東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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日々是日記/春の東京散歩は、凸凹の街を歩く。

   堀崩す土手のはづれの菫(すみれ)かな  正岡子規
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春が着々と近づいて来ているネ。雨上がりの土の匂いも仄かに春の香りがするようだ。季節も啓蟄を迎えた。ベランダの植木にも小さな虫がやって来たり、公園でも地面から虫が這い出し始める季節となった。

季節を72に分けて表す七十二候では、「蟹虫啓戸」(すごもりむし、とをひらく)の頃。土の穴の中でじっと冬を過ごして来た虫たちが、土の扉を広げて出てくる時季が来た訳だナ。
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だけど、せっかく土から這い出した途端、モズやツグミに食べられちゃうのだから、自然界はキビシイよネ。
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桜が咲く頃になっても、まだ肌寒い日があるが、それでも晴れた週末には川沿いの土手でも散歩しに出掛けたくなるのだナ。

土筆(つくし)が土手から顔を出すのはいつ頃だろうか。今月も後半になれば可愛い菫(すみれ)の花が咲き始めるだろう。
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稲田堤辺りまで出掛けて、土手を歩いてみようか。程よく汗をかいたら『たぬきや』の酒が癒してくれるだろうからネ。
      ◇           ◇           ◇
閑話休題。

年に何度か神保町の酒場『兵六』(ひょうろく)に集う酒朋たちと「散歩の会」を催している。毎回、幹事が知恵を絞り、都内の散歩コースを決め、皆で半日程歩き回るのでアル。缶ビール片手に歩くも良し、神社をお詣りするも良し、何と言っても我ら呑んべいの集まりだ。最後の酒場での打ち上げ目当てに歩くのだナ。

今回の幹事は両国の私設図書館『眺花亭』の主人(あるじ)渡辺信夫さんだ。渡辺さんは雑誌「東京人」を総て所有しており、眺花亭で拝読することが出来る。
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今回の散歩ルートは「東京人」2012年8月号で特集を組んだ東京地形散歩から、東京の凸凹地形を歩くこととなった。

午後1時、江戸川橋駅に集合し、江戸川橋から田端まで「七つの丘」を踏破する東京地形散歩が始まった。午前中ずっと雨が降っていた東京だが、タイミング良く地下鉄の出口を上がると雨も上がっていた。

小石川植物園や田端文士村記念館に立ち寄り、山越え、谷越えの、さながらブラタモリな散歩の会なのだ。
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先ずは、江戸川橋を渡り、江戸川公園へ。
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緑溢れる都会の中の森では、ツグミやヒヨドリが啼いていた。
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さぁ、此処からもう階段を上がり高台へと進むのだ。息を切らせながら階段を昇り切ると瀟洒な造りの「サクラドミトリー文京」が現れた。
女子学生専門のドミトリーは、早稲田や上智、法政大学に通う女子大生たちが住んでいるのだろうネ。
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隣接するホテル椿山荘の前を過ぎ、目白通りを抜け音羽通りまで出る。
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高台へ目をやると鳩山会館がそびえ立っていた。脇の路地へ入り今宮神社へ。
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此処も小日向の丘と呼ばれ、急勾配が続くのだ。

     とぼとぼと老宣教師の登り来る
             春の暮れがたの切支丹坂
    
歌人・金子薫園(くんえん)が詠った歌だが、本当に文京区には坂が多い。
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鷺(さぎ)坂、大日坂、切支丹坂と、ひたすら坂を歩く。

切支丹坂は夏目漱石の小説『琴のそら音』にも登場したネ。
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途中、小日向の住宅地では、農政学者の新渡戸稲造の旧居跡が在った。
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そして、東京メトロの小石川車両基地の高架下トンネルを潜る。
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再び、庚申坂の階段を昇ると春日通りに出た。春日通りを茗荷谷駅方面へと歩き、小石川五丁目から播磨坂の桜並木を下った。
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もうあと一ヶ月もすれば見事な花が咲き誇るだろうか。

播磨坂を下り切ると東京大学大学院附属の小石川植物園に到着だ。
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雨上がりの空はまだ曇っていたが、ニュートンのリンゴの木(実際にニュートンの生家の木から接ぎ木したのだヨ!)や美しい寒緋桜の花を愛でる事が出来た。
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まだ蕾みも小さな桜の木の枝では、シメを見つけることが出来た。
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シメは、こんな鳥だヨ!
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アテツマンサクの黄色い花も見事に咲いていたナ。
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ウメ林では、白梅、紅梅と多くの品種の梅の花が咲き誇っていた。
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梅の花蜜を求めて沢山のメジロが群れで来ていたネ。
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白梅と黄色のサンシュユの花の競演も美しい。
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     植物園の松の花さへ咲くものを
          離れてひとり棲むよみやこに   若山牧水          

小石川植物園を堪能し、再び坂へ。
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かつて白山御殿が在った名残りの御殿坂を昇り、指ヶ谷へ。
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白山下から裏通りを抜けて階段を昇り白山神社へ。
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そこから、旧白山通りの坂を上がる。

散歩もいよいよ終盤戦だ。本駒込駅から右へ折れ、千駄木をひたすら真っ直ぐ歩く。不忍通りを渡り、田端駅へと向った。
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田端駅前に在る『田端文士村記念館』を訪れた。此処は入場無料だから、ちょっとした休息に良い。

田端周辺は、かつて多くの小説家や芸術家が住んで居たのだネ。館内に展示された資料や映像で、芥川龍之介や室生犀星、竹久夢二、平塚らいてう、サトウハチローなどの小説家たち、陶芸家の板谷波山、画家の小杉放庵など時代を牽引した文人墨客が集まった田端の歴史に触れることが出来た。

休憩を挟むことなく、一気に歩いたネ。田端からは京浜東北線に乗り二駅先の王子へと移動した。

さぁ、王子と云えばザ・大衆酒場の『山田屋』だネ。
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先ずは名物「半熟玉子」だ!
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コレ、卵と一緒に日本蕎麦と麺つゆが入っているので、酒を呑む前に食べておけば胃に優しいのだナ。
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瓶ビールを戴き、カンパイだ。
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渡辺さん、お疲れさまでした!
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このお好み焼き風きゃべつの天麩羅も此処に来たら食べなくちゃ!
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胡麻焼酎の「黒胡宝」のボトルも次々と空いて行く。

八海山が作る米焼酎「よろしく千萬あるべし」もボトルで戴いた。
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コレ、中々美味い焼酎だったナ。

薄さが良いハムカツや揚げたてメンチ、たらの芽の天麩羅、マグロぶつ、牛煮込み等々、大衆酒場ならではの味を存分に堪能した。

次の散歩の会は、何処を歩くのやら。あぁ、今から愉しみだナァ。
by cafegent | 2015-03-09 14:47 | ひとりごと