我慢出来ず買ってしまった。で、週末はずっと一人しみじみと目に涙を浮かべながら読みふけった訳だ。元来、泪もろい僕は絶対に人前じゃ、こう云う泣ける本は読めない。感動モノも悲しいモノも単純なハナシだって泣けてしまう。昔、映画『がんばれベアーズ』を観た時も号泣してしまったしナ。
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この漫画を描いている安倍夜郎さんの作品は以前『山本耳かき店』と云うのを読んだ事があったが、その時も随分と素晴らしい漫画家が登場したナ、って感じたのだった。

この『深夜食堂』は、それ以来に読んだ作品だった。安倍さんは、僕と同世代みたいだし、きっと「ガロ」なんか読んでいたのだろうか。そんな質感の絵とストーリーだから、総てがしっくりと来る作品なのだ。

今回も全編、ほろりとさせられ、新宿のとある食堂で出会う人たちの歓喜と悲哀が切ないほど伝わってくるのだ。で、読み終わると登場した品を無償に真似をしたくなるのでアル。

この食堂に出入りする人たちはヤクザ、噺家、役者、ホステス、女子プロレスラー、女デカ、オカマ、OL、学生、サラリーマン等々、実に様々なのだが、彼らがどの話でも微妙に絡み合い、再び読み返したくなる。そして、どの話も東京に暮らしていると全部「あり得る」ハナシなのだから、たまらない。彼らの顔を見ていると、何故か「兵六」のコの字カウンターを取り囲む面々の顔とダブってくるのだ。皆、それぞれの人生が顔の皺に刻まれているのだから。
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そして、無償にタコの形の赤いウィンナーソーセージ炒めでビールが飲みたくなった。今夜は、あの店で、ママに作ってもらおうかナ。

「深夜食堂」紹介のサイト
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by cafegent | 2009-03-17 21:18 | ひとりごと