東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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梅雨の時季、下目黒「いずみ」はどんな魚が待ってるかナ。

家の朝顔が咲いた。
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蔓になって伸びるかと思ったら、地べたを這うように育ってしまった。ハテ。

今年に入ってから、中々時間が合わず、ご無沙汰気味の『寿司いずみ』へとお邪魔した。
目黒駅前からタクシーに乗り込み、油面の交差点を左折し細い道を住宅街のほうへズンズンと進んで行く。初めて訪れる方ならば、本当にこんな所に在るのだろうか、ときっと不安がるだろう。そんな下目黒の住宅地に本当にひっそりと佇んでいるのだ。

そして、毎度の事ながら、この日も準備中の札が出ていた。小さい店なので、予約だけで一杯となり、ふらりと寄っても入れないので、かえってお客さんにご迷惑をかけるってんで、暖簾を出さないのだ。ちょうど一年前、此処『いずみ』の33周年記念パーティが催されたのだが、なんと33年間、一度も暖簾を出した事がないと云う迷店なのだ。

久しぶりの訪問となったが、親方はかなり元気そうだった。先客の席で相変わらずの駄洒落を連発していた。でも、これが時折無償に聴きたくなるんだナ。
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先ずは、サッポロ赤星で梅雨払い。
青森のアワビ肝の茶こごりから。
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上にはお馴染みアワビを煮詰めて作ったツメが塗ってある。ほんのりとお茶の香りを感じつつ、海藻をたっぷりと食べて育ったアワビの肝は濃厚過ぎず最初に相応しいの一品。

続いて、この時季ならではのアジの酢なめろう。
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目にも鮮やかな紫陽花仕立てである。叩いた鯵に加茂茄子、赤ピーマンを加え、冷たい甘味の酢に浮かせてある。青唐辛子がピリリと効いて、酒に合う。

板場に立つキンちゃんから、お馴染み蝦蛄の出し巻き卵を戴いた。
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これでもか、ってくらいシャコが入っており、酒のアテの卵焼きだ。
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そして、これまた今ならではの、パッションフルーツの果汁で和えたぬたが登場。
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黄ニラの下には貝がたっぷり。

ここで、お刺身用の玉葱と和芥子醤油が出て来たのだが、今回は北海道から届いたアイヌネギ、いわゆる行者ニンニクを使った新作醤油になっていた。
これで戴くのは、伊豆は伊東で穫れたイサキ、今が旬のカツオ、そして九絵の刺身だ。
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どれも素晴らしい味だが、その中でもカツオはとびきり美味かったナ。

酒は信州、大澤酒造の「明鏡止水」を戴いた。
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今回はいつものとはチト違う、「M08」なる2008年に仕込んだ酒を呑ませてもらった。可成りキリっとして、うぅ、うめえ。刺身に合うなぁ。

そこへ、青森県九六地区、深浦港で穫れたアワビの刺身だ。
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親方曰く、此処の地域では禁漁の時期が毎年決まっている訳ではなく、一年間ずっと禁漁の年もあるそうだ。今年は解禁になったので、この見事なアワビが手に入ったそうである。これは、何もつけずそのまま鮑本来の味を楽しむ方が良い。口一杯に磯の香りが広がってきた。

お次ぎは、アワビのかいとろだ。
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先ほど食べたアワビをおろし金で下ろし、山芋とコンソメでのばし、じゅんさいを和える。いつもだと、昆布の出汁と山芋でのばすのだが、さすが毎回新たな味を求める親方の事、コンソメを使うたぁ恐れ入った。
最後はズズズゥっとすすって戴いたが、さっぱりと箸休め的だが、酒にもピッタリだった。この日のアワビ攻撃は凄いなぁ。

そこへ、今度はデッカい貝の器が登場だ。
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奄美大島で穫れたシャコ貝だそうだ。昨年は同じ奄美でも夜光貝を白ワインとオリーブ油、日本酒で炊いた料理を戴いたが、こちらも負けず劣らずデカイ貝殻だネ。シャコ貝をソテツで作った味噌と牛蒡(ゴボウ)で煮た料理でアル。ワインも入っているのだろうか、ほのかな甘みと酸味が絡まってとても美味しかった。シャコ貝そのものの味よりも、このソテツ味噌の味を貝の歯ごたえで堪能する一品だな。貝を食べ終えた所へ、キンちゃんに鮓飯をひと握り入れてもらう。

酒は秋田山本酒造の純米吟醸「山本」だ。
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なんだか、直球なネーミングだがそれだけ酒蔵の自信が溢れているのだろうネ。

さて、今回は痛風真っしぐらのからすみ、このわた系で呑むのは無しにして、このまま握りにしてもらうことにした。

先ずは、鱚の酢橘洗い。
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キスも今が美味しい時季だネ。
四万十川の稚鮎。
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鮓飯との間には稚魚が食べている四万十川の川海苔が入っているのだ。毎年、今頃のこの小さな鮎の握りが食べたくなるので、此処に来てしまうのだナ。もっと大きくなると今度は鮎の背越しも美味いし、そう、稚鮎の肝のうるかも酒に良く合う珍味だ。
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鯵の赤酢握りと白酢握りを続けて戴いた。

ここで箸休め、マスクメロンの漬け物だ。
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小さなうちのメロンを収穫して漬け込むのだが、さっぱりとして格別な味だ。

続いて、とり貝、胡麻フグの白子の炙り。
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このフグの白子が絶品だった。

酒は越後の「越の魂」に。これも、此処ではお馴染みの酒だ。握りに合うのだネ。

今度は、山椒の香りが効いたカマスの握りだ。へぇ、こりゃ初めて食べたかナ。美味い。
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なめこの赤出しを戴いて、ホッと一息。昨年八月に仕込んだ赤味噌だそうだ。(おっと、此処でカメラのバッテリーが無くなった。トホホ。)

さぁここで、お待ちかね金目鯛のヅケの登場だ。
親方の叔父さんが穫った金目だそうだ。ヅケは、目の前で仕込みながらも、暫くの間味が浸かるのを待ってなくちゃならんから、早く出てこないかナって気ばかり焦るのだ。で、続けて、紀州勝浦の港に揚がった本マグロのヅケである。こんな美味いヅケを食べると、マグロは赤身に限るなぁと思ってしまうのだ。むふふ、な味わい。

ヅケ三連発目は、脂の乗った瀬付きのアジだ。回遊ものとまた違って、こちらも美味い。

あぁ、そろそろ満腹になってきた。この日は黒ムツじゃなく、ムツがあると云うので、握ってもらう。頭と肝で出汁をとったツメを塗って戴いた。酒に合う味だった。

アオリイカも甘くて美味い。夏真っ盛りになれば、今度は墨イカが美味い時季になるね。もうこれ以上食べると喰い過ぎかナ、と思いつつ最後の〆は煮穴子を戴いた。この穴子にも穴子の煮汁で作ったツメを塗る。「いずみ」では、穴子は穴子、蛤は蛤、シャコはシャコ、アワビはアワビと総て塗るツメが違うのだ。全部それぞれの出汁で造り続けているので、どの握りも絶品だ。

煮穴子や煮蛤なんぞは、握りを手のひらに乗っけてくれた途端、口に運ぶのだが、手に垂れたツメダレまで舐めてしまう程の美味さなのだ。

良い加減に酔っぱらってくると、親方の駄洒落も何処吹く風と、今度はこっちが訳の判らん話を繰り返す。可成り酔ってるのだナ、僕は。

良い気持ちで店を出て、ふらりふらりと歩く事にした。さっきまでの様子を思い出してたら、三遊亭金馬師匠の十八番「居酒屋」って落語を思い出して笑ってしまった。

この季節、夜風も心地良く、酔い覚ましと腹ごなしに丁度良く歩ける。
『寿司いずみ』の夏は、冬瓜のスープで本格的にスタートだ。北海道からもエゾバフンウニ、利尻のムラサキウニが入ってくるだろうね。奄美の白髭ウニもだ。このウニ三連発も素晴らしい。そして、ジンタン(鯵の子供)やシンコも夏ならではだナ。

さて、次はいつ頃伺おうか。此処を訪れる度に、日本は四季が有って嬉しいナって思うのだ。
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by cafegent | 2009-06-19 14:11 | 食べる