東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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日々是日記/梅雨を忘れて幻想的な蛍の世界へ。

明日は「夏至」だネ。季節を二十四の節に分けた二十四節気のひとつ。この日は、一年で一番日が長い。だが、今日の様にどんよりとした梅雨の曇り空だと日が照っている時間が冬よりも短い時が多いそうだ。
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明日は都内各所でも節電を考えた「キャンドルナイト」や「打ち水」の催しが開かれる。

毎年の恒例行事となった「1000000人のキャンドルナイト」が今年も行われる。夏至の夜8時から2時間、いっせいに電気を消してキャンドルの火を灯し、過ごすのだ。
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明日は東京タワー前に於いて、「でんきを消して、節電エコチャレンジ!〜打ち水大作戦&キャンドルナイト」が開かれる。原発事故で避難している福島県の親子を15組40人を招いて、港区の子どもらと遊び交流を図る予定だそうだ。

別にイベントに参加しなくとも、静かに自分たちだけで部屋の電気のスウィッチをパチンと消せば良い。ゆらゆらと揺れるろうそくの優しい光に癒されながら、好きな人と語り合うのも良い、子どもたちに童話や昔ばなしを語ってあげるのも良い。

ベランダに風呂の残り湯などをまき、窓を開けて過ごせば鬱陶しい蒸し暑さもしばし忘れられるかもしれないネ。

さて、夕べはキャンドルナイトでは無いが、蛍のふわふわとした光の世界に浸るため、目白『椿山荘』の庭園へ出掛けた。
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五月の終わり頃から大きなゲンジボタルが飛び始め、今頃から小さなヘイケボタルが現れる。
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丁度、今は両方の蛍が闇の中に幻想的な光を放ちながら舞う姿が見られるのだナ。

午後7時頃、到着したがまだ外は明るい。見事な日本庭園を散策して、陽が暮れるのを待つのだ。
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紫陽花の向こうに勢いよく流れ落ちる滝は、裏側に廻る事が出来る。
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滝の後ろに立つとヒンヤリした冷気と共に浄化された水しぶきに癒されるのだナ。
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優美に満ちた三重塔も見事に修復されて、黄昏時になると美しくライトアップされる。夜は3回程、音楽も流されるのだ。
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日々、この時刻は酒場で過ごしているが、自然の中で陽が暮れるのを待つのも贅沢だネ。
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日が落ちて、紫陽花の咲く小さな沢の方へと向かうとホタルたちが光を放ち出した。この素晴らしい世界を是非皆さんも見て欲しいナ。
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『椿山荘』の庭園は、澄んだ水と自然環境を保ったビオトープにより、本当に沢山の蛍が生息している。

しばし時を忘れ、幻想的な蛍の棲む世界へと誘(いざな)われた。

      瑠璃色の闇に彷徨(さまよ)う恋蛍   八十八

蛍の句と云えば、恋多き女性俳人鈴木真砂女も多く残している。その中でも、僕が好きな句をふたつ紹介しよう。

      恋を得て蛍は草に沈みけり

      死のうかと囁(ささや)かれしは蛍の夜

なんとも真砂女らしい恋の句だナ。

腹が減ったので、目白駅まで戻った。
毎年、蛍の幻想美に癒された後は、美味い酒と美味い料理に癒されるのだ。向かった先は、駅からすぐの路地を入った鰯料理の『すみれ』だ。
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此処で丁度デジタルカメラが電池切れになっちまった。トホホ。

先ずは瓶ビールと此処の自慢料理「いわしつみれポン酢」を戴く。
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この通称つみポン、本当に美味いのだナ。
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そして、鰯と胡瓜を海苔で巻いた「いわきう」。
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これには、秋田の「山田錦」大吟醸を合わせてみる。うん、美味い。

そして、毎回女将さんから梅雨時のバテ防止にはコレよ!と薦められる「ねぎとん」だ。
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刻んだ香味野菜と豚が絶妙にマッチ。あぁ、酒がススむ。
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宮城の「一の蔵」を戴いて、手作りの「薩摩揚げ」を戴いた。
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白身魚のすり身がふんわりで、香ばしい味わいだ。

最後の〆は、矢張り此処の名物「ねばりそば」だネ。納豆、おくら、山芋がたっぷりと入りコシのある蕎麦と絡めるのだ。
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いつも目の前で女将さんが勢い良くかき混ぜてくれるのだが、これが見たいからいつも頼むのだナ。
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『すみれ』で満腹になり、ご馳走さま。

続いて向かう先は、徒歩で数十歩の処に在るバー『なすび』へ。

毎年、蛍鑑賞が水曜だったので、此処の定休日に重なっていたのだが、昨日は月曜だから開いていた。
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日々僕が通う神保町の酒場『兵六』同様に、此処も創業60余年を迎えた老舗だ。店主の伊藤千秋さんは二代目でアル。此処『なすび』は、千秋さんの御母堂が始めた目白で最古参のバーだ。千秋さんは元々音響メーカーで働いており、その後学習院の非常勤講師をしておられたのだネ。
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初代店主がお亡くなりになられた後、数年もの間閉めていたのだが、矢張り血は受け継がれるのか店を引き継いだそうだ。

店主も俳句を嗜んでおり、句会を催している。俳句の話で盛り上がっていたら業界でも有名な「かいぶつ句集」を頂戴した。
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頁を捲れば、サエキけんぞうさんなど知った方も登場していた。それにしても「かいぶつ句酒会」も濃そうだなぁ。
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焼酎の杯が重なり、愉しく時が過ぎて行く。

僕が甘党だと云うので、店主が鯛やきを温めてくれた。
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チョコレートでウィスキーも良いが、鯛やきで芋焼酎と云うのは余り聞かないか。

俳句から絵画の話題へと切り替わり、その間ちょこちょこと酒の肴を出してくれるのだナ。
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それにしても僕の大好きな画家・斎藤真一を千秋さんがご存知だったとは嬉しかったナァ。

夕べはすっかり焼酎を吞み切ってしまったので、次回またボトルを入れよう。

まだ終電にも間に合うし、夕べは蛍に誘われて目白の夜を堪能したナ。


大きな蛍の画像は「フリー写真ブログもってって」から。
by cafegent | 2011-06-21 13:21 | 飲み歩き