一周年の雷門『簑笠庵』で祝い酒に酔う。
2009年 10月 15日
立石『宇ち多”』で梅割り2杯を引っ掛けて、浅草で降りる。
地下鉄の階段を登ると小雨がぱらついて来た。浅草通りの一本裏の道をのんびりと歩く事にした。田原小学校の先を左へ折れると、通りまで賑やかな声が響いて来た。『簑笠庵』のカウンターは満席で僕は角に立って呑む事になった。毎日、こうだと良いのにネ、なんて声が聞こえてくるが、ホント良く一年続いたもんだ。おっと失敬。
此処の主(あるじ)の山本さん、京子さんとは、神保町の酒場『兵六』で出逢った。余りしゃべった事も無かったのだが、二軒目にハシゴした『銀漢亭』ではすっかり意気投合したっけ。それからは『カントリー』で呑んだり、砂町銀座で呑んだりと酒が絆を深めてくれた。そう、矢張り酒なのだナ。
夕べは兵六仲間から此処のご常連まで沢山の方が祝い酒に酔って居た。
そしてその前には、丸口屋舌波(ぜっぱ)兄ぃが個展を終えたばかりの「掌中人形」のひとつ、黒門町の師匠が鎮座していた。
外では、落雷が鳴り響いてた。
でも、中途半端な小雨よりこれだけ勢いよく降った方が気持ち良い。
店でどれだけ騒いでも、この雨がかき消してくれそうだもんナ。
秋雨の匂ひ呑み干す簑笠庵
◇ ◇ ◇
さて、火曜日は『宇ち多”』仲間のビリーとゆりちゃんが、それぞれ立石で呑んで居た。
丁度、仕事を終えた頃に二人からメイルが入り、追っかけで参加する事にした。
彼らは立石ですっかりゴキゲン状態だったので、根岸の『鍵屋』で待ち合わせをした。8時を少し廻った頃に鴬谷駅に到着。足が自然に小走りになるのだナ。まったく酒呑みの習性は、治らないネ。
この日の突き出しは、ところてん。これが、たまらなく美味いのだナ。
話も弾み、徳利の数も増えて行く。此処はのんびりと酒が呑めるなぁ。
僕らはもう一軒ハシゴすることにしたが、新たな恋に胸躍らせるゆりちゃんは、これにて終了。愛しのダーリンの元へと急いだのであった。
アジア系従業員の女のコたちが甲斐甲斐しく働いているのだが、彼女達が集まって会話を始めると何語か判らない。自分がまるで異国の路地裏で呑んでいるかと錯覚してしまうのだ。
この辺りは今でも街娼が立っているので、女性一人で歩いていると必ず「いくらだい?」と声を掛けられる。ラブホテルの数もハンパじゃなく多いし、風俗営業の店も沢山在る街だ。それにしても同じ駅なのにこの北口と南口では何故此処まで色が違うのだろうか。もつ焼き70円の『ささのや』周辺は実に健全な空気が漂っている。いや、健全だがケムい空気だナ。
北口はディープ鴬谷だ。ニューハーフのヘルス嬢や黒服たちも労働者に交じって『信濃路』で一杯やっている。時々、顔に青いアザをつくっているコを見かける事もあるが、誰もおかまい無しだ。そんな人間模様を眺めているだけで、東京は愉しいのだ。
ビリーと別れ山手線に乗ったのだが、僕は更に腹が減ってきた。
で、いつもの深夜食堂に立ち寄ってしまった。
あぁ、愉しく夜は更けるのであった。