東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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高倉健に酔いしれて、夕暮れ酒でまた酔った。

先週末、国書刊行会から横尾忠則の幻の写真集『憂魂、高倉健』が復刻された。

1971年に制作されながら、実際に書店販売されず、古書マニアの間でしか目にする事の出来なかった写真集だ。東映のスチールカメラマン、遠藤努撮影の俳優・高倉健の映画スチール写真に加え、森山大道、細江英公、立木義浩などの巨匠写真家の作品を加え横尾忠則のアートワークにより、見事にひとつのパッケージアートとして完成されている。
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グラフィックデザイナーとして異彩を放っていた頃の横尾忠則氏は、様々なポスターや広告アートに於いて「ヤクザ映画」や「高倉健」をモティーフとして取り入れた。そして、映画の世界から離れた実像の「高倉健」と云う人に馬鹿惚れし、熱烈なファンとして、この写真集を企画したらしい。それは、正に「高倉健さんへの恋文のようなもの」だったそうだ。

昔の「あとがき」によれば、“〈高倉健〉やヤクザ映画について、難解な考察をする批評家やジャーナリストの為の本ではないのかもしれない。真からの〈高倉健〉のファンであるヤクザ、バーテン、工員、ダンプの運転者、ホステス、トルコ嬢もろもろの深夜興業に集まる真の大衆のための本である”と記されていた。
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370ページと膨大、圧巻な写真集は、健サンの魅力は然ることながら、横尾忠則作品集として素晴らしい内容だ。
15,000円(税別)はチト懐がキビシかったが、速攻で買ってしまった。
      ◇     ◇     ◇
浅草雷門の居酒屋『簑笠庵』は三社祭の期間中多いに賑わいを見せたらしい。この界隈にこれだけの人が居たのかと云う程の人の海だったそうだ。今年は宮出しも再開し、三基の神輿のひとつも店の前を通り、各地区の神輿も『簑笠庵』の前を通り、大変壮観だったそうだ。
酒の友ハッシーは三日間、此処に通い詰め飲んだくれたそうだし、常連ミヤっちは、祭りの為に髪を短く整え、しっかりと神輿を担いだ。いなせだね。今回は帰省の為、行けなかったが来年は是非参加したい。

そんな『簑笠庵』の週末、酒友荒木サンが誕生日を迎えた。そして一日違いで翌日誕生日を迎える酒仲間も登場し、愉しい酒の宴となった。
それにしても皆五十過ぎてるってのに、子供のように無邪気だったナ。

銭湯帰りの僕は、先ずビールで喉を潤し、お馴染みのトマトと玉葱のサラダを戴く。小腹が空いたところで、ご主人山本さんがメバルの煮付けを造ってくれた。
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身がプリプリとして思わず顔がほころぶ美味さだ。ペロリと平らげてしまった。

その煮汁をご飯にかけてくれて、卵と一緒に出してくれた。
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卵を溶いて、煮汁ご飯にかければ、究極の卵かけご飯の出来上がりだ。むふふ、の美味さだヨ。骨だけになった煮付けの皿にお湯を差してもらい、グビっと飲み干すのだ。
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大皿を口に当てる姿はまるで相撲部屋の宴のようだが、これまた結構なお味だった。煮付けを食べて、卵掛けご飯で煮汁を飲む。この展開は、もう此処に来る愉しみのひとつと化しているよナ。

酒を薩摩富士の兵六呑みに切り替えて、カワハギの肝叩きを戴いた。
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これは良いアテだ。箸休めに戴いたぬか漬けでは、アスパラガスが出て来た。
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初めて食べたが案外ハマる味だった。
      ◇     ◇     ◇
さて、今週は月曜、火曜と神保町『兵六』にてスタートだった。日没が随分と遅くなったので、夕方5時過ぎはまだ明るい。エアコンの無い此の店では、今の時期が一番居心地が良いかな。
昔から江戸っ子は熱い風呂じゃなきゃ駄目だ、なんて事を云うが、此処でも頑固爺ィたちは夏の暑い時期になっても、風通しの悪い一番奥の席に着き、無双のお湯割りを呑む。当然ながら、額からは汗が滴り落ち、頭と帽子の間には手拭いを乗っけてる。

月曜日は、『簑笠庵』のお二人も見えて、愉しい酒になった。
昨日も夕方5時に打ち合わせを終え、真っ直ぐ神保町へと足を運んだ。実は三田で都営浅草線に乗り換え、立石へと向かう予定だったのだが、本に夢中になって降り忘れ、そのまま神保町まで来たって訳だ。

開け放たれた縄のれんの向こうから心地良い風がコの字カウンターをぐるり駆け抜け、随分と酒を美味しくさせてくれた。
小一時間もすれば、すぐ満席となってしまうのだが、口開け間近のまだ客が少ない、ゆったりとした時は格別だナ。

火曜日は初代店主の奥様が店に来るので、古くからの馴染みのお客さんが集まる事が多い。御歳97歳と大変ご高齢ながら、電車に乗って店に来て、厨房に立つのだから大したものだ。元気な初代の女将さんに会いに来るってのも、早い時間此処に来る愉しみでもある。
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日が暮れて、瓶ビールから薩摩無双のお湯割りに切り替える頃には、いつもの面々が集いだした。

梅雨入り前のほんの少し爽やかな時期、明るいうちから呑む酒は贅沢の極みかな。
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by cafegent | 2009-06-03 16:13 | ひとりごと