東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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東京黄昏酒場/その8.新宿裏路地『三日月』で昭和を吞む。

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歌舞伎町から区役所通り方面へ進み、「思い出の抜け道」と描かれた黄色い門を抜けると風林会館前の路地裏に出る。
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其処だけ昭和の臭いを色濃く残している一角に出る。バブル期に廻りは殆ど地上げに合い、この一角だけまるで時代に取り残されたのではないかと見まがう程の哀愁が漂っている。此の小路には、中華料理屋や居酒屋、DVDショップなど幾つもの店が軒を連ねている。

並びの『ばるぼら』も古からの名店だが、居酒屋『三日月』の暖簾は、この路地にしっくりと馴染んでいる。
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創業60年を迎えた店内は、いつも綺麗に手入れされている。長年多くの客と対峙してきたカウンターは擦り減って良い風情を醸し出している。
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此処の二階で生まれ育った二代目のご主人と奥さん、そして時々下に降りて来るお母さんの三人で切り盛りしている小体の居酒屋だ。ご主人は此処、歌舞伎町生まれの歌舞伎町育ちだ。幼い頃からずっと先代の仕事ぶりを見て育ったのだね。
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酒はビールから始めるか、焼酎からにしようか。
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銘酒を置いている訳ではないが、日本酒も数種類ある。

夏には外に七輪を出し、くさやを焼いている。秋には店の中に入れ、秋刀魚などを焼く。

月見、もずく、莫久来、くさや等々、此処の品書はもう何十年と変わっていない。
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そこに季節の肴や刺身が加わるのだ。秋から冬にかけては牡蠣料理が良い。ご主人が築地から仕入れる魚介は素晴らしい。

昔からの名物のオムレツは、今は亡き作家の田中小実昌氏が「世界一のオムレツ」とエッセイに残している。卵を6、7個とこれでもかと言わんばかりに入れて作る迫力の一品である。

此処の料理はどれもが物凄いボリュームだ。一人だと当然何皿も頼めない程だ。ステーキも度迫力である。お客の年格好で200gとか300gとかを判断して焼いてくれるのだが、その差配が見事なのだ。

また、オールグリンなる一品が有る。その名の通り、総て緑色の野菜の炒めものだ。
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丸い中華鍋に胡麻油、ラード、そしてバターと三種類を使い、アスパラガスから炒めて行く。ピーマン、さやえんどう、ししとう、ニラと火の通る順番を考えて野菜が鍋に放り込まれる。

先代が早稲田大学の相撲部出身らしく、どの料理も量が凄い。
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二代目のご主人もお父上譲りの立派な体格の持ち主だから、此処の肴の量もしっかりと受け継がれているのだろう。

小体の店だが、二、三人で訪れると店自慢の肴を色々とつまみながら酒を酌み交せる。

秋も深まり、日暮れも早くなった。
今日も変わらず『三日月』の暖簾は、午後五時に下がる。さて、此処で腹を満たして、夜のゴールデン街に消えるとしようか。
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by cafegent | 2011-10-25 17:18 | 飲み歩き | Trackback | Comments(0)