東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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日々雑文雑多日記/児島湾の天然しゃこうなぎに唸る。

昨日、今日と二日続けてパイロット万年筆の15段広告が出ていた。
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絵と文は、全て和田誠さんの手描きでアル。PILOTの企業ロゴまでもが手描きで、実にほのぼのとした広告だ。

パソコンに押されがちで、文章も日々キーボードを叩く方が多くなって来た。それでも散歩や旅に出る時などは、万年筆を持って出掛ける。
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この小さな万年筆は、「エリート」と云う代物だ。今からもう40数年も前に発売された万年筆だ。大橋巨泉がCMで「ハッパフミフミ」と意味不明なセリフで一世を風靡したスタイリッシュな万年筆だった。

ちゃんと手入れをしていれば、今でも使えるのだから素晴らしい限り。時々、木綿のトートバッグの中でインク漏れをして、バッグに染みを作ってしまうのもご愛嬌なのだナ。

僕は東京堂書店などで、作家のサイン会に行く度に、自分の万年筆でサインをしてくれる先生に殊の外愛情が沸くのだ。万年筆はそんな使い方こそ、面目躍如!たるのだナ。
       ◇        ◇        ◇
また暑い夏が戻って来た。週末の涼しい日がもう愛おしい。

躯の事を考えて、毎朝自宅から仕事場まで約30分歩いてる。今朝も青空の向こうから太陽が路面をジリジリと照りつけていた。
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5分も経たないうちに、腕から粒の様な汗が吹き出して来た。
新陳代謝が良いのは嬉しいのだが、Tシャツの着替えと数枚のタオルは夏の必需品となっているのだナ。

暫く歩いていると、青い空を夏の雲が覆いだした。
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まるで水彩画の空に、太い絵筆で白絵の具を塗っていくみたいだった。眩しかったアスファルトに大きな影が出来て、束の間の日影に涼を取りながら歩いた。

考え事をしながら歩いていたら、ガードレールに気が付かず、膝小僧を思い切り打つけてしまった。
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一人小さな悲鳴を上げていると、また雲間から太陽が顔を出し始めた。

仕事場まで、あともう少し。暑い夏も東京らしくて良いのだナ。
       ◇        ◇        ◇
閑話休題。
岡山に住む義理の母から、児島湾の天然アオうなぎの話を聞いた。
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穴じゃこと云うしゃこ海老を餌にして延縄(ハエナワ)漁で穫るので、「しゃこうなぎ」とも呼ばれている。

身が厚いのに旨味が凝縮されていて、天然ものに有りがちな川魚特有の臭みもないと云う。

この話を聞いたら、もう喰わずにはいられなくなった。そんな訳で、東京で児島産天然うなぎを食べさせてくれる町田の『双葉』へと出掛けたのだ。

当日の朝、店に電話をして天然うなぎが有るかどうか確認した。
電話に出た男性の方は、「有るにはあるが、混んで並ぶ事になるから、確約は出来ない」と、実にツッケンドンな返事を返された。

まぁ、時間が早かったので仕込みの職人さんだったのだろう。「判りました」と電話を切り、家を出た。並ぶならば、早め目に行けば良いのだろうと開店時刻の11時を目指して電車に乗った。

菊名駅で横浜線に乗り換える筈が、週刊誌の中吊り広告に魅入ってしまい、乗り過ごしてしまった。

結局、横浜で乗り換えて店に着いたのは、11時半だった。やれやれ。
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それでも、待つ事もなくスンナリと座る事が出来た。

小田急百貨店のレストラン街に在るので、風情ある佇まいなどは望めないが、老夫婦などが仲睦まじく鰻重を食べている姿が実に微笑ましい。
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先ずは生ビールを頼み、天然しゃこうなぎが残っているかを確認。
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品書きを眺めると、天然しゃこうなぎ重(花)が4,200円から、(月)が3,150円からとなっていた。おや、案外良心的な値段なのネ、と思っていたのだが...。

中居さんが厨房に確認しに行き、「6,300円のモノが一尾だけございますが、如何いたしましょう?」との事だった。

こっちは、天然のしゃこうなぎを求め、遠くから来ているのだから、是も非も無い。迷わず、それをお願いした。

3,40分程お待ち下さいと、ウナギの骨せんべいを出してくれた。
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これも香ばしくて、ビールのお代わりがススんだナ。

「岡山の味風土記」によれば、江戸時代には現在の岡山市青江や八浜の漁民にのみ、ウナギ漁の権利が与えられていたそうだ。児島湾一帯で穫れる鰻が「青江のアオ」として定着しているのは、その名残なのだネ。

明治22年、大阪でウナギの品評会があった。島根の宍道湖産と備前青江産が最後まで残ったが、「味・脂の具合とも、双方互角、ただ風味の一点のみ備前青江が宍道湖に勝るものなり」との判定を下して“日本一の味”の栄冠を青江産が取ったそうだ。
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現在72歳の清水魁さんは、しゃこうなぎ漁の名人だ。今は息子さんも受け継いで、奥さんと三人で漁に出ているらしい。

児島湾のウナギは柔らかい泥の中に生息するため、体は青みがかり、皮は分厚くならないのだ。清水さんによれば、「川のウナギの様にミミズや虫じゃなく、穴じゃこみたいな海のものを食べているので、旨味が違う」のだそうだ。
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ビールから酒に切り替え、ウナギが焼き上がるのを待つ。
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そして待つ事35分、天然しゃこうなぎ重の登場だ。

蓋を開ければ、香ばしい匂いが立ち昇る。
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その身は、肉厚だが皮は薄く、脂っ濃過ぎない。
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頬張るとふっくらと柔らかな食感が口いっぱいに広がるのだナ。
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長年継ぎ足して来たタレの味も程よく、炭火の焼き加減も素晴らしい。朝の無愛想な電話の応対の事は忘れよう。

しかし、ウナギは待つ時間は長いが、あっと云う間にペロリと平らげてしまうから出て来てからは実に早い。まるで、『宇ち多゛』の口開けの様なのだナ。必ず1時間は待ち、席に着いても3,40分で終了だからネ。
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天然うなぎと云えば、麻布の『野田岩』や南千住の『尾花』ばかりだったが、此処『町田双葉』も素晴らしい。ハレの日は、此処に来て天然しゃこうなぎを食べる事にしよう。
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Commented by 多摩三郎 at 2011-08-25 00:26 x
岡山がウナギの名産地だなんて全く知りませんでした。しゃこうなぎですか……肉厚な身がいかにも酒に合いそうで、見ていてよだれが出て来ました。そういえば今シーズンまだ一回もウナギを食べてない……。町田はウチから近いし、このブログを見せて、カミさん説得工作に賭けてみまっす!
Commented by cafegent at 2011-08-25 15:32
多摩三郎さま、こんにちは!

岡山県児島湾のウナギは、僕も聞くまで知りませんでした。

でも、本当に美味しかったですよ。
いつか地元児島で食べてみたいものデス!
Commented by モンブラン at 2013-10-11 01:11 x
非の打ちどころのないクオリティを保証するために、一本の筆記具に対して行われるテストの数はなんと50にもおよぶのです。
by cafegent | 2011-08-24 12:34 | 食べる | Trackback | Comments(3)