東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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日々雑文雑多日記/春はあけぼの、白魚が食べたい!

今朝、新聞を取りに出たら、雪が舞っていた。
今年二度目に見た東京の雪景色だ。どうりで寒さで目が覚めた訳だ。
でも、珈琲を飲んで仕事場に行く頃には冷たい氷雨になっていたナ。

さて、毎年この時季になると白魚の天ぷらが食べたくなる。
サクっとした衣に包まれた白魚が口の中でふんわりと溶け出すのだ。
想像しただけで、よだれが出てくるのだナ。

そう云えば、茅場町の天ぷら屋での事。その日店で仕入れていた白魚を全部天ぷらに揚げて平らげた女性が居た。店の方に伺うと百匹以上は食べたでしょうネ、との事だった。
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白魚はまとめて揚げる店もあるが、此処は一匹づつ丁寧に揚げる。
それにしても、それだけ食べりゃ、気持ちが良いネ。

       明けぼのや白魚白きこと一寸

佃島の白魚じゃないが、松尾芭蕉が伊勢桑名の白魚漁を見て詠んだ名句だネ。中央区佃はかつて白魚漁が盛んだった。浮世絵師・歌川広重の傑作「名所江戸百景」の中にも「永代橋佃しま」なる名作が有る。
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永代橋の橋桁(はしげた)越しに石川島と佃島を望む構図だが、月夜の下で白魚漁に出ている船では漁り火が灯されている。

佃島で穫れた白魚には、葵の御紋に似た模様があり、天下の将軍徳川家康がいたくお気に入りだったらしい。

白魚の季節が来ると、歌舞伎でお馴染み「三人吉三巴白波(さんにんきちさ ともえのしらなみ)」に出てくる名ぜりふを思い出す。

  月も朧(おぼろ)に白魚の 篝(かがり)もかすむ 春の空
  冷てえ風にほろ酔いの 心持ちよくうかうかと
  浮かれ烏(からす)のただ一羽 ねぐらへ帰る川端で
  竿の雫(しずく)か濡れ手で粟 思いがけなく手にいる百両

  おん厄払いましょう、厄おとし

  ほんに今夜は節分か
  西の海より川の中 落ちた夜鷹(よたか)は厄落とし
  豆だくさんに一文の 銭と違って金包み
  こいつぁ 春から 縁起がいいわえ

「厄払い」の七五調のせりふが実に小気味良く響くのだ。

女装した美貌青年の盗人(ぬすっと)お嬢吉三(おじょうきちさ)が、夜鷹(今で云う娼婦だネ)を殺し、百両を奪ったあとの名ぜりふだ。

春寒し節分の時季、冷たい佃の海では霞が立つし、月もおぼろだ。
白魚漁の篝(かが)り火だって今夜は霞む。冷たい風がほろ酔い気味の顔に気持ちよく当たる。
そこへ夜鷹が大金抱えてやって来たもんだから、「濡れ手に粟」とはこのことか。
おぉ、ほんとに今夜は節分だったのネ、とお嬢吉三は夜鷹を海に突き落とし、自分は厄を落としたと気分も上々。

最後にゃ「こいつぁあ春から 縁起がいいわえ」と啖呵(たんか)を切るのだナ。

この「三人吉三」の芝居は、三人の吉三郎が登場するのだ。和尚(おしょう)吉三、お坊(ぼう)吉三、そしてこのお嬢吉三でアル。せっかく奪った百両をお武家さまのお坊ちゃまだった吉三が横取りをしようとして斬り合いになる。お坊さんじゃなくおぼっちゃまの坊なのネ。
そこにまた喧嘩を止めようと入って来るのが和尚吉三だ。こ奴も元は和尚さんだが今じゃ立派な悪党だ。悪党が三人集まって最後には意気投合してしまうのだ。後は観てのお愉しみ。
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今年も恒例新春浅草歌舞伎にてこの「三人吉三巴白波」を観た。と言っても一ヶ月も前のハナシだが。
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新年早々は着物姿が多かったネ。
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今大人気の市川亀治郎がお坊吉三、和尚吉三が片岡愛之助、そしてお嬢吉三を演じたのは中村七之助だった。

この七之助がとても良かったのだナ。あの名ぜりふを見事にこなし、正に観ているこちらも「春から縁起が良いわぇ!」と唸ってしまった。

次の「独楽」は、もう亀治郎オンステージって感じだったナ。
独楽(コマ)売り萬作が最後に自分自身が独楽になって刀渡りを演じて見事だった。
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今月の歌舞伎は、市川亀治郎の女形七役が観られる「於染久松色読販 (おそめひさまつうきなのよみうり)」と近松門左衛門作「女殺油地獄(おんなごろしあぶらのじごく)」だネ。
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市川染五郎との競演はどちらも素晴らしいだろうなぁ。
三等席ならば三千円だから、両方とも観るとしようかナ。
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by cafegent | 2011-02-09 13:13 | ひとりごと | Trackback | Comments(0)