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by cafegent
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日々是日記/久しぶりに市川崑の映画が観たくなる

先日、朝日新聞社の主催により『市川崑の60年代レア作品「青春」をフィルムで観てから、「黒い十人の女」の頃の話もしてしまう会」と云うトンデモなく長いタイトルのイヴェントが催された。
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映画を鑑賞した後に音楽家・小西康陽とミルクマン斎藤さんとのトークショーも開催されたらしく、市川崑ファンには堪らない催しだったのだネ。ちなみにミルクマン斎藤氏は、デザインスタジオGROOVISIONSのメンバーであり、映画評論家として活躍している。
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生憎(あいにく)、僕は仕事の都合で参加することは出来なかったのだが、酒朋の友人が何名も参加したりして、愉しんだと聞いた。また、この企画自体を実行した朝日新聞社の小梶さんも我が酒朋でアル。

このイヴェントで上映された作品は『第50回全国高校野球選手権大会 青春』という1968年公開の映画だ。
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市川崑監督の作品でスグに浮かぶのは、’65年の映画『東京オリンピック』だネ。大勢のスタッフや機材を導入し開会式から閉会式までを緻密な絵コンテを作り、撮影に挑んだそうだ。閉会式までの15日間に撮影した膨大なフィルムの編集は気が遠くなるほどの作業だっただろうナァ。

その結果、この映画は大ヒットし、日本国内のみならず海外でも高い評価を得て、確かカンヌ映画祭でも賞を獲得した筈だ。今回上映されたこの映画は『東京オリンピック』の成功を確信し、高校野球大会の主催団体のひとつである朝日新聞社に自ら持ち込んだ自主企画だと知った。

   選手たちの一年間にわたる、長くつらいトレーニングは、それぞれの土地の風土、
   つまり自然とのたたかいです。そのたたかいのなかに、青春の生命感があると思い
   ます。大会は、凝縮したその結果が開花するときです。

1968年8月10日の朝日新聞夕刊の記事の中で、市川崑監督が語った言葉だ。

世界のスポーツの祭典を「映画」というカタチで見事に〝映像美〟なるものをを僕らに植え付けた監督。その視点・基軸をそのまま日本のスポーツの祭典である高校野球を「青春」という切り口で映像化した作品が、この『第50回全国高校野球選手権大会 青春』なのだネ。

この映画をフィルムで観れる貴重な機会は逃してしまったが、8月初めにDVDが発売されると知ったので、8月7日に始まる第99回全国高校野球選手権大会の前に一度は観たいものだ。そして、14日間にわたる激動の青春を体感したら、もう一度この映画を鑑賞してみよう。
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第50回全国高校野球選手権大会 青春 [DVD]

我が兄、小西康陽が昔から市川崑監督の映画を愛していることは誰もが知っている周知の事実だ。好き過ぎて、’97年に自ら映画『黒い十人の女』をリヴァイヴァル上映したことがキッカケとなって、渋谷系世代をはじめ、再び「映画監督 市川崑」が脚光を浴び、過去の映画の再上映に繋がったのだネ。

1994年の雑誌「ブルータス」11月号の中で、小西康陽は「あの頃は蓮實重彦的な映画ジャーナリズムが圧倒的で、もちろんぼくのカブれたクチだが、市川崑など徹底して無視されていた時代だった。好きだと言っても苦笑されるのがオチ。」と記している。そして「『おとうと』の唐突的なラストを、『黒い十人の女』の圧倒的なグラフィックセンスをあぁ、知る者にしか判らないのだ」と怒っていたっけ。京橋のフィルムセンターで「市川崑」を発見してから、ずっと市川崑の映画を観続けているのは大したものだナ。
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黒い十人の女 [DVD]

ちなみに僕が市川崑の映画で一番印象に残っているのは『鍵』だ。冒頭のタイトルロールから、線路の上を走る市電の足元に配役らのテロップが流れ、実にカッコイい。場面が変わる時のリズムやカットをつなぐテンポの良さなど、これこそ市川崑らしい映像編集のセンスの良さを発揮した映画だった。

しかし、この映画は何と言っても、主演の今日マチ子、叶順子、仲代達矢、そして中村鴈治郎の四人が、とにかく凄い怪演ぶりを発揮していることだろう。吊り上がった細い眉が妖艶さを強調した京マチ子と、対照的に太い眉毛で純真一途な女学生らしさを醸し出す叶順子、もうどちらも可成りエロいのだナ。

病に伏せ、死ぬ間際に京マチ子演じる妻・郁子を裸にさせ、それを拝みながら冥土に旅立つ剣持を演じた中村鴈治郎も実にエロい。

京マチ子がこんなにもエロティックで妖艶な女優だったのか、と改めて僕の好きな女優にランク・インしたのもこの映画に出会ったからだったナ。娘・敏子の婚約者で若き医師・木村を演じた仲代達矢は強烈だったナァ。飄々としていて、クールで、実にシニカルな演技は、今も仲代達矢ならではの個性とも言えるだろう。
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鍵 [DVD]

先日、改めて谷崎潤一郎の『鍵』を読み返してみたのだが、自分の性欲の衰えを妻と娘の婚約者との逢瀬によって生まれる嫉妬と興奮により制欲の糧にしている亭主の年齢が今の僕よりも若いと云うことに驚いた。そんなことは、まーどーでもイィのだが、市川崑監督の映画で一番好きな映画が『鍵』なのでアル。

今日の夕方、BSフジで放映されたテレビドラマ版『黒い十人の女』は市川崑自ら監督を努め、鈴木京香さん、浅野ゆう子さん、小泉今日子さんらが実に素敵な演技をみせていたナ。ダメな男の代表とも言えるテレビプロデューサー風松吉役はオリジナル版の船越英二氏もリメイク版の小林薫さんもどちらも怪演だったナ。

一昨日の日曜日、東中野のもつ焼き屋『丸松』にて休日を過ごしていたら、偶然にも酒朋コカ爺ぃこと小梶詞さんが友人とやって来た。彼らは既に赤羽『まるます家』からの帰りでゴキゲンだったので、いざカンパイ!僕が観られなかった前出のイヴェントも盛況だったそうだった。
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そして、彼が手がけたこのイヴェント特製のZineを戴いたってワケだ。

昨日じっくりと戴いた特製Zineを拝読したところに、タイミングよく今日のテレビ版『黒い十人の女』の再放送を知ったので、つい今日は勢いで書いてしまったのだナ。

我がブログの読者にも、これを機に市川崑という映画監督とその作品を好きになって貰えたら幸いでアル。
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by cafegent | 2017-07-18 21:32 | ひとりごと | Trackback | Comments(0)