東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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日々是日記/根岸『鍵屋』で夕暮れ酒!

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先日の日曜日、上野公園に在る東京都美術館にて開催中の「バルテュス展」に行ってきた。
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随分前、まだバルテュス自身が生きていた頃にも何度か絵を観る機会があったが、今回これほど一堂に作品が集められたのを観ることが出来て感慨深かった。
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生涯のテーマとして「少女」を描き続けた画家は、一人アトリエで自然の光と対峙しながらフレスコ画の様な技法を用いたり、歌舞伎の構図にトライしてみたりと常に試行錯誤を繰り返しながら絵筆を取っていたに違いない。

今回の展覧会では、ローマから戻った69歳のバルテュスが亡くなる2001年までの晩年を過ごしたスイスのロシニョールに在る「グラン・シャレ」内のアトリエが展覧会場内に再現された。画家がどんな空間で絵を描いていたのか、あたかも其処に本人が居るかの様に当時の道具も含めて再現されていた。
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インタビューに答えるバルテュスの映像では、彼が自然光に可成りのこだわりを持っていることが判った。代表作の「夢見るテレーズ」や「美しい日々」「白い部屋着の女」などの絵をじっくりと眺めて、窓から射込む光を彼がどう表現したのか、など実に興味深く拝見出来た。
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展覧会に出向く前は、少女のみが秘める魔性のエロティシズムとか、画家のロリータ崇拝を垣間みようなどと不埒な考えが頭を巡っていたのだが、この大回顧展を観て、バルテュスという画家の偉大さ、凄さを改めて痛感したのだナ。親日家で知られたバルテュスの自宅アトリエで撮影された篠山紀信氏の写真も圧巻だった。

今月25日のNHK「日曜美術館」にて「バルテュス 5つのアトリエ」が放映されるので、来週以降は可成り混むだろうネ。

展覧会は6月22日(日)までなので、皆さんも是非観ては如何かナ。
     ◇           ◇           ◇
閑話休題。

今週は東京に居たので、馴染みの酒場へと出掛けてみた。

目黒からJR山手線に乗って鶯谷へ。改札を出るとまだ空は明るかった。午後五時半を廻り、鶯谷の北口ラブホテル街を歩く。そして、当然のお約束の様に年齢不詳のお姉さん方に声を掛けられる。どうみても40代かそれ以上だと思うが、1980年代に流行ったボディコンシャスな衣装を身に纏った三人が立っていた。
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この辺り、今も女性が独りで誰かと待ち合わせで立っていると知らない男連中に声を掛けられるのだネ。もちろん、男達はその女のコをプロだと思って声を掛けるのだから致し方ない。

二十四時間営業の居酒屋『信濃路』に夜遅く立ち寄ると、そのどうみてもプロの女性とそのヒモなのかマネージャーなのか微妙な男が一緒に酒を飲みながら談笑している光景を目にする事が有る。そんな訳で、なるべくならば女性たちは南口へ出た方が良いかもネ。

言問通りを渡り、鶯谷駅下の交差点の手前の路地を入る。またスグ左手に折れると目指す酒場『鍵屋』の暖簾が見える。
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昨年の夏に耐震強化の補強工事を施したが、あの古き良き佇まいの風情は変わっていない。

開け放たれた玄関から暖簾越しに初夏の風が店内へと入り込む。その心地良い風に乗る様に僕もスゥーッと中へ入った。

五時口開けだが、既に多くのお客さんが入っていた。小上がりにもお客さんが居り、辛うじてカウンターの角に独り座ることが出来た。

分厚い楓(カエデ)の木のカウンターはモノ言わぬが、自然に客の背筋を伸ばしてくれるかの様だ。此処に座ると自分も随分と大人になったものだと再確認出来るのだナ。

この日のつまみは煮豆だった。夏になると心太(ところてん)になったり、煮こごりが出たりする。何れも酒がススむものばかりに心が弾むのだ。
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桜正宗のぬる燗を店主の賢太郎さんにお願いした。此処の酒は甘口の桜正宗、辛口の大関、そして菊正宗の三種類。僕はいつも桜のぬる燗を戴くのだ。

名物・鰻のくりから焼きは、この時間で売り切れだった。これは残念。だが、合鴨塩やきを串打ちしたとのことで、そちらを焼いて戴いた。
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うん、脂が乗っていて旨い!

これからの季節は、冷や奴や煮こごりで一杯酌(や)るのも良いネ。

この日は父娘で一献傾けているお二人と隣り同士になった。
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お父さんも気さくな方で、こちらも実に愉しい酒席となった。娘さんが素敵な大人になり、こうやって親子で酒を愉しめるなんて幸せだナァ。

そして、この素晴らしき東京の居酒屋を選んだお父さん、最高だよ。本当にカッコイイ!
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桜正宗の徳利も三本目が空いたので、ご馳走さま。また何処かの酒場でご一緒したいものだナ。
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外に出ると漸く日が沈み始めようとしていた。暮れ泥(なず)む空の下、帰りは『ささのや』の在る南口へと階段を登り鶯谷駅へと向かった。
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そして地元の酒場『牛太郎』へと戻ったのでアール。

「バルテュス展」紹介のサイト
by cafegent | 2014-05-22 15:54 | 飲み歩き