東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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日々是日記/地元の隠れ家的寿司屋で夏を喰う。

季節を72に分けて表す七十二候では「土潤溽暑」(つちうるおいて、むしあつし)の頃、ムッとした熱波が漂い肌にまとわりつく蒸し暑い季節がやって来た訳だネ。「溽暑」とは、いささか難しい漢字だが「じょくしょ」と読む。腕の毛穴から汗が吹き出して来る、そんな湿度の高い蒸し暑さを指す言葉でアル。
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「溽暑」が過ぎれば、今度は「炎暑」の到来だ。クラッと目眩のする様な砂灼(すなや)くる暑さは堪ったもんじゃない。ゆらゆらと陽炎の様に熱波が揺れる灼熱のアスファルト、打ち水をして涼をとる光景を目にする季節だネ。

    柔らかく女豹がふみて岩灼(や)くる    富安風生

酷暑が続く八月の夏真っ盛り、長屋の一角、開け放たれた玄関の簾の向こうに肌襦袢姿で畳の上に横になる女の姿を目にして、灼けた岩の上でしなやかな姿態をさらけ出す女豹(めひょう)にでも見立てたのだろうか?
あぁ、そんな光景に出会(でくわ)してみたいものだナ。
      ◇           ◇           ◇
閑話休題。

先日、久しぶりに大好きな寿司屋へと出掛けた。我が家から歩いても10分程に在るのでもっと通えるのだが、如何せんその店の主人(あるじ)が15年以上修業した寿司屋さんに行くことが多いので、ご無沙汰してしまっている次第なのだ。

その店は目黒と五反田の間、桐谷斎場の通りから脇に入った処に在る。
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『なかのや』の暖簾を潜ると主人のキンちゃんが笑顔で迎えてくれた。

席に着くと、先ずは日本酒と塩のみで味つけした白身の骨と貝ヒモの出汁で仕上げた一口大の雑炊が出て来た。
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柚子の香りが立ち、胃に優しい一品だ。最初にこれを戴くと悪酔いしないかもしれないナ。

続いて、三浦半島で獲れた蛸を粗塩で戴いた。
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うん、旨味が凝縮して噛めば噛む程に美味さが広がっていく。これに合わせる酒は、「魚沼」の辛口純米だ。むふふ。
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出汁に漬け込んだ子持ちシャコも実に美味い。そして、漬け込んで二ヶ月の茶ぶり赤なまこの登場だ。
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こんな手間のかかる仕事ぶりは、キンちゃんが研鑽を積んだ目黒の『寿司いずみ』仕込みだネ。さっぱりとして、涼を感じる一品だ。

再び、シャコが出てきた。
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愛知産の蝦蛄を酢で〆ている。おぉ、これまた美味い。酒を和歌山の地酒、平和酒造の「紀土(キッド)」に切り替えた。純米の風味豊かな香りにしっかりとキレのある口当りの酒だった。クゥーッ、旨い。

お次は、琵琶湖の天然鮎だ。
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季節を味わうってのは、至福のひとときだナ。小さいながら、豊富な藻を食べて育った鮎の肝に琵琶湖の味を感じることが出来た。
今度は、ホシガレイだ。
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こちらは、肝ポン酢に付けて戴いた。ギュッとした歯ごたえも美味さを引き立てる。続けて、ホシガレイのエンガワの炙りだ。
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皮付きのエンガワは、口溶けが凄かった!あぁ、幸せだ。

さぁ、この季節がやって来た。
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エゾバフンウニの濃いオレンジ色が磁器の器に映えている。ムヒョーッ、口へ運ぶと濃厚な旨味と甘味がズンと残る。可成り後味が強いウニだネ。冷酒がクィクィと進むのだ。
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外房で獲れたアワビの蒸しも素晴らしい。
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山葵をちょいと載せて口へ運ぶ。おぉ、身が柔らかく味も濃い。

次に出て来たのは、青柳を干したモノだった。
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コレは酒に合う珍味だナ。噛めば噛む程旨味が口一杯に広がり、酒を誘う。

続いてもまた珍味だ。
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アワビの肝の味噌粕漬けか。キンちゃん、「寿司いずみ」の大将仕込みの味をしっかりと受け継いでいるネ。酒は山形の地酒「銀嶺月山」の純米だ。おぉ、酒米の仄かにフルーティな香りが僕の鼻腔をくすぐる。月山の名水で仕込んだ酒ならではの、まろやかで優しい喉越しの酒だ。クィッと呑める一杯だ。

さぁ、キンちゃん劇場の第一幕が終わり、握りの幕が上がった。

先ずは、小鯛のおぼろ握りから。
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おぼろに漬け込んで小鯛の味を濃く出していた。こんな江戸前の仕事は、中々他店では味わえないのだナ。むふふ。

こちらは、蒸しあゆの握りでアル。
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鮎の肌の色が美しいネ。
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続いて、中トロの握りと静岡で獲れた小肌の握りだ。
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どちらも云うこと無しの美味さだネ。

続いて出たのは、キタムラサキウニの握りだ。
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こちらは、エゾバフンウニよりも色が白い淡い味が特徴のウニだネ。
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愛知のトリガイは、歯ごたえも良く良い味がしていた。
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鹿児島のアジ握りも脂の乗りが良く旨い。
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マグロ赤身、クルマエビおぼろ漬け握りと美味い寿司が続く。
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そして、箸休めになかのやの焼き印が押された卵焼きを戴いた。
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おぉ、甘くて美味い。
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キンメ昆布締めには、広島の地酒「極鳳」の純米酒を合わせてみた。間違いない取り合わせだナ。
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沢庵をかじり、ホッと一息。

お次は、三重桑名のはまぐりの二つ合わせ握りだ。
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あぁ、もう申し分ない美味さに感動だナ。

立て続けに煮穴子の登場だ。
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穴子のためだけに煮詰めたツメが極上のテリを魅せていた。
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イカの握りも甘い。

マイワシの細巻きをリクエストしてみた。
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むほッ、脂の乗りが絶妙で美味い。細巻きなので、パクパクとイケるのだナ。

そして最後の締めくくりは、銚子の金目鯛の炙りだ。
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脂乗りも凄い!口の中で溶けるようだった。

キンちゃんの握り劇場も無事に終演だ。
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〆の味噌汁が満腹の胃袋をサラリと流してくれた気がした。

相変わらず、良いおもてなしをしてくれたネ。残った酒をグィと飲み干し、ご馳走さま。
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渋めのお茶を戴いて、酔いを冷ますことが出来た。

次回はいつ訪れようか。ウニの季節にもう一度来ようかナ。外はすっかり暗くなっていた。我が家を通り過ぎ、そのまま武蔵小山『長平』に向ったのでアール。
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by cafegent | 2015-07-29 16:49 | 食べる | Trackback | Comments(0)