東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31

ガード下ミルクワンタン、そして夏のおでんに舌鼓。

先週、展覧会を拝見した熊田千佳慕画伯が個展開催の翌日にお亡くなりになられた。まだまだ元気にご活躍の事と思っていただけにとても悲しいなぁ。

暑い夏が続いているネ。日が暮れるのをまって有楽町の『ミルクワンタン鳥藤』にお邪魔した。有楽町駅と東京駅を繋ぐガード下を抜けると昭和の臭いが残っているような路地にひっそりと佇む店がある。

カウンターに座り、先ずは冷たいビールを戴く。此処は酒さえ頼めば、後は黙って酒の肴が出てくるのだ。
b0019140_16162599.jpg
最初に戴いたのは、刺身こんにゃくの様な「いぎす」だ。瀬戸内海地方の郷土料理だそうだが、冷たくて夏には丁度良いネ。

鶏スープと焼き鯖が出て、酒を焼酎の水割りにした。カウンターの向こうから女将さんがニコっと笑いながら、「ウチは氷がとっても美味しいのヨ。」とぶっかき氷を出してくれる。この氷がホント美味しかった。
b0019140_1617278.jpg
焼酎がとても滑らかになるので、クイクイとススんでしまうのだ。

続いて煮込みが登場。
b0019140_1617455.jpg
この煮込みも此処の自慢で、独特の味わいなのだ。
b0019140_16422310.jpg
焼き鳥にはイナゴが付け合わせで付いて来た。そして、納豆チャーハンが出て来た。
b0019140_1617544.jpg
このなんの脈略も無いメニュー構成には驚かされるなぁ。でも、全体的にヘルシーな料理ばかりなのだナ。

最後の〆は、おまちかねミルクワンタンでアル。
b0019140_16181831.jpg
ワンタンを牛乳で煮て、先ほどの煮込みをちょいと加えるのだ。和製クリームシチューってな具合で僕は好きなのだ。
b0019140_16183646.jpg
此処は、たっぷり飲んで、腹一杯になっても3,4千円と懐にも大変優しい店なのだ。
        ◇       ◇       ◇
土曜日は相変わらず朝から京成立石へ。『宇ち多”』も夏休みを終えて、いつもの面々が集ってる。
b0019140_16204668.jpg
しっかりホネも戴き、ビールをチェイサーに梅割りを呑んだ。
程よく酔ってきたところで、口開け組は帰ろうか。時計を見ればまだ11時半だった。
b0019140_16201296.jpg
地元の重鎮イシさんもちょうど僕と入れ替わりの頃にやってきた。

宇ち多”を出て、電車で曳舟に行く。
曳舟から向島へ行く界隈は、永井荷風の「墨東奇譚」でお馴染みの花街だ。
b0019140_16373942.jpg
此処、料亭『水の登(と)』も随分前に来たなぁ。
ぶらり散歩をしながら、長命寺の桜もちを食べに向島へ。
b0019140_16212976.jpg
隅田川土手の桜の葉を塩漬けにして作る桜もちの良い香り。
b0019140_16214778.jpg
此処の桜もちは、ひとつの餅に桜の葉を三枚も使っている。贅沢だネ。縁台に腰掛けて、お茶と一緒に味わうひとときがたまらないのだ。

僕は、葉の一枚残しで食べるのが好きだナ。全部葉をとって食べる人もいれば、三枚全部つけたまま食べる人もいる。皆、それぞれ好みが違っていて面白い。

お茶ですっかり酔いもさめてきた。来た道を戻り、老舗の足袋屋さん『向島めうがや』へ。
b0019140_16221392.jpg
「めうがや」と書いて、みょうがやと読む。

此処は、向島芸者の方たちや噺家さん、踊りやお茶席用の足袋を専門に作る誂え足袋の老舗だ。足のサイズを計り、柄の見本帳を見ながら、好みの柄足袋を作ってもらえるのだ。一足一足丁寧に生地を裁断し、ドイツ製のミシンで縫製していくのだが、二十と云う工程を経て作られるので履き心地抜群なのだナ。

ご主人の石井さんにサイズを診てもらっていると、その横で息子さんがザクザクっと足袋の生地を切っていた。職人の手仕事ってのは、眺めているだけでワクワクしてくるのだ。
b0019140_1623993.jpg
家の近くの呉服屋さんだと白足袋しか置いていないし、値段も変わらないのだから、ジャストフィットの足袋を好きな柄で楽しみたいのなら、絶対に『向島めうがや』さんまで来た方が良いネ。

足袋の金具のこはぜに名前を入れてくれるのも嬉しい計らいなのだナ。
b0019140_16223394.jpg
足袋を買ったら、急に新しい着物が欲しくなってしまった。そんな訳で浅草へ出て、『男きもの ちどり屋』さんへ。普段着で着れる木綿の長着にしようと相談したら、片貝木綿を勧めて頂いた。

新潟の小千谷市片貝の『紺仁』さんで織られている木綿生地だから、片貝木綿と云うのだネ。早く着たいものだ。
        ◇       ◇       ◇
今年の夏は色々な『怪談』を拝見した。一龍斎貞水の立体怪談、仲村トオル主演の舞台『奇ッ怪』、そして先日下北沢の本多劇場にて『志の輔らくご 牡丹灯籠2009』を観ることが出来た。
b0019140_16241348.jpg
三遊亭圓朝が書いた大作の怪談噺『牡丹灯籠』は、数十日に渡り語られた長編の人情噺なのだが、志の輔師匠はその長〜い噺をギュッと凝縮し、前半で人間関係の相関図を元に解説してくれて、後半でじっくりと落語として演じてくれた。
b0019140_16243834.jpg
僕が観たのは初日だったのだが、あれだけの長い噺を一週間続けるのだから、相当の体力が要るだろうなぁ。東京フォーラムで観た独演会も面白かったが、志の輔師匠の牡丹灯籠は毎年観たい夏の恒例にしたいと思った。

怪談噺の後は、酒とおでんの『てんまみち』へ。

此処は僕が下北沢でバーを営んでた頃に出来た酒処だから、もう20年近くも営業しているのだ。店に着くまでは、ひょっとしたら無くなっているんじゃないかナ、と思って不安げに歩いていたのだが、明かりが灯っていてホッとした。
b0019140_16251736.jpg
たっぷりと出汁の滲みた大根は相変わらず美味かった。此処のおでんはそれぞれに味を変えてあり、牛スジはポン酢味だ。
b0019140_16264459.jpg
厚揚げ、豆腐、ちくわぶと戴いた。
b0019140_16262030.jpg
おでんの他にも酒のアテが豊富に揃っている。
b0019140_16282872.jpg
このしめ鯖の炙りも実に美味い。

酒は純米吟醸『ゆきの美人』なんて粋な名前の冷酒を戴いた。
b0019140_16255114.jpg
程よく酔って、腹もふくれた。

『てんまみち』を出て、茶沢通りを三軒茶屋方面へ。
僕が1987年に始めたバー『アルゴンキン』の扉を開くと、店の中は変わらぬ雰囲気を漂わせていた。しばらくぶりの友人にも会えたし、たまに下北沢で呑むのも良いナ。
by cafegent | 2009-08-24 16:49 | ひとりごと