東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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初秋の空の下、日光にエスケープ。

シルバーウィークが明けた今朝は、とても気持ち良く晴れた。
蝉の啼く声も聞こえなくなり、陽射しは眩しいが、風が冷たく歩いていても清々しい。
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空を見上げれば、白絵の具を付けた筆をグラスの中に浸けた様な淡い雲がうねってた。今年の夏は厳しい残暑も無く、秋へと移ろいだ様だナ。

目黒川近くを歩いていたら、何かが動くのが見えた。草むらをかき分けて、覗き込むと小さなカナヘビを見つけたのだ。
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コイツはとても愛嬌のある顔をしているナ。もうあとⅠ、2ヶ月もすれば土の中に潜り越冬するのだから、こんな天気の良い朝は餌を求めて歩き回っているのだろうか。

先日、浅草から東武スペーシアに乗って日光鬼怒川へと出掛けてみた。
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ビールと一緒に買い込むのはお約束「崎陽軒」のシウマイだ。冷めても美味いので、旅には欠かせない酒の友だ。

前日に「北海道フェア」なる処で買ったいくら弁当を一晩真空チルドにして持って来た。
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栃木に入った頃に食べたが、すこぶる美味かった。むふふ。
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鬼怒川へ着くと駅前に鬼の像が立っている。
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その脇には誰もが利用できる足湯があるのだ。
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しばし、のんびりと足湯を楽しんだ。

で、鬼怒川のライン下りを体験して来たのだヨ。
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川の水がとても澄んでおり太陽の光が美しく照らしていたナ。川の流れる水音に鳥の声、そして辺り一面に広がる緑のパノラマ。船の上で思い切り深呼吸が出来たのだ。

40分程の船の旅を堪能した後は、日光駅へと移動した。
今回は至極プライベートな祝い事があったので、旅の目的である『日光金谷ホテル』へと向かった。
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従来の部屋と異なる「オレンジスイート」と云う部屋の一周年記念との事で、泊まってみる事にしたのだ。

此処は1873年創業、現存する最古のホテルである。東照宮の下に建ち、日光の山々を望む絶景のロケーションとして外交官や文化人等諸外国の方々が多く訪れる避暑リゾートとして栄えたホテルだ。

登録有形文化財である此のホテルの古き良き所を継承しつつ、時代と融合し新たな顧客層を取り込んでいく。その為に、今世間で評判の構成作家「小山薫童」と云う人に新しい日光金谷ホテルのプロデュースをお願いしたそうだ。

僕より少し若いこの方が、さてどんな感じに仕掛けたのかを体験したくて泊まってみたのだ。
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部屋に案内されると、其処は他の部屋とは随分と趣が違っていて、最初は「えっ、これが金谷ホテルなの?」と思ったが、居心地は大変良いのだナ。

ドアを開けると左手に寝室、右手がリビングとなる。
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靴を脱ぐと木彫りの床が足にとても気持ちが良かった。タオル地のサンダルが用意されていたが、素足が一番心地良い。

珈琲テーブルの上に絵の具のようにずらりとチューブが納まった箱が置いてある。
ハテナ?と思っていたら、スタッフの女性がお好きなモノをひとつお選び下さいと云う。なんと、31種類もあるMARGARET JOSEFIN歯磨き粉だった。桃の味を選んだが、コレ何とも可笑しいネェ。

一先ず、珈琲を入れてソファで寛ぐことにした。「日光珈琲」とナ。
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窓の外の木々も太陽の光で様々な緑色に映っていた。
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壁には百年程前に写された西洋人の奇妙なスナップ写真が飾れている。でも、これ好きだナ。

ソファに座り、ブルーレイディスクを流すとギタリスト・鳥山雄司がアースの名曲「ファンタジー」をアコースティックで奏でるのでアル。しかもだ、今僕が座っているソファの目の前で演奏している模様が映っているのだから、バーチャルライブって趣向で可成り可笑しかった。
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他の映画ライブラリーは、残念ながら趣味が合わず、何も観たいモノがなかったヨ。

アテの無い時間をのんびりと過ごし、可成りリラックスしてきたゾ。

午後六時、外も陽が暮れた。
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この日の夕食は、僕のお気に入り、『みはし』に行く事にした。此処は西洋料理『明治の館』と同じ経営だが、日光金谷ホテルから至近距離に在り、何よりも居心地の良い店でアル。
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僕は温かいおもてなしを受けられる店が一番好きなのだ。味が良いのは当たり前であり、佇まいやインテリアも当然重要視するが、何と言っても接する方々のちょっとした気遣いなどで、メロメロに気に入ってしまうのだ。

それを感じる事が出来るレストランのひとつが、此処『みはし』だナ。
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生ビールで休日気分を盛り上げて、料理を待つ。

最初に薦められた舞茸のソテーは抜群の美味しさだった。
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香ばしい舞茸の薫りに感動し、ジュージューと音を立てる鉄板に喉がゴクンと鳴った。

サラダを戴き、ビーフシチューとハンバーグステーキを戴いた。
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牛のエキスをたっぷりと含んだシチューの味は、たまらない旨さだ。
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肉汁たっぷりのハンバーグにはたっぷり擦り下ろした玉葱とニンニクを醤油で味漬けたソースがかけられる。その途端、ジュワーッと鉄板にソースが跳ねる音が響く。そのしぶきをナプキンで避けて、お待ちかねのハンバーグにありつけるって訳だ。
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此処の肉料理にはハウスワイン「明治の館の葡萄酒」が合うのだ。
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あぁ、至福の時を過ごしているなぁ。日光の夜はもう秋の冷たい風が吹いているが、『みはし』の人と料理で心まで温かくなった。

ホテルに戻り、一階のバー『デイサイト』へ。
カウンターに座り、バーテンダーにマンハッタンのオン・ザ・ロックをお願いした。

物腰の静かな福田さんは、バカラのローハンに大きな氷を入れてバーボン・ベースのマンハッタンを作る。
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この日はボクの祝い事と云う訳で、金谷ホテル開業当時に使われていたオールドバカラのタンブラーを出してチェイサーに添えてくれた。驚いたのは、このグラスも同じローハンの柄なのだが、繊細な薄張りガラスだった。百年の歴史を此のバーカウンターで呑む訳だ。嬉しいネ。
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そして、ベースに使ったオールドグランダッドも今はもう見ない昔のボトルである。今はもう手に入らない昔のグランダッドのボトルを出してマンハッタンを作ってくれたのだネ。

真空管のアンプを通して流れるのは、ゲッツとジョアン・ジルベルトの「コルコヴァード」だ。イイネ!アナログ盤の針の音が時々雨音に聞こえる。

酒をダイキリのオン・ザ・ロックにした。もちろん、辛口でネ。
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カウンターの上には、例の小山薫堂氏が翻訳したキスの絵本が有る。
ページをめくり、最後に彼の手描きのメッセージが記されていた。
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〈ここまで読んだら、バーテンダーの福田さんに「例のヤツを!」と注文するのです。すると、とっておきのカクテルがとどきますから。それをグイッと呑み干してから隣の人にキスしたい!って言うのです。失敗したっていいのです。ここはバーなのだから。夜が終われば何でも許されるのです。〉だとサ。いやぁ、キザだね、まったく。こーゆー事がスラスラと出て来るから、人気者になるのだネ。まったくもって、参りました。

で、馬鹿正直者は、福田さんに「例のヤツ!」と頼むのでアル。
登場したのは小さなカクテルグラスに入った珈琲ベースの酒だった。
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上のチェリーを持ち上げるとグラスのミルクに唇の跡が残るんだネ。
いやぁ、福田さん、更に上を行くキザなバーテンダーだネ。

甘く危険な薫りを口に含んでいると、おもむろに後ろの暖炉に火を焼べているじゃないか。
パチパチと薪が燃える音がしてきたら、福田さんが暖炉の方へどうぞ、と招いてくれた。本当ならば、11月にならなければ火が入らないのだが、僕の為に特別に火を焼べてくれたのだ。もう、最高の気分だネ。
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最後にギムレットを、これもオン・ザ・ロックにして呑み干した。
何から何まで素晴らしいおもてなしを受けた。
福田さん、本当にありがとう。この夜の事はずっと忘れないヨ。
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きっと、マンハッタンをロックで呑む度に福田さんの笑顔と暖炉の火を思い出すだろう。
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部屋に戻り、読みかけの本を読んでしまった。
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バスタブにお湯をはり、ヌルめの風呂に浸かって、一日を振り返る。
随分と居心地の良い部屋じゃないか。紅葉の頃にまた訪れようか、と考えてるうちに睡魔が襲って来た。

そうそう、此処のバスローブは、とても肌に気持ちが良かったなぁ。
「kashwere」と言うメーカーなのか。コレ、一度使ってみれば、虜になるゾ。自宅用に欲しいかも。
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てな訳で、心地良く深い眠りについたのサ。
by cafegent | 2009-09-24 15:16 | ひとりごと