東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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日々是日記/海の日は、粟ぜんざいを食べ、吉田博に浸る

海の日の月曜日、鎮痛剤が効いているので日本橋の高島屋まで買い物に出かけた。一週間前は、自宅から最寄り駅まで40分以上もかかったのに、この日は10分ぐらいで到着だ。

買い物を済ませた後、地下の食材売り場を散策。東京の百貨店は全国各地の銘菓や名物が揃うから嬉しいネ。この日は「本日入荷」の張り紙に惹かれ、伊賀の菓匠 桔梗屋織居の夏の氷菓「小豆憧風(あずきどうふ)」を購入した。
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水羊羹よりも口当たりがなめらかで、山口のういろう「豆子郎(とうしろう)」を彷彿させた。

名店街をグルリと散策したから、足に随分と負担をかけてしまったのだナ。エレヴェーターで上に昇り甘味処『浅草 梅園』へと向かった。
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店に到着すると、待つ人の列が10数人も居た。
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だが、足を休ませるには暫くじっとしていた方が良いのだネ。そして、30分程で席に着くことが出来た。

此処に来たら、やっぱり「粟ぜんざい」だナ。梅園では、粟(あわ)でなく、餅ちきびを使っている。半搗きした餅ちきびを練り上げて蒸し上げた粒々は、どこかクスクスにも似ている。
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温かく蒸された餅ちきびにじっくりと炊いたこし餡が乗っている。きびの仄かな香りと淡い渋み、それを覆う甘い餡、おぉ、これこれ、これだよネ!東京の味わいを感じる一品なのだヨ。江戸時代は、吉原で遊んだ後の朝帰りの途中、茶店での一服に粟ぜんざいを食べたそうな。

甘いものを補給し、体力も戻ったかナ?日本橋から地下鉄を乗り継いで新宿へと移動した。

新宿西口広場に出て、スバルビルの脇の地下道を歩く。東京モード学園のビルから地上に上がると目の前に新宿副都心にそびえ立つ損保ジャパン日本興亜本社ビルが見える。

エレヴェーターで一気に42階へ。気圧の変化で耳がおかしくなるのだナ。到着したのは『東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館』だ。
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今回は僕が敬愛する画家・吉田博の生誕140年を記念した大規模な展覧会で、昨年の春に千葉県の千葉市美術館で開催された企画の巡回展となる。昨年の夏にNHKの日曜美術館で放映された「木版画 未踏の頂へ 〜吉田博の挑戦〜』を観て、今年の巡回先の長野まで観に行きたいと思っていたのだがタイミングが合わず見逃していたので、漸く東京での開催に行くことが出来て良かった。
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日曜美術館「木版画_未踏の頂へ~吉田博の挑戦~」紹介のサイト

過去に何度か吉田博展を観たことがあるが、ほとんどが後期の新版画の作品が中心だった。だが、今回は幼少期のスケッチの作品から日本画、洋画を始め、吉田博の画業の全てを垣間見ることが出来る貴重な展覧会だった。

「絵の鬼」と呼ばれていた画家だが、僕の中ではずっと「旅する画家」の印象が強いのだナ。明治32年に画家仲間の中川八郎と共に片道の渡航費だけを工面してアメリカに渡り、向こうのデトロイト美術館で二人展を催した。その際に、自分の絵を売って生活費を得るなんて尋常じゃないよネ。しかも、ほとんどの絵が売れて千ドルもの大金を手にしている。当時の金としては、教師の給料の11年ぶんにも相当するらしい。スゴいネ!

アメリカを巡り、そこからロンドン、パリと足を伸ばしている。日本に戻ってからも、各地の山々を登り精力的にスケッチを重ねており、多くの水彩画、油彩画、木版画を残しているのだナ。中でも日本各地の名勝地を描いた木版画のシリーズは僕の大好きな作品だ。

明治36年には再び渡米し、そこからヨーロッパを経由してエジプトまで巡っている。
後年、大正期にはスイス・マッターホルンを訪れ、昭和期に入ってからもインドや韓国、中国にも訪れている。
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晩年、太平洋戦争が起きた昭和16年には、戦う戦闘機から見下ろした大地を描いた作品『空中戦闘』を描いている。戦後生まれの僕は、この絵を前にして胸が詰まる思いで観てしまった。

吉田博の作品の多くは、海外に渡っている。当時から、海外の人たちの琴線に触れる「日本の風景」を木版画にして、外国人ウケするアングルで風景を切り取ってグラフィカルに描いたのだろうネ。これは写真では決して表せない吉田博の世界観で描いたグラフィックアートなのだ。
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本展覧会では、そこに辿り着くまでの画業のヒストリーと画家の旅を辿ることが出来た。

    ダイアナ妃や精神医学者フロイトも魅了した画家

展覧会のフライヤーに書かれたキャッチコピーは、なんだかナァと思ってしまうのだが、広く多くの方々が足を運んでくれるキッカケとなるのであれば、まぁイイか。

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            吉田博 作品集

ゆっくりと館内を回ることは出来たのだが、さすがに足が痛くなってきた。そろそろ痛み止めの効果が切れる頃かナ。
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と云うわけで、杖を片手に家路へと戻ったのでアール。

過去の日記から「2009/10月 吉田博の新版画に浸る」

過去の日記から「2011/8月 夏の百花園にて句会と酒場」
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by cafegent | 2017-07-20 11:19 | ひとりごと | Trackback | Comments(0)