日々是日記/年の瀬の浅草で『松風』を偲ぶ。
2011年 12月 20日
昼間は青空が広がったが、夜になるとさすがに冷えるネ。
夕べはカミサンが岡山出張から戻り、岡山の実家から義父が育てた法蓮草や大根などの野菜をたんまりと持ち帰ってくれた。
毎晩食べても飽きないから、常夜鍋と名付けられた訳だが、野菜不足の我が身にはとても有り難い鍋でアル。
大根おろしを沢山入れてポン酢で食べたのだが、法蓮草の山があっと云う間に無くなった。法蓮草のアクも日本酒が消してくれるのだろうか、〆の素麺も大変美味かった。
そう云えば、向田邦子さんもこの鍋が好きだったと書いていたナ。
徳利の酒 温(ぬる)くなり 冬日和 八十八
◇ ◇ ◇
年の瀬が来ると毎年、浅草寺まで出掛ける。
今年は新しいピーコートを手に入れたので、日々愛着が湧いて来る。
いつものマリンキャップにも、とても似合う。さながら、「タンタンの冒険」に登場するハドック船長の気分だろうか。
お詣りを済ませた後は、浅草寺からホッピーストリートを歩く。もう永い間、羽子板市の帰りは居酒屋『松風』で酒を引っ掛けていた。
酒を注文すると、店の方が復唱するのだが、その声の響きがまた良かった。僕は宮城の地酒「浦霞」に始まり、岩手の「南部美人」そして福島の「大七」で締めた。
但し、「当店では御一人様に付き、酒は三本以内にお願い致します」の貼り紙が壁に無情に貼られていることには、いささか参った。
酒三合とは、丁度ほろ酔い気味になりかけた頃合いだからでアル。
文句の一つや二つ云いたい所だが、小心者の吞んだくれ故にいつも唯黙って三本の酒を呑み干して席を立つのであった。
時代が移り行き、街の景色も日々変わっていく。浅草の街もなんだか面白みが薄れた様に感じるのは僕だけだろうか。
今年の浅草寺の境内は一段と風が冷たく感じた。そして、あの『松風』も今はもう無い。