第148回芥川賞を受賞した黒田夏子さんの作品「abさんご」を読んだ。
横書き形態で、句読点じゃなく「カンマ」と「ピリオド」を使って書かれているのだが、兎に角読みづらかった。たぶん、いつも読む時間の3倍以上はかかっただろう。
それは、今までに触れた事も無かった「平仮名」を多様した小説だったからだ。普通に目で追って読んでいると、どこで区切って良いのかが判らなくなる。英語の本を読む時の様に一行づつ指で追いながら読む。
それでも、頭の中が混乱してくるのだからタチが悪い。そう、この小説は黙読では非常に歯痒く感じられ、自然に音読で読む方が楽に進むことが判って行くのだ。
正直、最初の数ページを読んで、途中で投げ出したくなった。だが、読み進めるうちにどんどん「ことば」が心に刺さって来る様になって来たのだ。パソコンのキーボードで言葉を打ち込み、変換する様に頭の中のキーボードが「平仮名」を漢字に変換していく。そうすることで、その言葉が深く残って行くのだネ。
長く校正の仕事をしていた作者だけに、この小説はとても「ことば」を大切に扱っていると思う。とても長い年月をかけて書き上げたと聞く。
幼少の頃に片親を亡くし、その38年後にもう片方の親を亡くした子供の記憶を平仮名を多様した独特の言い回しによって紡いで行く。徐々に自分自身が年月の流れの中を浮遊する個体の様になっていく。そんな不思議な感覚に包まれながら、最後まで読みススんだ。
芥川賞の選考も随分変ったナと思ったが、読後には納得の受賞だと感じた。次の作品はまた大分先になるのだろうか。待ち遠しい限りでアル。
◇ ◇ ◇
閑話休題。
先週の土曜日は、いつもの様に朝から京成立石へと出掛けた。
土曜日口開けの『宇ち多゛』常連の大島さんとホッシーに挟まれているのは、初宇ち入りのアッちゃんだ。いつもは野方『秋元屋』で一緒に呑んでいるのだが、立石デビューと相成った。
ダンディ岩崎さんもご登場。この日は、ポークパイハットか!
そして待つ事1時間半、いつもの奥席で朝の酒宴となった。
カシラはスグになくなっちゃうから早めに頼むのだナ。
レバータレも相変わらず美味い。
約40分程楽しんで、ご馳走様だ。外は長い列が出来ていた。
二軒目はヨーカドー裏の『ゑびすや食堂』へ。
いつもの緑茶割りを呑みながら、ハムエッグを戴く。
黄身をご飯に乗っけて醤油を垂らす。遅い朝飯も無事終了。
さて、この日は午後から花見が控えていた。
立石を二軒で切り上げ、東大前へと移動。
東京大学赤門前で集合だ。
この日のお花見は昨年末惜しまれながら閉店した『鳥重』のお客さんたちによる宴で、東大病院前の桜の木の下で催された。
友人のライター森一起さんとバーテンダーAsshと三人で参加した。
気温が低く、花冷えだったが、大勢の方が集まり楽しい会となった。
生ビールで乾杯し、『鳥重友の会』の宴が始まった。
そして、この日はなんと『鳥重』のお母さん、東山とし子さんが自ら塩麹で仕込んだローストチキンを二羽も焼いて来てくれたのだネ。
これには一堂大感激だった。
お母さんが手でチキンをほぐしてくれた。感謝多謝!
ビールから日本酒、焼酎のお湯割りと切り替えて、酒で暖をとる。
3ヶ月ぶりに見たお母さんの変らぬ笑顔に、うるうるとしてしまったのだナ。
満開の桜の木の下で、良き大人たちの宴は続いた。
「次回は、焼き鳥を焼いて来るからネ!」と頼もしいお言葉まで戴いて、感謝感激のまま愉しい宴が終わった。
僕と森さんは、一路武蔵小山へと移動。
『牛太郎』の戸を開けると馴染みの顔が集って居た。
白波のお湯割りで冷えた躯を温め直す。
閉店時間となったので、続きは『晩杯屋』となった。
レバカツをアテに酒もススむ。
サバの塩焼きだって110円なのだから、懐にだって優しいのだナ。
その『晩杯屋』だが、5月に東上線大山駅前に大バコの新店をオープンするらしい。
金子社長の手腕は凄いネ!
タケちゃんの顔も赤い!w
酔いも大分廻って来て、我々は『豚星』並びのカラオケスナックへと移動。
タケちゃんも良い塩梅で酔っている。
一起さんの熱唱をアテにワインがススんだ。
そんな朝から晩まで、ヘベのレケの酒紀行であった。ふぅ。