日々へベ日記/怒濤の土よ宇朝酒の旅!
2013年 02月 27日
4,5年前、NHKの番組「課外授業」で母校の中学校に登場した柿沼さんの描く書を観たときから、ひたむきに書と向き合う姿に強烈な印象を抱いたのだナ。
名筆を傍らに置き、気が遠くなる程に時間をかけて、ひたすら書を書き写す、「臨書」と云う修練だ。
「細部まで目を配り、よく考えながら筆を動かす。何万回と向き合ううちに、やがて書き手の気持ちまで推測できるようになる」と言う。
絵画界の巨匠ピカソ同様に幼い頃から基礎をしっかりと学んでいるからこそ、あの「アートとしての書」が生まれたのだネ。
インタビューの中で、現在の書壇とその教育界を鋭く批判していたことも実に興味深かった。
〈書の団体が乱立し、全国規模で一本化されたライセンスがない。どこの地方の、どこどこの団体の何級とか何段とか。どれだけの意味があるのか。先生によっては師範の資格を与える時に相当な額の謝礼を要求したり、弟子に自らの作品を買わせせたりもする。で、やっているのは習字・書写のレベル。こんなことだから、書画藝術だと、世間になかなか認めてもらえない。〉
なんとも辛辣だが、まったくその通りだと思った。
〈だいたい、アーティストはそれ一本で食べていくのが当たり前なんです。北野武の映画塾とか矢沢永吉のロックンロール塾なんてないでしょう。だから、僕は弟子をとらない。生き方も、「ロック」で貫きたいんです。〉
なんともカッコイイことを言い切る人だネ。今年の秋に現代美術専門の美術館で展覧会を開催するそうだ。今から愉しみだナ。
今年百歳を迎える女流書家の篠田桃紅さんの書も素晴らしいアート作品だが、柿沼さんはまだ42歳。これからますます目が離せないアーティストの一人でアル。
◇ ◇ ◇
閑話休題。
先週の土曜日は久しぶりに怒濤のハシゴ酒となった。
食堂の隣りでは、わんぱく兄が現場で仕事をしていた。
三軒目は仲見世に戻り蕎麦の『土日庵』へ。
程よく吞んで、蕎麦を戴いた。
立石を四軒で切り上げて、いざ武蔵小山へ。
『牛太郎』は相変わらず満席だったので、待ち合いでビールを戴いた。
ジョーさん特製の湯豆腐には香ばしく焼けた鶏を入れてくれた。
六軒目は『晩杯屋』へ。
すっかりヘベのレケになったが、這ってでも帰れるから地元酒はイイ。
そんな週末怒濤のハシゴ酒であった。
◇ ◇ ◇
柿沼康二さんを取り上げた過去の「東京自由人日記」