日々是日記/今年最初の句会は武蔵野吟行なり。
2012年 01月 10日
昔から鏡餅は包丁などで切ってはならず、手で割ったり木槌などで叩いて砕いた。これは、武士の切腹を想起させたり、お供え物に刃を向けてはならない、と云った習わしからだネ。
砕いた餅は汁粉に入れて、家族で食べる。これでこの一年の無病息災と延命を祈願する訳だ。
松の内が過ぎて、正月気分もそろそろ抜ける頃。だが、仕事場に来ても相変わらず僕はヒマでアル。ふむッ!
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先週の5日、築地市場では初競りが開かれた。
青森の大間で水揚げされた生鮮マグロが初競りにかけられたのだが、昨年は香港の『寿司キング』が銀座の『久兵衛』と組んで、北海道戸井産の本マグロを3249万円と破格の値段で競り落として話題をさらった。
どの支店でもすぐに売り切れになったのだが、この『すしざんまい』、ただ儲けるだけじゃなく、中々粋な計らいをしてくれるじゃないか。
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日曜日、風は冷たかったが空一杯に青空が広がった。
この日は今年最初の句会があった。毎年最初の句会は「吟行」だ。
吟行とは、外に出て句の題材を求めながら歩くことだ。
午後1時に集合し、皆それぞれに句のお題を探して園内を歩く。
また、古民家では囲炉裏に火が灯されて昔ながらの暮らしに触れる事ができた。
日頃、ゲーム機に興じる子供も竹馬や昭和の頃が懐かしい自転車のスポーク転がしなどに夢中になってトライしていたナ。
僕が通う東京根岸の居酒屋『鍵屋』も江戸時代に建てられた旧店舗が此処に移築されている。
銭湯『子宝湯』の脇では、小金井ばやしの方々の「神楽囃子」が演奏され、日本の正月に欠かせない獅子舞いも披露された。
俳句のお題がてんこ盛りの「たてもの園」、やっぱり酒が欲しくなる。
吉田類さん主宰の句会は、吞んべいが集うのが嬉しい限り。
インバネスに身を包むのは句会仲間の長笑さん。
今回はRKC高知放送のラジオパーソナリティ渡辺さおりさんが東京出張の合間を縫って参加してくれましたネ。
高知でも早く句会が催せると良いですネ。
後はいつもの様に酒に興じながら、選句となった。
『江戸東京たてもの園』ならではの句も多く詠まれたが、初春に相応しい句も多く選ぶのに随分と悩んだナ。
冬の日を明治の硝子越しに見て
松村苗(なえ)さんの詠んだ句だ。午後の冬の陽射しが明治時代の建物のガラス窓を通して、どの様に映ったのだろうか。今ではあの波打つ様なガラスは作れないらしいネ。新春吟行に相応しい一句でしたナ。
さぁ、今年も多くの句を詠みたいものだ。
松過ぎの又も光陰矢の如く 高浜虚子
この一年、またあっという間に過ぎて行くのだネ。