三鷹の中華そば江ぐちが月末で閉まる。残念!
2010年 01月 29日
「水仙が見頃だから、そろそろ梅も咲き出す頃かしら」とか「梅にメジロ、観たいねぇ!」なんて話で盛り上がり、酒がススむ訳でアル。コレが全く興味の無い人間に話をしても、「だから?それがどうしたの?」で終わってしまい、「コンナヤツトゼッタイニ、サケナドノムカ!」と口に出さず思う訳なのだ。まーどーでもいーか。
渋谷の円山町に建つシネカノンのビルに昔頻繁に通ったバー『CHE』が在った。チェ・ゲバラのチェだが、良く井筒監督も呑んで居たし、兄の同級生で映画の脚本家として活躍しているさいとうひろしさんにも会った。とても居心地の良いバーだったが、バーテンダーのコースケが独立してストリップ劇場の裏に店を開いてからは足が遠のいてしまった。
李さんは「シュリ」のヒットから、韓国映画ブームの火付け役になったが、日本映画製作にも力を注いでおり、映画ファンドを立ち上げて、借金をせずに投資によって制作費を賄う事など凄い人だなぁ、なんて思った事もあった。
渋谷のんべい横丁の呑み友達がシネカノンの宣伝担当だった事もあり、良く試写室で映画も観てブログに書いたりもしたっけナ。
それにしても負債総額が47億円と云うのも凄い。映画館『シネカノン有楽町』は昨日付けで閉館したらしい。
経営者って皆上昇志向が強いから、ついやり過ぎてしまうんだろうネ。険しい道を通って高い山を登り、漸く頂上に立つと普通の人ならばそこで満足するのだが、勢いに乗っている時は、頂上から廻りを見渡すと、すぐ向こうにもっと高い山がそびえ立っている事を目にするのだ。そして、よせば良いのに(なんて、本人は思ってないが)また新しい山を昇ろうとするのだヨ。そして、廻りに踊らされて生き急いでしまうんだろうナ。
我が国には、いろんな処に「おとこ坂」「おんな坂」が在る。
山の頂上向かう道や神社、寺仏閣に昇る参道も傾斜がきついが、短くて近道が「おとこ坂」で、緩やかでゆっくりと昇っていける坂が「おんな坂」と呼ばれている。人生って何だかとってもコレに似ている気がするんだナ。
僕自身も十年程前までは同じ様に生き急いで来たものだ。
朝から夜中まで仕事して、会社をデッカくしようなんて思っていたが、或るとき昇っていたハシゴを蹴られて真っ逆さまに落ちた様な経験をした。それ以来、髪も真っ白になり出して、おとこ坂を駆け上がる事を止めたのだ。
だから、今は毎日少しの酒が呑める事で、とても満足して楽しい日々を過ごしている。あと二週間程で、僕も半世紀生きて来たことになる。
人生の折り返しは正々堂々と「おんな坂」を選んで昇るのサ。
日本映画の波がようやく訪れて来ている今、シネカノンのニュースはとても残念な知らせだったナ。
◇ ◇ ◇
さて、残念な話題をもうひとつ。
元々、交差点の角に在った一軒家の店だったが、80年代頃に今のビルの地下に移って来た。札幌辺りだと良くこんな風情のラーメン屋さんを見かけるが、東京ではもう中々見られなくなっており、此処が暖簾を下ろすなんてとても寂しくなるのだ。
漫画「孤独のグルメ」の作者、久住昌之さんが以前「小説中華そば『江ぐち』」を書いており、久住ファンは誰もが知っている中華そば屋だ。
昭和27年創業の老舗が閉じるのは惜しいが、此処の味を知っているだけで満足だ。
閉店の貼り紙が出てから、連日長蛇の列が出来ている。長年、親しまれた店だけに皆さん最後にもう一杯食べにやってくるのだネ。
『中華そば江ぐち』、長い間、お疲れさまでした。
あぁ、目黒の『らーめん田丸』は、ずっと残っていて欲しいものだナ。