日々是日記/木場のホッピー酒場で、憩い酒!!
2017年 03月 02日
階段を登りきると道幅の広い永代通りだ。通りを門前仲町方面へと進み、大横川が流れる木場二丁目の交差点を左へと折れる。川に架かる平野橋を渡ると橋の袂にひっそりと佇むように建っているのが、目指す酒場『河本』だ。
今は、暖簾を出さず、交差点の角に面した正面玄関は閉ざされている。
巷では、もう閉店してしまって営業していないのでは、との噂も立っていたが、どっこい『河本』は健在だ。
現在、此処の営業は火曜・木曜・土曜の週三日でアル。午後4時から8時まで開いており、土曜日だけは午後7時閉店となる。
『河本』には、なんとも言えない穏やかな空気が漂っている。
此処のホッピーは、東京で一番旨いと思うのだナ。氷を入れないホッピージョッキにサッと金宮焼酎を注ぐ真寿美さんの姿もこの酒場を訪れる客たちの目当てになっていた。ホッピーは自分たちでジョッキに注ぐのだ。上手く注げば、ちょうど良い塩梅でジョッキに入り切る。
お姉さんのキンミヤの注ぎ方も結構板に付いてきた。時々サービスで出してくれる煮物も実に美味い。兄ちゃんも久しぶりに顔を出してくれたし、程よく酔っ払った。タイミングが合えば、二階から真寿美さんも降りてくる時があるので、暫く足が遠のいていた方々も是非また美味しいホッピーを飲みに来て欲しいのだナ。
◇ ◇ ◇
以前、書いた「東京黄昏酒場」の『河本』をもう一度紹介しようか。
☆東京黄昏酒場/その2.木場平野橋たもとの『河本』
木場駅を上り永代通りを門前仲町の方へ歩いて木場二丁目の交差点を左に曲がると大横川が流れている。
此処から新木場辺りは、広重の江戸百景にも見られる様に深川の堀割を整備し江戸城の築城に必要な大量の木材を保管する貯木場であった。木場の名もここから付いた。
石段を降り、暖簾を潜ると真寿美さんの笑顔が迎えてくれるのだ。
『河本』では、殆どの客がホッピーを頼む。すると真寿美さんが手慣れた仕草で厚手のグラスに金宮焼酎をなみなみ盛り切りに注ぐのだ。それをジョッキに入れるのだが、手首をクィっと曲げて美味い具合に注がれるのだ。
この光景を見るだけでも幸せな気分になれるのだナ。後は栓を抜いたホッピーと共に目の前に置かれるので、自分で作るのだ。
最近、何処の酒場でも一本のホッピーで焼酎のナカを何杯かお代わりする方が多くなっているが、此処でそれは禁物だ。「ナカひとつ!」なんて云おうものなら、真寿美さんが「ウチはホッピー屋だから、ナカソトなんて無いんだヨ!」と激が飛ぶ。
高価なビールに替わって、大衆向けにホッピーが生まれたのが昭和23年。河本では、その時からずっとホッピー一筋で営業しているのだ。
冬の間は練炭で温められたおでんも美味い。つけ過ぎの芥子に泪しながら、三杯目のジョッキが空けば、いつしか心も軽くなる。
そして、また幾日かが過ぎると、真寿美さんのホッピーが恋しくなるのだナ。
注)今は、牛モツ煮込みは出していないので、ご注意を!