東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


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日々是日記/春の長崎ハシゴ酒の旅!

昨日の東京は気温が高く暖かな一日だったが、「春一番」が吹き荒れて目を開けていられない程だった。

 春眠不覚暁  春眠 暁を覚えず 

 処処聞啼鳥  処処(しょしょ)啼鳥(ていちょう)を聞く  

 夜来風雨声  夜来(やらい)風雨の声 
 
 花落知多少  花落つること 知るや多少(いくばく) 

唐の詩人、孟浩然(もうこうねん)が詠んだ漢詩「春暁」だネ。

 春の眠りは心地良く、夜が明けたことも知らずに眠っていた。
 外からは鳥の啼く声が聞こえる。
 夕べは風雨の音が響いていたナ。
 どれだけの花が散ってしまったことか。

というような意味だろうネ。目覚めの刻限の寒さが和らぎ、暗いうちに起きなくても済む季節になったということなのかナ。もう少しすれば、雲雀(ヒバリ)の啼く声が聞こえてくるネ。

春野菜の季節を迎えた。行きつけの居酒屋『兵六』でも、そろそろ菜の花の芥子和えが出る頃か。
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雷門『簑笠庵』(さりゅうあん)のお浸しも酒がススむ一品だナ。
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葉わさびやぜんまい、わらび等も出始める。吞んべいは、こうやって一年中、酒の肴を追い求めるのだナ。
     ◇           ◇           ◇
閑話休題。

さて、九州二日目の旅に戻ろう。

博多では『ホテル法華クラブ福岡』に泊まった。此処は宿泊者専用の大浴場が有るので目覚めのひとっ風呂を浴びることが出来るから良い。

博多からは「青春18きっぷ」を利用して旅をすることにした。この切符、僕が就職をした1982年に出来たものだが、その当時は特に気にも止めず「18歳までの限定利用切符」だとばかり思っていたのだ。この切符が年齢に関係なく使えると知ったのは今から10年程前なのだから、随分と損をして来たことになる。まぁ、その頃は出張で新幹線や飛行機ばかり使っていたので、のんびりと各駅鈍行列車での旅など思いもつかなかった。マイペースで仕事をする様になり、最近は毎年この切符が発売される時期が来ると旅のプランをたてるのでアル。

さぁ、博多発午前8時11分の鹿児島本線に乗り、34分で鳥栖へ。

鳥栖駅の6番ホームに在る立ち食いうどん屋『中央軒』で戴ける「かしわうどん」が絶品なのだが、乗り換え時間が三分しかない。今回は涙をのんで我慢我慢!

この中央軒さん、鳥栖駅構内に四店在るのだが、地元の人に聞くと何故か皆が「6番ホームにしなよ」と云うのだネ。そんな訳で、僕は6番ホームの中央軒の味しか知らないのだヨ。

あぁ、薄口なのにダシがしっかりと効いたツユに甘辛いかしわ肉の味が絡み合うあのうどん、思い出しただけで涎が出て来たのだナ。

鳥栖から長崎本線に乗り換えて、肥前山口駅へと向かう。
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この間、約50分だが途中の吉野ヶ里(よしのがり)公園駅から神埼(かんざき)駅までの車窓から「吉野ヶ里歴史公園」の環壕集落遺跡を観ることが出来た。

終点肥前山口からは、佐世保線に乗り換えて早岐(はいき)駅へ。途中の上有田駅周辺では有田焼の窯元の煙突の煙りが方々から上がっていたナ。

早岐駅では50分程待ち時間があった。小腹が空いて来たので、改札前の売店でカップうどんとおにぎりを購入。
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ごぼう天と肉入りの博多うどんとチキン南蛮サンドおむすびだヨ。
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一息ついて、快速シーサイドライナーに乗り込んだ。いざ、長崎へ。

大村線の次の駅はハウステンボスだ。
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車窓から瀟洒な建物を眺めるが、僕には余り用が無いかナ。
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大村湾を望みながら列車は12時59分、無事に長崎に着いた。
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約五時間の旅だったが、途中乗り換え下車もあり、飽きずに来れた。

駅からは路面電車に乗り、4つ目の築町(つきまち)まで。
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荷物が無ければ歩ける距離なのだが、このちんちん電車は一律120円と実に良心的なのだネ。

出島オランダ商館跡を抜けると築町電停だ。
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電車を降りて川沿いに進み長崎新地中華街へ。ホテルに荷物だけ置いて、銅座界隈を散策。
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この界隈には飲み屋が多く点在しているので、夕暮れが愉しみだ。路地へ曲がり、昼飯は一口餃子の『雲龍亭 浜んまち』へ。
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まだ暖簾が出ていなかったが、戸を開けると入れてくれた。此処は思案橋横丁に本店が在るのだが、どうも姉妹店では無い様な感じだナ。
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先ずは、ビールで旅の疲れを癒し、目当てのキモニラを戴く。

キモニラとは豚のレバーをニラ玉に入れたモノだネ。
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卵の半熟具合が、絶妙でビールに合うなぁ。

キモニラを食べ終えた頃合いに一口餃子が焼き上がった。
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どうですか、外はカリッとして食べると玉葱の甘い香りと豚肉の旨味が口一杯に広がるのだナ。ひとつ口に運ぶともう箸が止まらない。一気に平らげてしまい、もう一皿追加してしまうのだ。

小体の店なので、カウンターの前で餃子の皮を一枚一枚伸ばし、餡を包んでいく光景が広がる。これを眺めているで、胃袋がグゥと鳴り出すって訳だ。
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餃子も美味しく戴き、ご馳走さま!

街を散策し夜の酒場のアタリを付けに行こうか。
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幾つかの酒場横丁を歩き、再び市電へ。
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目指すは、大浦天主堂とグラバー園だ。
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水仙や桃の花が咲く天主堂の礼拝堂を拝み、グラバー園へ。
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外国人観光客の多さに圧倒されたが、グラバー氏やリンガー氏たちの功績を再確認出来たし、長崎港も一望出来た。
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旧リンガー住宅の入口には美しいシモクレンの花が咲いていた。
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午後五時、昼間歩いた銅座まで戻り酒場へと向かう。
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大衆割烹『安楽子』(あらこ)の暖簾を潜ると既に先客が数組。

カウンターに目を向けると、なんと知った顔が居るじゃないか。某広告代理店のアートディレクターだが、九州赴任中だったっけ?と思いつつ、隣りに座ることにした。だが、彼は静岡に単身赴任中の筈、聞いてみると休暇を取って、長崎酒の旅に来たとのこと。少し前に羽田から飛行機で長崎に着いて、此処に来たそうだ。
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そんな訳で、酒朋カンちゃんとカンパイ!

こちらは、カンちゃんオススメのねぎを酢みそで戴いた。
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あぁ、これは酒がススむなぁ。

刺身の盛り合わせは、鯵のたたき、ひらす、いか、おながぐろだ。
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此処の魚は本当にどれもが美味い。さすが長崎だと感心するばかり。
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飯蛸も美味しかったなぁ。

「ひらす」とは、平政のことだネ。ブリより平たいから、この名が付いた魚だが、身がギュッと締まっており、美味いのなんの南野陽子!なんちて。

「おながぐろ」とは関西では尾長グレと呼び、いわゆるクロメジナのことだそうだ。これまた歯ごたえ良く素晴らしい刺身だった。

此処の酒は「喜田屋」ひとつと実にいさぎよい。福岡県八女の地酒を燗酒で戴いた。

カンちゃんは、次の酒場へと向かったが、僕らはもう少し酒を戴いた。

こちらもカンちゃんオススメの魚もつ煮だ。
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魚の様々な内臓をほんのり甘く煮てあり、これまた酒がススむススむ。
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一時間半ほど酒を愉しみ、ご馳走さま。
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酔いが廻らぬ内にしっかりと胃を満たしておこうと、向かったのは思案橋横丁に在る中国料理の『康楽』(かんろ)だ。

瓶ビールを戴き、リフレッシュ!名物の長崎ちゃんぽんと皿うどんをお願いした。
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ちゃんぽんのスープは口当りが良く、野菜の味とマッチしているし、牡蠣も美味しかった。

皿うどんはパリパリの細麺と柔らかい太麺を選べるのだが、細麺にして大正解だった。
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程よくとろみの付いた餡が絶妙に麺に絡み、口の中で麺にどんどん味が滲みてくるのだナ。あぁ、長崎に来た実感が湧いて来た。むふふ。

さぁ、次は何処に行こうか?
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銅座の『波菜舎』(はなや)にしようか、五島町の『味菜』にしようかと迷ったが、再びカンちゃんオススメのおでん『桃若』に決めた。と云うのも、『康楽』と同じ思案橋横丁内に在るので、歩いてスグだったからネ。
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午後七時半、桃若の暖簾を潜るとL字のカウンターが空いていた。此処は太田和彦さんが著書「居酒屋美酒覧」でも紹介しており、先の『安楽子』同様に酒好きの間では有名だネ。昭和6年創業の老舗は、三代目のご主人と女将さん、そして四代目に当たる息子さんの三人で切り盛りしている。

おでんを選び、燗酒をお願いした。
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鶏ガラをベースにした素朴な味わいの出汁がしっかりと滲み込んだ大根や自家製の練りものは美味い。
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柚子胡椒を付けて味わえば、酒が一層ススむのだナ。

宮崎から仕事で来ていたと云う若者二人と酒を酌み交わすことにした。一人はJリーグの興梠選手の従兄弟だそうで、二人共中々の好青年だった。宮崎のチキン南蛮の作り方に関してのこだわり方が面白かったナァ。
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沢山の具が入ったふくろも素晴らしいし、はんぺんも美味しい。此処はとても居心地の良い酒場だが、その居心地の良さを更に増してくれるのが陽気でチャキチャキの女将さんのマシンガントークなのだナ。
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僕らが翌日湯布院に行くと云うと、長崎駅で角煮弁当を買って、ゆふいんの森号に乗ったら、真っ先に珈琲を買うのよ!と教えて頂いた。また湯布院のニラ丼と『庄屋の館』の立寄り露天風呂はコバルトブルーの温泉で最高よ!」とのことだった。
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おぉ、このネギまも美味いナァ。

楽しい話に花が咲き、酒のお代わりもススむのだネ。
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寡黙だと思っていたご主人も結構陽気で、話が弾んだ。高知出身のご主人は、女将さんと一緒になりこの店を受け継いだそうだが、本当に楽しそうに店を営んでいるご様子だ。
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微笑ましいお二人の姿は、しっかりと息子さんにも受け継がれていた。

本当に楽しく居心地の良い時間を過ごした。ご馳走さまでした。また次回が愉しみだナ。
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カンちゃんは鳥料理の『江戸善』に居るとの事だったが、ここら辺りでキリリとした洋酒が恋しくなった。

昼間歩いた浜町の路地裏にひっそりと佇むバー『ガス燈』へ。
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初めて訪れる酒場には、何故か心が弾むのだナ。永年の嗅覚で酒場を探すのだが、今回もアタリだった。
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先ずはマンハッタンを戴いた。
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うん、やっぱりCCで作るマンハッタンは旨い。
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オーナーバーテンダーの宮崎喜久男さんは若い頃は東京に暮らしていたそうだ。東京オリンピック景気にあやかり仕事は沢山有ったそうだ。しかし、27歳の時に地元長崎に戻り、昭和47年に此処をオープンしたのだと伺った。
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バックバーにギターが掛けてあったのだが、マスターはギターの弾き語りで歌を披露してくれるらしい。手描きの歌詞カードの本が何冊も有り、数百曲はレパートリーを持つとの事だった。いつか是非聴いてみたいものだ。
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ギムレットを飲み干し、ご馳走さま。

外に出ると夜風が少し吹いていた。それでも随分と春らしくなった。
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長崎名物『桃太呂』のぶたまんを買い食いしながら、ホテルまで歩く。
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このぶたまんは熱々で、美味いネ!

ホテルの前の川沿いに出ていた屋台『天龍』にフラフラと足が向かう。
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此処はホテル『出島の湯 ドーミーイン』が銅座町東映ホテルだった頃から川沿いに店を構えるラーメン屋台だ。
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先ずは、おでんと芋焼酎のお湯割りを戴いた。
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ふぅ、躯が温まる。
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ご常連とご主人の掛け合い漫談の様なトークも酒の旅を満喫させてくれるのだナ。

最後に〆のラーメンといきますか!
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てな訳で、熱々の屋台ラーメンを戴きホテルへと戻り九州酒の旅二日目が終わった。
by cafegent | 2014-03-19 19:09 | 飲み歩き