目黒『寿司いずみ』へ、至福の時を求めに行く。
2009年 12月 09日
朝は岡山から届いたガザミを食べた。
日中は録画が貯まっていた映画などを観て、のんびりと過ごした。
夕暮れの空がカクテルのプースカフェみたいに綺麗なグラデーションを描いていたゾ。
カウンターには先に親子三人連れが席について居た。以前朝日新聞のコラム「粋イズム」にのった親方の記事を読んで以来、ずっと来たかったのだと嬉しそうに語ってくれた。お父さんは昼間に場所確認の為に訪れていたのだそうだ。偉いね、奥さんや娘さん思いの優しい父親だネ。
この日は本当は前々から来てみたいと云っていた友人を誘うつもりだったのだが、法事で来れなくなり来年へと持ち越しになったのだ。おや、人数変更した筈なのにお箸が準備されている。可笑しいなぁ、と思ったら親方がニコニコしてもうすぐ知った顔が来るよと教えてくれた。そして、暫くするとガラリと戸が開き、此処で知り合って仲良くなった友人夫婦が来店したのだ。
ご主人が料理上手でいつも築地まで仕入れに行く本格派でアル。
で、僕は酒持って遊びに行くのだナ。先日、目黒でお会いした際に「近々呑もうね!」なんて云っておきながら、すっかり月が変わってしまった。イカンな。
でも、グッドタイミングで『いずみ』にて楽しい忘年会の宴となった。
最初は、能登のオスのなまこを使った「茶ぶりナマコ」から。
刺身は能登の寒鰤と岩手のメジマグロ、それに能登鯖だ。
メジマグロはいわゆる本マグロとかクロマグロの生後1年くらいの小さな奴をこう呼ぶ。これよりもう少し大きく成った40キロ位の鮪は中房と呼ぶ。デッカい奴はシビって言うね。
刺身は、お馴染みの淡路の玉葱の擦りおろしに和芥子を乗せて戴く。
これを食べたらもう他の芥子じゃ物足りなく成るのだナ。あぁ、最高。以前、紀ノ国屋で買った和芥子は北海道産だったから、季節によって変わるのかナ。
酒は親方自慢の「志太泉」の志田樽酒を戴いた。
志太泉を作る静岡にはとても良い杉が有るそうだが、樽を作る職人が居ないらしく、樽酒は作っていないらしい。それを知った親方が樽を作らせて、50本限定で樽酒を完成させたのだ。但し、樽酒を入れる一升瓶までは作らなかったので、空いた様々な酒瓶に瓶詰めしたのでアル。
続いて、冬のご馳走だ。
全部食べてしまいたいが、林檎の実が結構なボリュームなので、ココで勢いつけてしまうと握りまで到達しないので、林檎は少し残すのだナ。
お次ぎは、奄美のジャングルから降りて来たモズク蟹、マーガンとかターガンと呼ばれている蟹で、山中でどんぐりやシイの実を食べて育っているので、とても味が良いそうだ。これにナリ味噌(ソテツで作った味噌)を塗り、紹興酒で蒸してバルサミコ酢とレモンで仕上げる。
酒は秋田の純米吟醸「山本」に移る。
で、酒のアテにマンボウの腸を戴いた。
奄美大島が続く。奄美産のシャコ貝をゴボウと洋梨ラ・フランスと一緒にナリ味噌、酒、白ワインで伸ばした出汁で炊いた料理だ。
具材を食べ終わった貝殻に鮓飯を入れてもらった。
後半戦突入の前に親方オススメのプリン体アラモードで酒を楽しむ。
先ずはボラの風干しからすみ。
それでももう一品、このわたのヅケを戴いた。
酒は八戸酒造の陸奥八仙の冷やおろしだ。
珍味で腹の具合も落ち着き、後半戦の握りへと進んだ。
先ずは、北寄(ホッキ)貝の炙りから。
二つ目は青鱚(アオギス)の握り。
「いずみ」で出されるアオギスは、九州の豊前海で穫れたものだ。本当は漁師さんのまかないで終わってしまう程の微量しか水揚げされないのだが、親方の熱意に負けて直接分けて貰っているそうだ。
岩のりに自然薯のお椀がさっぱりと口直しだネ。
そしていずみ名物コハダ三連発。
お馴染みの白酢、赤酢、そして柚酢の握りでアル。
続いて、真イワシのパッションフルーツ・ヅケだ。
さぁ、お待ちかね金目鯛のヅケが完成だ。
お次ぎは白子の炙り。
結構満腹になって来たので、最後はボタン海老を握って貰った。
おせち料理も頼んだし、今年もすっかりお世話になってしまったナ。
『寿司いずみ』のお陰で、美味しい魚料理を沢山知ることも出来たし本当に至福の時を過ごす事が出来る店だ。
親方、女将さん、大女将、キンちゃん、そして厨房の若い弟子の方々に只々感謝!するばかり。ご馳走さまでした。来年もひとつ宜しくデス。
しこたま日本酒を呑んだお陰で、躯が温かい。星降る空を眺めながら、のんびりと歩いて帰ることにしたが、気持ちが良かったなぁ。