9月ももう中日だと云うのに、一向に涼しくならないネ。
七十二候では、「鶺鴒鳴」(せきれい、なく)時季である。
セキレイどころか、まだ蝉がうるさく鳴いている。
そんな残暑厳しい中、先週の金曜日は仕事を休んで、日帰りの小さな旅に出掛けた。
「青春18切符」の最終期限が9月10日だったので、残り1回を使って静岡方面まで足を伸ばしたのだ。
品川で駅弁を買い込み、快速アクティーのグリーン車へ乗り込む。
これで、熱海まで一路快適な居酒屋グリーンに早変わり!なのだナ。
駅弁「深川めし」を頬張りながらの朝酒は実に美味い。
ハゼの甘露煮がビールに合うのだネ。
そして酒朋トクちゃんに借りた水木しげる自伝「ねぼけ人生」を読む。
この人の歩んで来た人生、ホント面白いなぁ。
小田原を抜け、真鶴辺りまで来ると車窓一杯に蒼い海が広がる。
10時52分に熱海駅に到着。
少しは涼しいのかと思いきや、顔に当たる空気が重く湿っていた。
海岸まで出てみると、まだ海水浴を楽しんでいる若者たちが居た。
貫一お宮の像を通り過ぎ、サンビーチ沿いを歩く。
空には、もう赤とんぼが沢山飛んでいたナ。
渚町まで来ると魚の美味い店が幾つか在るのだが、この日は真っ直ぐ居酒屋『富良野』へと向かった。
おや?玄関は開いていたが、暖簾が出ていない。中を覗いて「開いてますか?」と訪ねると「昼間は土日祭日だけなんだよねぇ!」とショックな一言。
えぇ!わざわざ暑い中歩いて来たのにィ、と悲しい顔でアピールすると「いいよ、入んなよ」と嬉しいお言葉をかけて頂いた。
そして、もずくをアテに冷たいビールで喉を潤す事が出来た。
「マグロ切ってあげようか」のウレシイ一言に感激していると近所の方々がやって来た。昼間はご近所の集いの場所なのだナ。
『富良野』のご主人、高橋さんは北海道富良野の出身だ。
長年、熱海の旅館や料理屋で板前として仕事をしていたが、此処に自分の城を築いたのだネ。同じ北海道と云う訳で此処も是非とも応援しなくては。でも、本人は話上手じゃないから、と照れていたナ。
どうですか、このマグロ刺身は。
これで800円なんてスバラシイのだ。
美味しい刺身をご馳走さまでした。次回はちゃんと営業時間中にお邪魔しますネ。
ぶらりと歩き、珈琲のとても美味しい『スナック喫茶くろんぼ』へお邪魔する。
昔、新橋にも『純喫茶くろんぼ』と云う店が在ったが、道路拡張工事の為取り壊しになってしまったっけ。それにしても、今じゃ「くろんぼ」なんて名前付けられないよネ。
マダムがサイフォンで一杯ずつ丁寧に煎れてくれる珈琲は美味しい。
モカやマンデリンも美味しいが、この日はブラジルを戴いた。
毎日来ている常連さんに交じり、午後の陽射しの中、珈琲の香りに包まれて穏やかな時間を過ごせたナ。
珈琲で少し酔いを覚まし、近くに在る『湯宿みかんの木』まで温泉を浸かりに行った。
此処は隅々まで品の良い設えで、女性にとても人気が有る温泉旅館だ。
今回は1200円の日帰り温泉を利用させて戴いた。
さぁ、ゆっくりと浸かるぞ。
この時間はまだ宿泊客が到着しておらず、お客は僕だけでアル。
そんな訳で、のんびりと露天風呂を愉しむことが出来た。
温泉で汗を流し、躯もキレイさっぱりとなったナ。
午後四時口開けの酒場を目指し、青春18切符の旅に戻ることにした。
つづきは、また次回。