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by cafegent
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今出てる「芸術新潮」は買いだ!小村雪岱はイイゾ。

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   曇り空啼く声寂し寒烏

昨日は20度まで上がり、夜もコート要らずで過ごせたと云うのに、今朝は打って変わって気温が低い。今にも雨が降り出しそうな天気だネ。

先日、装幀画家小村雪岱(セッタイ)の展覧会の事を書いたが、現在発売中の雑誌「芸術新潮」2月号にて大々的な特集を組んでいる。その特集のタイトルがイイ。
「小村雪岱を知っていますか?」でアル。そうなのだ、殆どの人は知らないだろうからネ。
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でも、一度でも雪岱が手掛けた装幀を目にしたら、時代を飛び越えてそのセンスに脱帽してしまうだろう。

小村雪岱は明治20年生まれだ。この1887年生まれは、画家マルク・シャガール、ジョージア・オキーフ、建築家ル・コルビュジェ、それに陶芸家のバーナード・リーチと蒼々たるアーティストたちと同い歳なのだ。まぁ、これは単なる偶然なのだが、泉鏡花、邦枝完二、久保田万太郎など大正から昭和にかけて活躍した文豪たちに愛され、数々の書籍の装幀デザインを手掛けたり、資生堂の意匠部時代には広告デザインや香水のボトルデザインまで行っている。更に六代目菊五郎をはじめ、名だたる役者たちにも支持されて、歌舞伎から新派まで多くの舞台美術を残しているのだ。今で云うところのマルチ・アーティストって訳だナ。

雪岱が本の装幀画家として注目されるようになったのが、泉鏡花との出会いからだ。
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そして大正3年、泉鏡花作「日本橋」の装幀を依頼され、雪岱は装幀家として最初の作品が世に出たのだ。
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どうですか、見事でしょ。
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表紙のデザインも素晴らしいが、見返し部分に描かれた挿絵のなんと美しいことか。
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今まで余り詳しい資料もなく、手探りで書籍を探したり、装幀本を手に入れたりしていたが、この特集号は正に小村雪岱ファンのバイブルとして大切にしたい一冊だ。なんせ、中々拝見することの出来ない貴重な書籍の写真や図版が多く掲出されているのが凄い。これで、また雪岱作品を集める楽しみが増えていきそうだ。
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この芸術新潮二月号の表紙になっている絵は、邦枝完二が昭和九年から読売新聞に連載した小説「お傳地獄」の挿絵だ。
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この挿絵も何度か描かれているが、後に高見澤木版社の手により製作された木版画は、見事な美しさだ。

こちらは、団扇の為に描かれた絵の木版画だ。
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「蛍」と「夜雨」は、高見澤木版で「川岸」は別の版元なので微妙にサイズが違うのだナ。
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マットの型が違うから作り直さなくてはならんのだ。

ボクはイラストレーター原田治さんのブログ「原田治ノート」にて小村雪岱の団扇絵を知ってから好きになったが、今回の芸術新潮を読めば、ゼッタイにセッタイが好きになる筈だ。
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邦枝完二の新聞連載「おせん」の中に描かれたこの傘の場面、今観ても斬新でグラフィカルなデザインであり、ボクの大好きな挿絵だ。
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原田治氏は、この〈白と黒の緊迫したコントラスト〉による〈不穏な闇のひろがり〉は、雪岱の魅力と云う。
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この「お傳地獄」の挿絵は圧巻。

「徒然煙草の咄嗟日記」なるブログでは、市川崑の「犬神家の一族」の湖面から足が飛び出た死体の構図は雪岱へのオマージュかパクリと記していたが、見事な指摘でした。

いづれも「小村雪岱画譜」に納められた作品でアル。

こちらは、昭和四年発行の西原柳雨編集の「川柳風俗志」。
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この時代の風俗がよく解りとても面白い川柳を集めたものだが、春陽堂が発行しているだけに装幀は小村雪岱なのだ。
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西原柳雨は他にも「川柳吉原志」や「川柳江戸名物」が有り、この時代を知るのに良い書物だ。
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さて、今日もこれから神田で打ち合わせだから、帰りにまた古書店でも巡ろうかナ。
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Commented by 東京居酒屋漂人 at 2010-02-11 11:54 x
今、池袋西武リブロ2階でやっている古書市で、雪岱の版画2点が、それぞれ3万程で出ていました。なかなか良かったです。また明日からは、丸善丸の内本店で巴水版画展も始まります。
Commented by cafegent at 2010-02-12 12:26
是非、観に行ってみます!ありがとうございます。
by cafegent | 2010-02-10 14:03 | ひとりごと | Trackback | Comments(2)