日々是日記/紅葉忌を前に、馴染み酒場で秋を呑む。
2012年 10月 24日
つい数日前は、矢を射る弓の様な三日月だったナ。
今月30日は、「紅葉忌」だ。小説家尾崎紅葉の忌日でアル。胃癌を患い明治36年36歳の若さでこの世を去った。
小説「金色夜叉」が余りにも有名だが、俳人としても正岡子規に対抗し新派俳壇の旗手として数多くの句を残した。
茶碗酒といふものうまし小夜千鳥(さよちどり)
やや寒き飯のうまさを語りけり
秋風の袂(たもと)をさぐる酒銭かな
古酒盃中の秋に堪えすや泣上戸(なきじょうご)
この人も結構酒を嗜んでいたのだろうネ。
啄木鳥(きつつき)の纔(わずか)に木霊の耳を澄ます
それにしても、今は本当に便利な世の中になった。国立国会図書館の近代デジタルライブラリーで検索すれば全ページがデジタルアーカイブとして閲覧出来るのだからネ。
モルヒネも利かで悲しき秋の夜や
胃癌で苦しんでいた紅葉は、この句を詠んだ時には既に筆が持てず、すべて口述筆記で小説や俳句を生んでいたそうだ。
この句が駄句かどうかは問わないが、ここまで病に伏しているにもかかわらず句を詠み続けた熱意は凄いとしか言いようが無い。この辺りも、子規への対抗意識に重なるのだナ。
◇ ◇ ◇
閑話休題。
月曜日は銀座で用を済ませた後、地下鉄で木場に出た。
久しぶりの『河本』の口開けだ。
早いもので、もう来月は酉の市なのだネ。
店の奥では、いつの間にか移動したモコとキジオが居た。
看板猫のおシマが亡くなって久しいが、時々思い出す。
『河本』の猫たちは、人の好みがハッキリしているそうだが、僕は何故か気に入られているみたいだ。近くに寄っても逃げないものネ。
暮れ泥む夕暮れの酒場で、長閑に酒を愉しんだ。