東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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日々是また雑文雑記/鱒釣り解禁で春を呼ぶ。

先日、酒朋ハッシーから本のお礼にと手土産を戴いた。袋の中は、僕の大好きな浅草雷門前の和菓子屋『亀十』のどら焼きと草餅、それに桜餅だった。
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此処のどら焼きは本当に美味しいのだ。熟練の職人さんがひとつ一つ丁寧に焼き上げた皮は所々に焦げ目がついており、見た目には粗野で男性的なイメージのどら焼きでアル。ところが、一口食べるとそのふわふわの柔らかい食感に感動するであろう。
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中身の餡も甘さが控えめで、包み込む皮とがお互いを引き立たせているかの様だ。黒餡も白餡も素朴で懐かしい味わいだ。

濃いめのフレンチローストの珈琲に合わせるのがボクの好み。上質な砂糖、小麦粉、卵、それに小豆と、いたってシンプルな素材だけで作られているのが嬉しいネ。

こんな粋な手土産を持って来てくれたハッシーの心遣いも流石だネ。
いつも、ありがとう!
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和菓子のつぎは、沼津から半干しアジの開きが届いた。
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土鍋で炊きたてご飯が干物に合うのだ。あぁ、贅沢な朝飯になったナ。
       ◇       ◇       ◇
昨日は都立高校の合格発表があったらしく、近くの高校でも沢山の人だかりが出来ていた。今年もまた一喜一憂する子達のドラマが生まれたのだナ。
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春を告げる湯河原の鱒釣りが解禁になったと云う知らせが届いた。
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「鱒釣り」と聞くと、リチャード・ブローディガンの書いた小説『アメリカの鱒釣り』が思い浮かぶ。
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80年代に読んだ本だが、その時はただなんとなく読み終えた。他の小説でもそうだが、作者の意図とか、作品の本質など余り深い意味が判らないまま何十年が経ち、日々の暮らしの中で「あぁ、あれってこういう事だったのネ」なんてことが多々有る。

しかし当時は、その文体や表現の仕方にとても惹かれる事が有り、読み進む本が大半だった様に思う。カウンターカルチャーの作家として当時の若者に支持されたブローディガンは、僕が『アメリカの鱒釣り』を読んだ数年後に拳銃自殺と云う自らの手によって、この世を去った。

先日、J・D・サリンジャーが他界したが、彼はベストセラー作家になった後、一切書く事を辞め、片田舎でひっそりと暮らした91歳でその生涯を終えた。サリンジャーの方が一世代ほど歳上だが、二人ともベトナム戦争世代に広く支持された作家だった。対照的な二人の人生を湯河原のマス釣り解禁の知らせから、考えてしまったのだナ。

今改めてもう一度、この歳になって『ライ麦畑でつかまえて」を読んでみようかナ、なんて思っている。
       ◇       ◇       ◇
今朝、本屋さんで面白い本を見つけた。現代美術家、会田誠さんのエッセイ集『カリコリせんとや生まれけむ』だ。『濃かれ薄かれ、みんな生えてんだよなぁ……』のタイトルで「星星峡」に連載していたものをまとめたのだが、最初のエッセイは「カレー事件」だった。
このタイトルで真っ先に思い出すのは、坂口安吾の「カレー事件」だ。檀一雄の家に厄介になっていた安吾が、いきなりライスカレー百人前を出前させた珍事だ。

タイトルは同じでも、内容はまったくもって違う話だが、会田さんの文章は面白かった。一度、美術手帖の副編集長等と一緒に酒を呑んだ事が有るが、四六時中アートの事を考えて過ごしている方でアル。酒を呑んでいても、何か浮かぶと暫く黙って考え込むし、その晩も背負ってたリュックを何処かに置き忘れて帰ってしまったもんだから、後でえらい騒ぎになった。

作品を観れば、常人じゃ無い事はスグに判るが、独特のスピード感で書き殴る文章は読後に会田誠作品を観たような気にさえなる。小説『青春と変態』もそうだが、文章も芸術になるのだナ。但し、現代アートだがネ。
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小説家や随筆家等々、「言葉」を表現手段にしている人達は、本当に素晴らしく面白いコトバを残すものだ。毎年、春になるとサントリーの新聞広告が紙面を飾る。僕が社会人になった頃、既に展開していたから可成り長い間続いている「新社会人」向けのメッセージ広告だ。

作家、山口瞳の「ぼくたちの失敗」は、後世に残したい程の名文章だ。

「新入社員諸君! 今日から酒を楽しむ機会が多くなるが、まず、酒は愉快に飲めと言いたい。愉快に飲むためには、他人に迷惑をかけてはいけない。迷惑をかけないためには、酒を飲んでいるときに、絶対に他人のことに口を出さないことだ。それでも、一度や二度は失敗する。こればっかりは、サントリーでも駄目なんだ。失敗したらどうするか。クヨクヨせずに、朗らかに、キッパリとあやまって廻りたまえ。かく申す僕だって、何度かそれをやってきた。(陰の声。いまでもやってるよ)諸君!この人生、大変なんだ。」(1978年4月の新聞広告から掲載)
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ボクは、今でも酒場に出入りし出す若者たちに、このコトバを伝えてあげたい。いや、ホント神保町『兵六』の酒場四戒の横に貼っておきたいくらいだナ。

山口瞳氏が他界した後、このシリーズは途中、脚本家の倉本聰さんに代わり、10年前からは、作家の伊集院静さんが担当している。酒場でお見掛けする限り、可成り酒を呑む人だが、無頼派作家らしい名文で新社会人を斬り、エールを送っている。そして僕は、あの伊集院独特の手描き文字が大好きなんだナ。

今年もまた桜咲く季節が近づいて来た。そして、サントリー角瓶の恒例エール広告も来月登場だ。さぁ、今年はどんなコトバでオトナ社会への仲間入りを祝福するのだろうか。
サントリー「不朽の広告作品」から
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by cafegent | 2010-03-02 15:07 | ひとりごと | Trackback | Comments(0)