東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

日々ヘベ日記/土よ宇から野毛、武蔵小杉と酩酊小旅行。

「東風解凍」(はるかぜ、こおりをとく)の頃。節分が過ぎ、暦の上では東からの風が吹き出して、川面の氷を溶かし始める時季と云う訳だ。

昨日は大相撲三月場所の中止が決定した。角界の不祥事はまだまだ氷山の一角だと報じられている。収入面の格段の差から十両の座を死守しようとする力士たちの悪しき慣例がメールの記録により表面に出た。

賭博や暴力事件などの今までの不祥事と違い、「土俵の中」で起きた事に相撲ファンは嘆いているのだ。石原都知事は、「そんなもん昔からやっていた事だし、誰だって判っているよ」なんて発言を堂々としていたが、それでも横綱白鵬の連勝記録を見守り健闘を讃えていた僕らは少なからず憤りを覚えた。
日々ヘベ日記/土よ宇から野毛、武蔵小杉と酩酊小旅行。_b0019140_13364087.jpg
そう、正面から真剣に勝負に挑み、勝つために日々精進している力士が沢山居るのだから。相撲は伝統芸能だから興行なのか、それともサッカーや野球同様の競技なのかを問う意見も多い。

それでも、土俵の上は「神聖な場所」でアル。だから国技なのだ。と、オジサンは怒るのでアール。

長い間蓄積されていた秘密事が肥大した悪しき氷と化している。東風解凍の如く、早く溶けて澄みきった水の様になって欲しいものだナ。
        ◇        ◇        ◇
さて、土曜日は朝から京成立石へと向かう。『宇ち多゛』の口開けはいつもの様に土よ宇常連たちでほぼ埋まる。
日々ヘベ日記/土よ宇から野毛、武蔵小杉と酩酊小旅行。_b0019140_1343396.jpg
この日は門前仲町から来るユーホさんや木更津から遠出してくる二人もやって来て、ソウさん側は待ち時間も愉しかったネ。
日々ヘベ日記/土よ宇から野毛、武蔵小杉と酩酊小旅行。_b0019140_13435739.jpg
小一時間程呑んで地元ウーさん達と『ゑびすや食堂』へ移動。
日々ヘベ日記/土よ宇から野毛、武蔵小杉と酩酊小旅行。_b0019140_1339544.jpg
岩崎さんとアキちゃんは頭の形が似ているなぁ。

軽く呑んで皆さんとは此処で別れた。立石駅から真っつぐ京急品川経由で横浜へと向かう。
日々ヘベ日記/土よ宇から野毛、武蔵小杉と酩酊小旅行。_b0019140_13441959.jpg
横浜そごう美術館にて開催中の「三代 徳田八十吉 追悼展」を観た。
日々ヘベ日記/土よ宇から野毛、武蔵小杉と酩酊小旅行。_b0019140_13451277.jpg
昨年、76歳でお亡くなりになった九谷焼きの人間国宝三代 徳田八十吉さんは、釉薬(ゆうやく)の色づくりを生涯かけて研究し、伝統工芸の九谷焼きに新風を吹き込んだ。

初代の孫として徳田家に生まれた三代目八十吉さんは、最初九谷焼きを受け継ぐ気が無く、社交ダンスの先生をしていたそうだ。しかし、初代の生み出した古九谷5彩(紺、紫、緑、黄、赤)の資料を解析し、そこから赤を除いた4色の組み合わせを研究し、なんと数百もの色を創り出した。

父、二代八十吉は富本憲吉に強く影響を受け、三代もその現代陶芸を学び、独自の色グラデーション技法による釉薬磁器を完成させた。

「耀彩(ようさい)」と呼ばれる三代 徳田八十吉の陶芸は、国内のみならず世界中で高い評価を得た。
日々ヘベ日記/土よ宇から野毛、武蔵小杉と酩酊小旅行。_b0019140_134697.jpg
古九谷伝統の「石畳紋様」の丸皿を現代に蘇らさせた三代 徳田八十吉作の耀彩大皿「石畳」は本当に見事だ。
日々ヘベ日記/土よ宇から野毛、武蔵小杉と酩酊小旅行。_b0019140_13461950.jpg
息が出来ぬ程の興奮を覚える皿だった。

元々、柳宗悦やバーナード・リーチ等の「民藝」から、富本憲吉の陶芸が好きになり、そこから辿って徳田八十吉を知ったのだが、二代と三代は表現が大きく違う。
日々ヘベ日記/土よ宇から野毛、武蔵小杉と酩酊小旅行。_b0019140_13463727.jpg
展覧会では初代から二代、三代にわたる作品を見る事が出来るが、江戸期の古九谷も展示されており興味深い内容だった。
日々ヘベ日記/土よ宇から野毛、武蔵小杉と酩酊小旅行。_b0019140_13455186.jpg
しっかりと伝統ある九谷焼きの技法を受け継ぎながら、煌めく色彩の世界に吸い込まれたのであった。

芸術に触れた後は、矢張り酒だナ。桜木町に出て、野毛まで。

新橋駅前ビルの地下を彷彿させるぴおシティの地下街は酒呑みにはたまらない。
日々ヘベ日記/土よ宇から野毛、武蔵小杉と酩酊小旅行。_b0019140_13475567.jpg
『第三酒寮キンパイ』の暖簾を潜る。

此処は佇まいも働く人も年季が入っているが、カウンターで呑む客たちも随分と年季が入ってる立ち飲みの酒場だ。

しめ鯖をアテに瓶ビールをゴクリ。展覧会の緊張感がほぐれたナ。
日々ヘベ日記/土よ宇から野毛、武蔵小杉と酩酊小旅行。_b0019140_13481293.jpg
お次ぎはカウンターに在る自販機で酒を戴く。
グラスを置いて、百円玉を二枚入れボタンを押すと酒が注がれる。青ボタンは「ひや酒」、赤ボタンは「燗酒」だ。

白鹿と辛口の松竹梅も有る。もちろん純米酒も置いてるが、客の殆どがこっちだネ。
日々ヘベ日記/土よ宇から野毛、武蔵小杉と酩酊小旅行。_b0019140_13482874.jpg
横浜駅の西口五番街にも『立飲み処 酒寮キンパイ』が在るが、僕はどうも野毛の方が好きなのだナ。

ちょいと良い気持ちになったところで、『福田フライ』の口開けへ。
日々ヘベ日記/土よ宇から野毛、武蔵小杉と酩酊小旅行。_b0019140_13483634.jpg
本当は先に覗いたのだけれど、仕込みが間に合わなくて「30分程待っててネ!」と云われてキンパイで時間潰しをしてたのだヨ。

チューハイを戴き、串カツとアサリ串を辛いソースでお願いする。
日々ヘベ日記/土よ宇から野毛、武蔵小杉と酩酊小旅行。_b0019140_1349252.jpg
この辛さに酒がススむのだネ。

そして、息子さん自慢の刺身は金目鯛を戴いた。
日々ヘベ日記/土よ宇から野毛、武蔵小杉と酩酊小旅行。_b0019140_13495134.jpg
脂の乗りも良く、素晴らしい味だった。

白子と牡蠣酢も戴いて、ポテトとえび、レバーのフライを追加。
日々ヘベ日記/土よ宇から野毛、武蔵小杉と酩酊小旅行。_b0019140_1350229.jpg
続々とお客さんが来るので、程々で切り上げた。あぁ、大満足。

東横線で武蔵小杉まで出て、目指す先は『文福 本店』だ。
日々ヘベ日記/土よ宇から野毛、武蔵小杉と酩酊小旅行。_b0019140_13542756.jpg
店内は予約のお客さんが多く、どのテーブルも予約席になっていたが、タイミング良く焼き台前のカウンターに入れた。
日々ヘベ日記/土よ宇から野毛、武蔵小杉と酩酊小旅行。_b0019140_13545791.jpg
先ずは、樽生ホッピーに名物カレー煮込から。
日々ヘベ日記/土よ宇から野毛、武蔵小杉と酩酊小旅行。_b0019140_13551215.jpg
此処のカレー煮込は静岡辺りのとは違い、具がゴロゴロと云った煮込みじゃない。だが、実に美味いし酒に合う。

焼き物はレバタレから。此処は武蔵小杉では外せない酒場だ。焼き物が本当に美味いのだナ。
日々ヘベ日記/土よ宇から野毛、武蔵小杉と酩酊小旅行。_b0019140_13553346.jpg
この日戴いた芽キャベツの塩バターとにら巻きは絶品だった。

こちらは、塩だんご串焼きだ。
日々ヘベ日記/土よ宇から野毛、武蔵小杉と酩酊小旅行。_b0019140_13555489.jpg
此処で出される川崎の地酒「田ゆう」に使う山田錦を米だんごにして焼いた串だ。香ばしくて飯の代わりにもなる。

そして、僕の大好きなピーコンは絶対オススメだ。
日々ヘベ日記/土よ宇から野毛、武蔵小杉と酩酊小旅行。_b0019140_13564112.jpg
見た目にも面白いが味も良し。
日々ヘベ日記/土よ宇から野毛、武蔵小杉と酩酊小旅行。_b0019140_13561620.jpg
ピーマンとコーンを豚バラ肉でグルグル巻きにして炭火で焼き、仕上げにチーズを溶かすのだナ。あぁ、むふふな美味さに感激だ。

いつの間にか生ホッピーから熱燗になっていた。

焼き場の兄さんたちは若いが皆快活で活気に満ちている。こんな素敵な酒場で煙に燻されながら過ごす週末が愉しいのだネ。
日々ヘベ日記/土よ宇から野毛、武蔵小杉と酩酊小旅行。_b0019140_13565388.jpg
最後はシロタレで燗酒をもう一本。あぁ、酩酊気味の自分が判る。
美味しい酒と焼き物、流石『文福』でしたナ。ご馳走さま!

うーん、このあと乗り過ごさないで帰れたか記憶が曖昧だった。

「三代 徳田八十吉 追悼展」紹介のサイト
by cafegent | 2011-02-07 14:06 | 飲み歩き