東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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昭和の名残が消えた。そして、昭和のモダニズムに触れた。

昨日は台風が来たので、酒場に行かず「深夜食堂」の第4巻を買って早々に家路に着いた。殆ど、ビッグコミックオリジナルで毎週読んでいるのだが、矢張りまとめて一気に読むのも愉しいのだナ。何度読んでも、たまに読み返したくなるのだが、
今回も第48夜の「やっこ」にまたホロリと来てしまった。
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この漫画、今年の秋にTBS系で深夜ドラマになるそうだが、主人役は小林薫さんになった。夜の酒場好きの薫さんにピッタシの役どころだが、あの短編漫画の味わいとセンスをどこまでドラマ化出来るのか演出と脚本に期待が大きいゾ。

深夜食堂にハマりつつ、夜のデザートを楽しんだ。
「山田屋まんじゅう」で有名な松山市の『山田屋』が作る「名水しるこ きら」でアル。
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タベアルキストでお馴染みマッキー牧元さんが紹介していて、どうしてもこの夏に食べたくなったのでお取り寄せをしてしまったのだ。

マッキーさん曰く、「つめあま」なのだそうだ。最初、何か詰めが甘いのかとばかり思っていたら、「冷たくて甘いモノ」なのであった。いや参りました。

冷蔵庫で冷やしそのまま器に移すだけで、絶品の冷たいお汁粉の出来上がり。北海道十勝産の小豆だけを使用し、石鎚山の湧き水で仕上げた汁粉は、甘過ぎず舌触りもさらり。岡山の銘菓「大手饅頭」の餡ととても良く似た味で、夏に欠かせないおやつになりそうだナ。
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冷たいお汁粉なので、オールドバカラなんぞに盛ってみましたぞい。

昨日の日記で、阿波踊りを観て今年の夏も終わったかナ、と一句詠んでみたのだが、友人から先週の木曜日の「天声人語」にそんな言葉が出ていたよ、と聞いたので、新聞を探してみた。

その中で、“「秋」という言葉は、実り豊なイメージの奥に凋落(ちょうらく)の響きを宿す。「秋扇(しゅうせん)」といえば、夏には重宝された扇が、秋風とともに打ち捨てられて顧みれなくなる悲哀を言う。
その、人心の離れた秋の扇さながらに、自民党の苦戦は甚だしい。”と記されていた。

数日後の総選挙の結果は、正に下馬評通りの「民主大勝」だったネ。
僕は、この「秋扇(しゅうせん)」と云う言葉を今まで知らなかった。
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先日、京都『宮脇賣扇庵』で見つけた手描きの鈴虫の絵柄の扇子を眺めながら、この夏の事を振り返っていた時に浮かんだ句だった。

さて、高円寺の阿波踊りは今年も大変な盛り上がりを見せたが、その一方で8月の終わりに荻窪の名焼き鳥店『鳥もと』が、あの場所から消えることになったのだ。

駅北口を出ると真っ先に目に飛び込んできた、あの裸電球の下で賑わう人だかりと串の山。東京都の駅前広場整備事業に伴い、近くのビルの中に入るそうだが、あの昭和の臭いプンプンの立ち飲み酒場の面影は消えてしまうのだろうネ。
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約20年もの間、土地を購入した国との訴訟が続き、軒を連ねたラーメン屋やまんじゅう屋なども一緒に閉店したそうだ。
昼過ぎから、煙モクモクと立ちこめる焼き場の前で呑むビールと鳥もつは美味かったナァ。

再開発による銀座の酒場『卯波』や洋食『みかわや本店』の閉店、池袋『人世横丁』や新宿『コマ劇場』の閉館など、次々と昭和の名残が消えて行く。寂しいネ、残念だネ。

冬を詠んだものだが、『卯波』の女将で俳人、鈴木真砂女の句が思い出される。

    降る雪やここに酒売る灯をかかげ

         ◇        ◇        ◇
さて、先ほど汐留まで出掛けたので、パナソニック電工が運営している汐留ミュージアムへ行って来た。

『建築家 坂倉準三展 モダニズムを住む』が開催されていたので、これは行かなくちゃネ。
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日本のモダニズム建築のパイオニアとして活躍した坂倉準三氏は、1930年代パリで巨匠ル・コルビュジェのアトリエで近代建築を学んできた。

僕が坂倉建築に興味を抱いたのは、今から約30年前の事だ。六本木にアクシスビルが出来て、ポストモダンが台頭し出した頃、「時代は戻る」じゃないが、コルビュジェ・ブームも到来した。そして、防衛庁裏に在った坂倉建築事務所は他の建築設計室とは一線を画していたのだった。当時、ガールフレンドの一人が坂倉建築事務所で仕事をしてたのだが、その知性溢れる美貌に僕はメロメロだったっけ。遠い昔のハナシだナ。

坂倉氏は、建築のみならず、柳宗里たちとモダンデザインを近代生活の中に取り入れるべく活動し、日本家屋にも溶け込むようなデザインの家具も数多く手がけてきた。
会場には竹で編んであるシェーズロング・チェアが展示されており興味深かったが、天童木工が今も作り続けている低座椅子は寛ぐ時にはバツグンの座り易さでアル。
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じっくりと見応えの有る展覧会の中で、とりわけ真っ白な建築模型が非常に美しく目を引いた。これらを暫く眺めているだけで、この展覧会に来て良かったと思う筈だ。

展覧会場を出て帰ろうとすると、前のエスカレーターからひと際目立つ美しい女性が、こっちを観てニコッとしているじゃないか。ハテ?、と思ったら先週末ムサコの『牛太郎』で隣合わせになった方々の一人だった。岸恵子の若い頃にそっくりで、思わず昔坂倉設計事務所で働いていた人を思い出してしまったのだヨ。

素敵な人ってのは、もう立っているだけで爽やかな風が吹くのだネ。
爺ぃは、只々ムフフな想いで仕事場へ戻るのであった。
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by cafegent | 2009-09-01 18:08 | ひとりごと