東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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目黒『寿司いずみ』へ、至福の時を求めに行く。

日曜日は前日の雨と打って変わって、気持ち良く晴れた。

朝は岡山から届いたガザミを食べた。
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身がほどよく甘くて、朝から酒が欲しくなった。
日中は録画が貯まっていた映画などを観て、のんびりと過ごした。
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お歳暮に戴いたハロッズの紅茶を呑みながら、これまた頂き物のチーズケーキを食べてみた。
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ほぉ、チェーン店の味にしては案外イケルね、コレ。

夕暮れの空がカクテルのプースカフェみたいに綺麗なグラデーションを描いていたゾ。
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目の前で色が変わって行く模様が美しかったなぁ。
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このところすっかりご無沙汰していた目黒の『寿司いずみ』に伺った。前回は夏だったが、鮑づくしだったっけ。もう冬魚が入って来たかな。

カウンターには先に親子三人連れが席について居た。以前朝日新聞のコラム「粋イズム」にのった親方の記事を読んで以来、ずっと来たかったのだと嬉しそうに語ってくれた。お父さんは昼間に場所確認の為に訪れていたのだそうだ。偉いね、奥さんや娘さん思いの優しい父親だネ。

この日は本当は前々から来てみたいと云っていた友人を誘うつもりだったのだが、法事で来れなくなり来年へと持ち越しになったのだ。おや、人数変更した筈なのにお箸が準備されている。可笑しいなぁ、と思ったら親方がニコニコしてもうすぐ知った顔が来るよと教えてくれた。そして、暫くするとガラリと戸が開き、此処で知り合って仲良くなった友人夫婦が来店したのだ。

ご主人が料理上手でいつも築地まで仕入れに行く本格派でアル。
で、僕は酒持って遊びに行くのだナ。先日、目黒でお会いした際に「近々呑もうね!」なんて云っておきながら、すっかり月が変わってしまった。イカンな。
でも、グッドタイミングで『いずみ』にて楽しい忘年会の宴となった。
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先ずは、サッポロ赤星で喉を潤す。

最初は、能登のオスのなまこを使った「茶ぶりナマコ」から。
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自然薯とオクラのとろろと一年物のコノワタが乗り、これを一緒に食べるのだ。とてもさっぱりして味、香り、口当たりが見事に三位一体の料理から「いずみ劇場」が始まった。

刺身は能登の寒鰤と岩手のメジマグロ、それに能登鯖だ。
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能登半島の小さな港町蛸島で水揚げされた寒ブリは脂が適度に乗っていて最高に美味い。

メジマグロはいわゆる本マグロとかクロマグロの生後1年くらいの小さな奴をこう呼ぶ。これよりもう少し大きく成った40キロ位の鮪は中房と呼ぶ。デッカい奴はシビって言うね。
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此処『いずみ』では、一番美味しくなるまで熟成させてから出してくれるので、鮪本来の旨味が引き出されていて絶品だ。 

刺身は、お馴染みの淡路の玉葱の擦りおろしに和芥子を乗せて戴く。
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この和芥子は、カナダ産の黄からしと福井産地からしを使っており、ユーサイドの久保田社長が苦労して創り上げた本物の和からしなのだ。

これを食べたらもう他の芥子じゃ物足りなく成るのだナ。あぁ、最高。以前、紀ノ国屋で買った和芥子は北海道産だったから、季節によって変わるのかナ。

酒は親方自慢の「志太泉」の志田樽酒を戴いた。

志太泉を作る静岡にはとても良い杉が有るそうだが、樽を作る職人が居ないらしく、樽酒は作っていないらしい。それを知った親方が樽を作らせて、50本限定で樽酒を完成させたのだ。但し、樽酒を入れる一升瓶までは作らなかったので、空いた様々な酒瓶に瓶詰めしたのでアル。
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だから、ホラ闇ルートの様な秘蔵志太泉の樽酒は、ご覧の通り明鏡止水の空き瓶に詰められているのだ。笑っちゃうが、味はバカウマ。杉樽の良い香りが、口に含んでから鼻に抜けるのだナ。
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鯖も脂がほどよく乗っていた。刺身にはやっぱり酒だネ。

続いて、冬のご馳走だ。
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信州林檎の中をくり抜いて、天然の牡蛎とキノコが入る。気仙沼の天然真牡蛎は小振りでシコシコしているのだが、キノコと一緒に信州味噌焼いてから、京味噌を乗せ林檎ごと土手焼きにしている。

全部食べてしまいたいが、林檎の実が結構なボリュームなので、ココで勢いつけてしまうと握りまで到達しないので、林檎は少し残すのだナ。
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そして、箸休めに先程のブリの心臓焼きとメジマグロの皮の炙りだ。
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こりゃもう立派なもつ焼きだ。酒がススムのだ。

お次ぎは、奄美のジャングルから降りて来たモズク蟹、マーガンとかターガンと呼ばれている蟹で、山中でどんぐりやシイの実を食べて育っているので、とても味が良いそうだ。これにナリ味噌(ソテツで作った味噌)を塗り、紹興酒で蒸してバルサミコ酢とレモンで仕上げる。
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ペロリと平らげた後の甲羅に熱燗を注いで貰ったが、これまた至福の甲羅酒となった。

酒は秋田の純米吟醸「山本」に移る。
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爽やかな香りだが、飲み口はしっかりとしてグっと来た。この酒も此処ではお馴染みになってきたネ。

で、酒のアテにマンボウの腸を戴いた。
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コレ、伊豆の漁師料理らしく贅沢にアンコウの肝と伊勢の菜味噌を合わせて焼いてある。歯ごたえが良くて、上ミノみたい。これも酒好きにはたまらな無い一品だ。

奄美大島が続く。奄美産のシャコ貝をゴボウと洋梨ラ・フランスと一緒にナリ味噌、酒、白ワインで伸ばした出汁で炊いた料理だ。
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夏の夜光貝も美味かったが、甘いラ・フランスがこんなに相性が良いとは驚いた。

具材を食べ終わった貝殻に鮓飯を入れてもらった。
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程よい甘さが残る汁に鮨酢がベストマッチ。前半戦もコテンパンにやられまくった。うーん、亀田選手と戦う内藤選手のような気持ちだナ。

後半戦突入の前に親方オススメのプリン体アラモードで酒を楽しむ。
先ずはボラの風干しからすみ。
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そして太刀魚の味噌漬けからすみだ。他にも塩漬けのからすみとか軍鶏(シャモ)の卵黄の味噌漬けと云った濃厚な珍味も沢山有るのだが、躯の具合を気にしつつ酒を呑む身としては、欲張らずこのくらいで。

それでももう一品、このわたのヅケを戴いた。
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これがほんのり甘くて酒に合う。
酒は八戸酒造の陸奥八仙の冷やおろしだ。

珍味で腹の具合も落ち着き、後半戦の握りへと進んだ。

先ずは、北寄(ホッキ)貝の炙りから。
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北寄貝は、刺身でも美味いが、バター炒めやフライなど火を通した料理も実に美味い。これもサッと炙って握ってくれたのだが、たまらん美味さでアル。秋の北寄貝は最高だナ。

二つ目は青鱚(アオギス)の握り。
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いまや滅多にお目にかかれなくなったアオギスだ。昔は東京湾でも穫れた魚だが、今では福岡や大分県の瀬戸内海辺りにしかいないそうだ。

「いずみ」で出されるアオギスは、九州の豊前海で穫れたものだ。本当は漁師さんのまかないで終わってしまう程の微量しか水揚げされないのだが、親方の熱意に負けて直接分けて貰っているそうだ。

岩のりに自然薯のお椀がさっぱりと口直しだネ。
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うーん、黒胡椒が効いている。

そしていずみ名物コハダ三連発。
お馴染みの白酢、赤酢、そして柚酢の握りでアル。
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酢は醸造酢、穀物酢、それに果実の酢しか基本的には無いと聞いた。
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それぞれの酢で〆た小肌は、もう言う事無し。

続いて、真イワシのパッションフルーツ・ヅケだ。
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まさか、こんなヅケが味わえるとは思ってもみなかったが、むふふの美味さに驚いた。

さぁ、お待ちかね金目鯛のヅケが完成だ。
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これは、早めに頼んで程よく漬かるのを待つのだヨ。
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酒はこの時季のみの「惣花」を戴いた。

お次ぎは白子の炙り。
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濃厚な甘みが口一杯に広がった。むふふ。

結構満腹になって来たので、最後はボタン海老を握って貰った。
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この時季のボタン海老は甘エビよりも甘く濃厚で旨い。プリっとした食感もたまらんなぁ。
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さっぱりと、これまたいずみ名物「さくらんぼの柴漬け」で終了だ。

おせち料理も頼んだし、今年もすっかりお世話になってしまったナ。

『寿司いずみ』のお陰で、美味しい魚料理を沢山知ることも出来たし本当に至福の時を過ごす事が出来る店だ。
親方、女将さん、大女将、キンちゃん、そして厨房の若い弟子の方々に只々感謝!するばかり。ご馳走さまでした。来年もひとつ宜しくデス。

しこたま日本酒を呑んだお陰で、躯が温かい。星降る空を眺めながら、のんびりと歩いて帰ることにしたが、気持ちが良かったなぁ。
by cafegent | 2009-12-09 19:56 | 食べる