東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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日々是日記/今年最初の句会は武蔵野吟行なり。

      松過ぎの早くも今日といふ日かな  久保田万太郎
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明日11日は「鏡開き」の日だ。
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正月松の内を飾った鏡餅もカチンカチンに固まってひび割れている。

昔から鏡餅は包丁などで切ってはならず、手で割ったり木槌などで叩いて砕いた。これは、武士の切腹を想起させたり、お供え物に刃を向けてはならない、と云った習わしからだネ。

砕いた餅は汁粉に入れて、家族で食べる。これでこの一年の無病息災と延命を祈願する訳だ。
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先週末の「七草粥」と明日の「鏡開き」で家族の健康を願おう。

松の内が過ぎて、正月気分もそろそろ抜ける頃。だが、仕事場に来ても相変わらず僕はヒマでアル。ふむッ!
     ◇         ◇         ◇
先週の5日、築地市場では初競りが開かれた。
青森の大間で水揚げされた生鮮マグロが初競りにかけられたのだが、昨年は香港の『寿司キング』が銀座の『久兵衛』と組んで、北海道戸井産の本マグロを3249万円と破格の値段で競り落として話題をさらった。
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しかし、今年は更に競り値が跳ね上がった。ナント大手寿司チェーンの『すしざんまい』が史上最高値の5649円で競り落としたのだネ。
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大トロ一貫あたり1万5千円にもなる価格であル。こりゃ、たまげた値段だが、すしざんまいの経営者は年頭のご祝儀と云う訳で、各店に振り分けて一貫398円で提供してくれたそうだ。

どの支店でもすぐに売り切れになったのだが、この『すしざんまい』、ただ儲けるだけじゃなく、中々粋な計らいをしてくれるじゃないか。
     ◇         ◇         ◇
日曜日、風は冷たかったが空一杯に青空が広がった。

この日は今年最初の句会があった。毎年最初の句会は「吟行」だ。
吟行とは、外に出て句の題材を求めながら歩くことだ。
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昨年は高尾山を登ったが、今回は小金井公園内に在る『江戸東京たてもの園』を訪れた。
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句会を主宰する酒場詩人・吉田類さんは、変装したつもりらしかったが沢山の方に声を架けられていましたネ。

午後1時に集合し、皆それぞれに句のお題を探して園内を歩く。
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ちょうど正月の昔遊びを体験出来るイベント「正月遊び」が催されており、昔語りや書き初め、羽子板、風車作りなどが体験できた。

また、古民家では囲炉裏に火が灯されて昔ながらの暮らしに触れる事ができた。
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泰舟さんと雀羅さんが囲炉裏端で佇んでおりました。

日頃、ゲーム機に興じる子供も竹馬や昭和の頃が懐かしい自転車のスポーク転がしなどに夢中になってトライしていたナ。
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こう云う催しに子供らを連れて来てあげる家族に感謝したいネ。
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東京の歴史に触れられる古民家や商店、銭湯などが数多く移築保存されており、さながらタイムスリップした様だ。

僕が通う東京根岸の居酒屋『鍵屋』も江戸時代に建てられた旧店舗が此処に移築されている。
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年に一度8月には、実際に此処で酒が吞める催しも開かれる。

銭湯『子宝湯』の脇では、小金井ばやしの方々の「神楽囃子」が演奏され、日本の正月に欠かせない獅子舞いも披露された。
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五穀豊穣、無病息災を祈って勢いよく獅子が舞ってくれたのだナ。

俳句のお題がてんこ盛りの「たてもの園」、やっぱり酒が欲しくなる。
吉田類さん主宰の句会は、吞んべいが集うのが嬉しい限り。
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園内では屋台も豊富に出ており、焼酎のお湯割りなんぞを呑みながら句を捻るのだ。

インバネスに身を包むのは句会仲間の長笑さん。
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いつも粋な和服で現れる。

今回はRKC高知放送のラジオパーソナリティ渡辺さおりさんが東京出張の合間を縫って参加してくれましたネ。
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遅れて到着した有田芳生さんとご挨拶。
高知でも早く句会が催せると良いですネ。
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類さんも小腹が空いたのか、酒と肴を仕入れてましたネ。
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土管遊びなども今はもう見られない光景だなぁ。
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長閑な冬日和の中、有田先生はその横で一句詠んでおりました。
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佐々木御夫妻と我々は、すっかり酒宴のゼロ次会でアル。
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銀座マダムの様な出で立ちは『兵六』にも良く来るゆりいサン。おいそれと近寄れないオーラが漂うネ(苦笑)
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さて、俳句の方も皆さん二句づつ出し終え、選句会場の『壱番館』に移動した。
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武蔵小金井の居酒屋さんだが、魚介が評判だ。

後はいつもの様に酒に興じながら、選句となった。
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先ずは、乾杯ですナ!お疲れさまでした。
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燗酒もススむススむ。

『江戸東京たてもの園』ならではの句も多く詠まれたが、初春に相応しい句も多く選ぶのに随分と悩んだナ。
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この日一番「天」を取った句をご紹介したい。

     冬の日を明治の硝子越しに見て

松村苗(なえ)さんの詠んだ句だ。午後の冬の陽射しが明治時代の建物のガラス窓を通して、どの様に映ったのだろうか。今ではあの波打つ様なガラスは作れないらしいネ。新春吟行に相応しい一句でしたナ。

さぁ、今年も多くの句を詠みたいものだ。
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類さん、宜しくお願いします!

     松過ぎの又も光陰矢の如く   高浜虚子

この一年、またあっという間に過ぎて行くのだネ。
by cafegent | 2012-01-10 13:27 | 飲み歩き