東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介
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日々是日記/『大坊珈琲店』12月、38年の歴史に幕。

青山・表参道の交差点近く。午前11時、人々が行き交う青山通りに深い珈琲の香りが漂っている。
雑居ビルの二階に在る『大坊珈琲店』では、店主の大坊さんが手回しの焙煎機で、丁寧に豆をローストしている。
カウンター席に腰を降ろし、僕は決まって「3番」の珈琲を頼むのだ。

   1 30g 100cc  700円
   2 25g 100cc  650円
   3 20g 100cc  600円
   4 25g  50cc  700円
   5 15g 150cc  600円

「深煎りで苦甘」に焙煎された珈琲は、その豆の量とお湯の量で、選ぶ事が出来るので、好みの番号を伝えれば良いのでアル。

もう十数年前になるが、仕事場を表参道に構えて居たので、朝の所用を済ませると此処に珈琲を飲みに来ていた。1時間程、決まって二杯の珈琲を飲んで仕事場に戻った。僕の服に焙煎煙の匂いが移っているから、スタッフからも「今日も大坊さんのところですか?」と笑われたっけ。
外の喧噪に逆らうかの様に、此処には憩いが在る。小さな音量で流れるジャズも憩いのひとときを邪魔しない。大坊さんの廻す焙煎機の音と焦げた様な珈琲豆の香りも全てが見事に調和している。小鳥のくちばしの様に細い口のポットからゆっくりとお湯が布のフィルターに注がれていく。じっくりと蒸らした珈琲豆に静かにお湯を注ぎ、次第に珈琲が出来上がる。

此処の珈琲は、余り熱くない。出来上がりをスグに口に運ぶ事が出来る様に絶妙な温度設定にしてあるのだナ。もちろん、熱いのが好きな方には熱くしてくれる。
カウンターの上にびっしりと並んだ文庫本は永年の焙煎と煙草の煙により、飴色になっている。ハヤカワミステリーをはじめ、司馬遼太郎、池波正太郎の小説作品が目に入る。

寡黙な店主だが、一段落すると気さくに話をしてくれるのだナ。此処の壁には清楚な女性がこの店で、珈琲を飲む姿を描いた油絵が飾られている。画家・牧野邦夫が描いた作品だ。

以前、僕のコレクションしている画家・斎藤真一の瞽女(ごぜ)の油絵を一ヶ月程『大坊珈琲店』に飾って戴いたことがあった。

絵の話で盛り上がり、故・斎藤真一の絵画を多くの方に知って貰いたいと話をしたら、快く飾って戴いたのだ。
1975年の開店から38年間、変わらぬスタイルで珈琲を提供し続けている『大坊珈琲店』だが、ビルの取り壊しの為、来月一杯で閉店することとなった。

新しい場所での再開など、今はまだ未定だそうだが、大坊さんの珈琲を贔屓にしているお客さんは数限りない筈だ。
あと一ヶ月とちょっと、深煎り苦甘の珈琲を求めて足を運ぼうかナ。
by cafegent | 2013-11-25 16:24 | ひとりごと | Trackback | Comments(0)
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