兼六園を出て「にし茶屋街」を歩く。
月曜だからか、人が居ない。
犀川大橋を渡り、再び繁華街へ。
セレクトショップなどが並ぶ片町プレーゴ内に在る『カフェ・アルコ・ディ・カンパーニュ』でランチビールを戴く。
ハイ、カンパ~イ!
ふぅ、乾いた喉に命の水が降り注ぐ。
パティオに降り注ぐ初夏の陽射しがビールを一層美味しくしてくれる。
あぁ、生き返った!
再び、近江町市場へ歩く。
八百屋さんの軒先ではツバメが営巣中だった。
フンが落ちても平気な様に傘を逆さに吊るしてある。ナイスなアイディアだネ。
この街は本当にツバメと親しく共存しているのだナ。
帰りの列車内で食べるどじょうの蒲焼きもゲット!
午後4時、口開けの『高砂』へ。まだ、暖簾が出ていなかったが、快く入れて戴いた。
生ビールのジョッキを手に再びカンパイ!
旅に出ると普段中々言えない「ありがとう」の言葉が自然に出てくる。
そして、日々ヘベレケ状態でロクに話も出来ないのだが、違う街に来るとじっくりと夫婦で向き合うことが出来るのだナ。日頃のカミサンの気苦労に反省しつつ、「いつもありがとう」と言うことが出来た。
そんな訳で、おでん行脚の旅が続く。
くふま麩としのだ巻を戴く。カミサンは大根とがんもどき。
おでん汁がたっぷりと沁みて、幸せだ。
殻ごとおでん鍋に仕込まれた梅貝は女将さんが貝を出してくれる。
身が大きく肝までギッシリ詰まっていた。
これには日本酒だよネ。
福光家の純米酒「福正宗 加能山河」を冷やで戴いた。おぉ、結構ガツンと来る味わいだったナ。
年季の入った赤松のカウンターで地酒を堪能。あぁ、至福の時。
このどて焼きは胡椒が効いて美味かった。女将さん、口開け早々ご馳走様でした。
さぁ、東京に戻る前にもう一軒行こう。
と言う訳で、金沢駅構内の金沢百番街に在る『黒百合』へ。
此処はおでんと季節料理の名店だ。
タニシをアテに純米酒「甚」を燗で戴いた。
おでんは、タケノコと玉子、それに焼き豆腐。
今、金沢に着いた人、これから旅立つ人、いろんな人達が店を訪れる。
昭和28年創業の『黒百合』は此処に移転してからも、もう22年が経つのだネ。黒百合は霊峰白山に咲く石川県の県花だそうだ。地元の方々は、敬愛を込めて白山のことを「しらやまさん」と呼んでいる。『黒百合』って最初、スナックみたいな名前だなぁと思っていたが、親子三代で味を守っている名店なのだナ。
自慢の鰯のつみれも戴いて、純米酒「石川門」で〆た。
新幹線の時間が近づいて来たので、これにて終了。
店を出てから「固豆腐」を頼み忘れたことに気がついた。まぁ、仕方無いか。また来れば良いのだからネ。
「はくたか」に乗り越後湯沢まで、居酒屋列車のスタートだ。
日栄の吟醸生貯蔵酒を開ける。
酒のアテは近江町市場で買ったどじょうの蒲焼きと鰻の肝串だ。
車窓の向こうに夕陽が落ちてゆく。
二日間の短い旅だったが、充実していたナ。
金沢の街を歩き、酒場で出逢った名も知らぬ旅人と一献傾けたりしたら、何だか心が豊かになっていた。かつて、毎日真夜中まで仕事をして、手帖の予定がビッシリと埋まっていないと気が済まなかった。あの頃の忙しく動いていた自分の姿を懐かしいような悲しいような思いで振り返ったのも旅の途中だったナ。
越後湯沢からは再び「Maxとき」に乗る。
さぁ、居酒屋新幹線の旅が始まる。
日本海名産かにずしをつまみながら、加賀鶴の純米大吟醸を戴いた。
クゥッ、幸せなひとときだ。
さすが大吟醸は飲み口爽やかだった。
スィスィと喉を通り、スグに空いてしまった。
後は角ハイ缶で、東京へと向かったのでアール。
旅はときどき思いも寄らぬ発見がある。日常をしばし離れて今の自分を俯瞰で眺めることができる。長い人生の中の、ほんの寄り道かもしれない。だが、そのお陰でこの先の生き方の励みとなり、少しだけ心にゆとりが生まれるのだナ。
明日からまた頑張ろう。そして、また次の旅に出よう。