東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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冬の只見線に乗り、神宿る奥会津の秘湯に浸かる。

成人の日の連休を利用して旅に出た。新幹線の発車まで暫く時間が有ったので、東京駅の地下で一休み。最近は余り駅地下に降りた事がなかったが、その変貌ぶりには驚いた。エアポート・ラウンジの様な休憩所も有れば、綺麗なお姐さんが注文を請けてから粉を挽き一杯づつドリップしてくれる珈琲ショップなんてのも出来ていた。
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でも、味はまぁ普通に無難なブレンドだったかナ。
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美味そうな駅弁とビールを買い込み、新幹線Maxときに乗った。
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列車が動くと同時に缶ビールを開け、奥会津の旅へと向かったのだ。
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高崎を過ぎた辺りまでは、東京都変わらぬ緑の森が続いていた。
それが、長いトンネルを抜けると目の前が一瞬ハレーションを起こした様に何も見えなくなり、そしてすぐに眩いばかりの白銀の世界が列車を覆い尽くしたのだ。
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越後湯沢駅に着き列車のタラップを降りると自分の吐息の白い煙りに驚いた。外はしんしんと雪が降り続いている。
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ホームに吊るされていた温度計が氷点下を指していた。こりゃ、吐く息が凍りそうになる訳だ。

此処から上越線に乗り魚沼の小出駅まで40分。
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ウィスキーをストレートで呑み干し、躯を中から温める。
小出駅からは、今回の旅の目的のひとつでも有る只見線に乗るのだ。

前回は紅葉の時季に会津川口を訪れた。その時は車だったので、只見線を壮大に走るSL機関車の勇姿を眺める事が出来た。今度は自分が只見線を走るのだ。列車の中から観る景色に乗る前から少年の様に心がトキメいた。
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これは前回、国道252号線から第五只見川橋梁を走るSL会津只見号を写した姿だ。
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奥会津に進むにつれて、雪が多くなって行く。この辺りは豪雪地帯だ。
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車窓に広がる木々たちの群れは、まるで白い祭り半纏を纏(まと)う男たちに見えて来た。僕の育った札幌の雪はサラサラとして風に舞い女性的なのに対して、この地の雪は木の枝を降り落としそうな程に力強い。

いつまでも窓の外を眺めていても飽きないナ。ふと「おとこ雪」と云う言葉が浮かんだ。

只見川沿いの山村の風景も幽玄で美しい。
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真っ白に覆われた山並みの合間に川面に架かる鉄橋の姿にも心を奪われてしまう。
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只見駅を過ぎ、会津蒲生、会津塩沢と目的地の会津川口までの間にも秘境と呼びたくなる様な風景が現れるのだ。
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この日も多くの鉄道ファンたちが乗り込んでいた。皆、青春18きっぷを使い朝早く上野駅を出発したそうだ。

小出-会津若松間を走るキハ40系の只見線は、一日に3本しか走っていない。
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単線なので、此処で上下線の列車交換を行う為に同時に乗り入れる。
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この上下線が同時停車している貴重な勇姿を撮影する為にファンたちは皆一斉にカメラを構えるのだ。
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車中で出逢った若者は、これが観たくてやって来て、このまま泊まらずに会津若松から上野に日帰りするとの事だった。早朝に出発し、深夜12時過ぎにまた上野に戻るのだ。
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でも、只見線から眺める景色を一度でも味わってしまったら、僕だってやりかねない。四季折々で乗ってみたくなる列車だった。
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小出から二時間の旅を終え、いよいよ次の目的である秘湯天然炭酸泉の沸く玉梨温泉の旅館『恵比寿屋』さんへと向かった。
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さて、今回も雷門『簑笠庵』に集う酒仲間との旅でアル。
例によって『恵比寿屋』常連客のハッシー率いる一行だ。簑笠庵店主の山本さんと京子さん、千葉の消防署員・京子さん、そしてボクの呑んだくれ五人衆だ。
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山本さんが越後湯沢で仕入れた「鶴齢」を既に只見線の車中で呑んでいるが、奥会津の「おとこ雪」の寒さで酔いなど吹っ飛んでいる。
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奥会津には昔から大蛇退治の言い伝えが残る。鎌倉時代の事らしいが、領主である佐原十郎義連が村人を守るために家来を率いて沼沢湖に住む大蛇の化身「沼御前」を退治した話だ。今でも毎年夏になるとこの伝説を再現した「沼沢湖水まつり」が催され大変賑わうそうだ。
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此所大沼郡金山町は、「妖精の里」とも云われているが、古くからこの辺りには「福の神」の言い伝えが残っている。

そもそも玉梨や八町には、日が暮れると狐が人に化けて魚や油揚げなどを盗んだり、畑の中で芸者たちが歌い踊る姿を見かけ「はて、こんなところに芸者がいるかいナ」と思ったら狐に化かされていたとか。食べ物を売って家に帰ってみるとお金は全て木の葉だったなんて話も多く残っている。

そんな悪戯者(いたずらもん)の狐も八町・玉梨温泉の湯にじっくりと入った村人には何も悪さが出来なかったそうだ。此処の共同浴場には、時々「福の神」がやって来ると云う。一説には河童(かっぱ)じゃないかとも云われているが定かではない。

その神は人の姿をして湯船の淵に胡座(あぐら)をかいて座り、湧き出る源泉をまるで酒を酌むかの様に美味そうに呑んでいる事もある。気配だけで、何も見えない時も多々ある。ただ、この「福の神」と一緒に八町・玉梨温泉に浸かった者には必ず福が訪れると云う。

「災い転じて福来る」と云うが、悩み事を抱えていた者もこの温泉にじっくりと浸かってからは良い運気が訪れる様になったとか。
神の宿る温泉か。なんだかとても素敵じゃないか。

八町温泉共同浴場の源泉は炭酸がとても多く、これを飲めばすこぶる体調が良くなるのだ。焼酎をこの湯で割って呑むのもまた良し。翌朝の目覚めも快調だし、なにより快便なのがスバラシイ。
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しんしんと雪が降り積もる中、山本さん、ハッシーと三人で夕飯前に共同浴場に入った。
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旅館を出て野尻川の河川近くまで降りなくちゃならないのだが、山本さんは一人サンダル突っかけて出て行った。
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ハッシーと僕は長靴を借りて行ったのに、まったく驚いたね。
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共同浴場には先客が一人、そしてすぐ後に地元の老夫婦がやって来た。
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冷えた躯に掛け湯が熱い。それでも掛け湯をし、気合いを入れて湯船に浸かる。つま先や手が徐々に徐々に感覚を取り戻して行くのが判る。
あぁ、気持ち良い。こりゃ、極楽だナ。

屋根の雪がドサッと落ちる音がした。その瞬間、なんだかそれまでと違う気配を感じた。そうか、もう一人温泉にやって来たんだナ。顔に当たる空気の流れで判った、福の神が湯に浸かりに来たのだ。

僕はスッと湯船の隅に移り、真ん中を空けてあげた。きっと湧き出る源泉を盃に酌んで呑んでいるに違いない。福の神は丁重にもてなすと福が訪れる。此処を訪れた皆に小さくても良い、福が来てくれるとイイナ。

風呂から上がるともう夕暮れになっていた。
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『恵比寿屋』から野尻川を眺めるとライトアップされており、とても幻想的な景色を浮かび上がらせていた。
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昼間とはまるで違う表情だネ。
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川に落ちる雪も実に美しいネ。

さぁ、恵比寿屋自慢の夕食が楽しみだ。じっくりと温泉に浸かり、酒を呑む万全な体調も整った。いざ、出陣ナリ。
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by cafegent | 2010-01-12 16:20 | ひとりごと | Trackback | Comments(0)