東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

日々雑文雑多日記/X'mas eveに孤高の建築家の本を紹介。

今日はクリスマス・イヴだネ。
来客が遅れているので、また日記を更新してみた。
b0019140_162746100.jpg
ラジオでは朝からずっとクリスマス・ソングが流れている。だけど、毎年架かる曲って同じ歌が多いと思わんかネ。
b0019140_1627574.jpg
街では、恋人たちが心時めく様な恋を語り、「もぅ、一生の想い出!」とか何とか言って、高価なプレゼントを貰うのだろうか。

う〜ん、日本は本当に平和かもしれないナ。
       ◇       ◇       ◇
先日、テレビの番組で一人の建築家の事を取り上げていた。

モダンな意匠で著名な建築家の高松伸さんが紹介していたのが、孤高の建築家白井晟一(せいいち)氏だ。1983年に他界しているが、今再び脚光を浴びているのかナ。

80年代、僕は六本木と神谷町の間に在る飯倉片町で働いていた。そのすぐ近くにそびえ立つ「NOAビル」はひたすら異彩を放ち、外界との距離を断ち切っているかの様な建物だった。そう、スタンリー・キューブリック監督の「2001年宇宙の旅」に登場するモノリスを彷彿させたナ。

あの建物を設計したのが白井氏だ。氏の名前を一躍有名にしたのは、1955年に発表された原爆堂の設計だろう。
b0019140_1633645.jpg
実際には建造されなかったが、当時活躍していた多くの建築家たちにも強烈なインパクトを与えた。

モダニズム時代の流れに逆らう様に重厚な中世ヨーロッパの石造りの建物を現代的な解釈で設計し続けた。時には自らがノミを持って石を削ったそうだ。

久しぶりに白井晟一と云う名前を思い出したと思ったら、ナント青幻舎から「白井晟一 精神と空間」なる作品集が出版された。
b0019140_16325239.jpg
美術家の森村泰昌氏は、朝日新聞の書評で、〈この本には、単なる建築家の作品集とは異なる、ただならぬ気配が漂っている。 カヴァーの白井晟一のポートレートをもう一度見る。「憂い」ある表情である。白井氏は何を憂えているのか。日本文化の危機か、それとも機能優先、経済優先の建築界をか。それを語る言葉を私はまだ持たないが、「憂い」あるいはメランコリアの感受性が白井晟一には確実にあり、この人の建築にそれが色濃く反映していることは、私にもわかる。〉と記している。

そう、この本の表紙は可成り凄い。大抵の建築家の作品集と云えば、代表作の建築物がカヴァー写真に使われる筈だが、此れは違う。森村氏の言う「憂い」を秘め、額に拳をあて沈思黙考する白井晟一のモノクロームのポートレートだ。
b0019140_16355536.jpg
本書には作品や図面の他に寄稿文も収録されている。磯崎新氏のエッセイは素晴らしい。先の森村氏の言葉を借りると、〈磯崎新らの、なにか通常言うところの評論を超えた雰囲気の論考も含まれる。それらの論考は、こう言ってよければ、今は亡き恋人に送られた、まるでラヴレターのようである。〉と。

建築家やデザインに関係のない方でも、是非この本を手に取ってみて欲しい。孤高の建築家が見つめる眼差しの向こうに興味を抱く筈だ。
[PR]
トラックバックURL : http://cafegent.exblog.jp/tb/14636842
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
by cafegent | 2010-12-24 16:38 | ひとりごと | Trackback | Comments(0)