東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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日々是日記/年の瀬にいつもの店で、寿司納め!

暦では既に「大雪」だネ。季節を72に分けて表した七十二候では「熊穴に蟄(こも)る」の時季、熊が穴の中に入って冬ごもりをする頃と言う訳だが、今年は見事に暖冬だネ。今日の東京もピーコートを来て歩いていると汗ばんでしまう程だった。

そう云えば、今日から東京の冬の風物詩「世田谷ボロ市」が始まった。
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四百年以上も続くボロ市だが、毎年世田谷で12月と翌1月の二度開催され多くの人が訪れて活気に満ちあふれるのだナ。ところ狭しと古道具屋などが出店し、掘り出し物を求めて歩き回るのが愉しいのでアル。
僕の場合は、酒器にまつわる物を探して歩くことが多い。何処かの居酒屋が使っていた酒徳利とか、祝い時に造られた盃などを見つけると胸が躍るのだナ。
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そして、長い行列に並んできなこや大根おろしのからみが美味い「代官餅」を買うのも毎年恒例の行事となっている。
今年は明日からまた出張なので、年明けの1月に行く事にしよう。

僕の野鳥好きは、もう長い間続いているので地元の酒仲間たちも皆知っている。夕べも武蔵小山の大衆酒場『牛太郎』で一人呑んでいるとガラリと戸が開いて「おぉ、居た居た!」と近所で骨董屋を営んでいる知人が入って来た。

「こんな本を見つけたので、是非読んでみてよ!」と手渡されたのは昭和15年に出版された中西悟堂(ごどう)の著書「野鳥と共に」だった。
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中西悟堂と云えば、鳥類研究の第一人者であり、日本野鳥の会の創立者なのだネ。
ヨシゴイを放飼し育てた記録や野鳥を捜し求めた旅を綴った「探鳥紀行」など実に面白い内容だったナァ。しかし、旧仮名遣いや読めない漢字も多く、読み進めるのも一苦労した。
それでも、こんな貴重な古書を見つけてくれるのだから、骨董屋さんって凄いネ。ちなみにこの御仁は牛太郎の店主と中学校の同級生なので、時々店で顔を合わせたり、朝の公園で野鳥探索をしている際に出逢うのだナ。
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素晴らしい本に巡り会えて、益々野鳥探しが愉しくなりそうだ。
     ◇           ◇           ◇ 
閑話休題。

さて、年の瀬の師走を迎え、いつも季節毎に訪れる寿司店も今年最後の訪問となった。武蔵小山駅から毎朝野鳥を探しに散歩をする都立林試の森公園を抜けた住宅街の中にひっそりと佇んでいるのが『寿司 いずみ』でアル。
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10席程のL字のカウンターのみの小体のお寿司屋さんなのだが、一年中予約で埋まっているのだネ。故に此処は「営業中」の看板を出したことがなく、いつも「準備中」になっているのだネ。  
この日の予約は午後七時、ガラリと戸を開けると既に三人のお客さんが居た。

先ずはサッポロ赤星で、喉を潤そう。
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ゴクリ、あぁ旨い。この日は何処にも寄らず此処が一件目なので、最初の酒なのだ。
そして最初に登場したのは、お馴染み「茶ぶり海鼠(なまこ)」だ。
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能登の海鼠を番茶にくぐらせたいずみの名物の一つなのだナ。土佐酢に柔らかい海鼠と自然薯のトロロが絶妙にマッチして唸る美味さだ。

続いて登場したのは「新海苔の卵焼き」だ。
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風味豊かな海苔の味がダシと卵と三位一体となっていた。

国産物の鮟鱇の肝だ。海外物に圧され築地でも国内のあん肝はキロ1.5から2万円はすると云う。山口萩産のあん肝は濃厚で甘い。
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ここで、酒を日本酒に切り替えよう。宮中で出される酒「御苑(みその)」を戴いた。
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信州の酒とのことだが、酒米も酵母も明かされないらしいネ。

一切れ残したあん肝を荒く箸で潰し、青森で獲れた寒ビラメに合わせるのだナ。
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5日程寝かせたヒラメの刺身にたっぷりとあん肝を絡ませて口へと運ぶ。ん〜ッ、美味い!日本酒もススむススむ。  

お次は刺身だ。佐渡産の寒ブリのはしり、そして寒メジだ。
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メジマグロは腹の部位と背中の部位を切ってくれた。いずみの刺身は、淡路の新玉ねぎの擦りおろしと京都宇治のユーサイドの久保田さんが造る和芥子(わがらし)で戴くのでアル。
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切り身の上におろした玉ねぎと和芥子を載せてから、旭川の野性のアイヌネギのタレに浸けて食べるのだナ。寒ブリも脂乗りが程よく、素晴らしい味わいだった。

次に登場したのは「真牡蠣の茶碗蒸し」だ。
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蓋を外すと濃厚な牡蠣の香りが僕の鼻腔をくすぐった。おぉ、こりゃ凄いナァ。
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大将曰く、ひとつの椀の中に南三陸の荻浜で育った天然真がきが10個すり潰して蒸したので、この日はお客十人だから百個の真がきをすり潰したんだとか。更にその上には甘味噌で焼いた牡蠣が一つ乗っていた。牡蠣そのものの蒸し物には驚いた。テンメンジャンと隠し味のニンニクの餡が牡蠣の味を引き立てていたナ。

日本酒は、広島の地酒「旭鳳(きょくほう)」を戴いた。
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土井杜氏が仕込む年内搾りの蔵の酒はガツンとくる味だった。

こちらは「鯖のつみれの椀」でアル。
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中にキウィを入れてつみれにした鯖を三日間寝かせて熟成させたのだとか。たぐり(一番)湯葉を載せて、返しにサッとくぐらせる一品だ。一口目はそのまま味わい、二口目は山椒を少し振り掛けて口へ運ぶと風味が増してさらに美味くなった。

さぁ、いずみ劇場の第一幕目はこれにて終了だ。幕間は珍味タイムとなる。痛風まっしぐらなアテで日本酒を堪能しようか。
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いずみと云えばこの「カツオの塩辛」と「マグロの塩辛」だネ。毎年正月もこれを爪楊枝でつまみながらチビチビと酒を呑み続けるって訳だ。そして、上は「真がきの塩辛」だ。
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こちらの四角い皿の上は「アワビ肝の酒粕漬け」と「ボラ子の塩辛」でアル。

酒は明鏡止水でお馴染み信州大澤酒造が造る「明鏡の鬼辛」を戴いた。鬼辛純米は日本酒度+12!超辛口の純米は爽快で新しい味わいだった。濃厚な珍味にベストマッチだナ。

珍味の合間に出て来たのは東京湾で獲れたウツボを焼いたものだった。
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ウツボと云えば高知産が有名だが、東京湾物も身がしっとりとして皮部分のコラーゲン凄し!ねっとりと歯にまとわりつくコラーゲンを日本酒で流しこんだ。むふふ。

そして更に「痛風まっしぐらパートⅡ」だ。
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筋子に軍鶏(シャモ)のべっ甲卵、沖ボラのからすみ、からすみの味噌漬けだ。8週間風干しして仕上げたからすみは酒のアテに最高だナ。

続けて出されたのは、なんと四年もの間熟成したイカの塩辛だった。
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これはもう、塩辛を通り越して別の珍味になっていたが実に美味し。あぁ、酒がススむ。

幕間の珍味もこのへんで締めくくろうか。
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よし、いずみ劇場の第二幕は、もちろん握りだネ。先ずは、いずみ恒例の小肌四連発からだネ。
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こちらは、赤酢〆の小肌だネ。
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そして、白酢(米酢)で〆た小鰭(コハダ)だ。
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こちらは、キビ酢〆だ。
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最後は、白板昆布で〆た小肌を口へ運んだ。相変わらず善い仕事をしているネ。

寿司いずみでは、握りを置くゲタが無いのだナ。板前が握った寿司をいの一番で口へ運んで貰いたいとの思いから客の手のひらに直接置いていくのでアル。なので、こちらは置かれた握りをそのまま口へ放り込めばいいのだネ。

酒は山形、新藤酒造店が造る「九郎左衛門 雅山流(がさんりゅう)新・影の伝説」純米吟醸 無濾過生詰酒の登場だ。
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裏・雅山流が三年ぶりに造った酒だと伺ったが、吟醸ならではの香りも優雅で、口当たりもまろやかでフルーティーな味わいの純吟だった。

お次は、東京湾の千葉側で水揚げされたスミイカのヅケだ。
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ねっとりと甘く、程よいヅケに仕上がっていた。

こちらは、穴子の白蒸し握りだ。
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間に梅肉が挟まっており新しい味わいだった。そして、イワシの握りだ。
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擦りおろしの玉ねぎが良いアクセントになっていた。

続いて手に乗るのは真牡蠣の昆布〆だ。
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おぉ、牡蠣の旨味を昆布の風味が包み込んで極上の味わいだ。

さぁ、握り劇場はどんどん続くぞ!
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こちらは、大トロの外套を身に纏ったマグロのヅケでアル。こりゃ、反則ワザだよネ、美味いに決まっているじゃないの!凄いのが来たナァ。
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天然の赤貝もスバラシイ。そしてこちらも寿司いずみの名物「車海老のおぼろ」だ。
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「おぼろ」とは、江戸の頃の魚の保存法のひとつ。車海老を漬け込んだおぼろを酢飯の代わりにして握るのだネ。これも一度食べたら病みつく美味さなのだナ。

そして、煮蛸の握りだ。蛸の風味豊かなツメが実に旨い。
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此処いずみでは、魚それぞれに違うツメを使っている。穴子のツメは穴子を煮た汁を煮詰めて作り、蛤のツメも蛤の煮汁で作る。そんな訳で当然ながら、煮ダコのツメも蛸を仕込んだ煮汁を煮詰めて作っているのでアル。おぉ、柔らかくい!美味いのなんの、南野陽子!なんちて!(我ながら久しぶりに出たナ)

酒は明鏡止水の変わり種「ラヴィ・アン・ローズ」を戴いた。マスカットの様なフルーティーな香りが心を豊かにしてくれて、口に含めばサラッとした華やかな味わいが口一杯に広がった。

新雪の様なこの握りは、真ダラの焼き白子だ。
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おぉ、濃厚で美味い。本当は巻物も食べて締めくくりたかったのだが、胃袋の許容量が限界に達して来た。よし、今度は年明けにまた来よう。
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最後は有明の新海苔ともずくのお吸い物を戴いて締めくくった。
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途中でバルサミコ酢をほんの少し垂らすとまた違った味になり二度美味しいのだネ。

僕の左隣りの若者二人は初めてのいずみに感動していたネ。右隣りの5人組もそのうち4人が初いずみらしく喜びの声が何度も聴こえてナァ。それにしても、こんな素晴らしい名店に後輩たちを連れて来てご馳走してくれるのだから、なんて素晴らしい上司なのだろう。羨ましい限りでアル。

左端の若者はまだ40代前半だが、某球団社長だった。寿司いずみには何故か球団社長の方が常連になっているが、野球選手も方々も多いからかナ。連れて来てくれた若者たちも諸先輩の活躍を励みに成功を手にして、自分の財布で此処に通ってくれるとイイネ。

あぁ、ご馳走さまでした。外は12月とは思えない程、生暖かい風が吹いていた。酔い覚ましに歩いて帰るとしようか。
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by cafegent | 2015-12-15 16:06 | 食べる | Trackback | Comments(0)