東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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日々是日記/土用の丑の日、オヤジ三人うなぎ酒!

昨日は「土用の丑の日」だった。土用とは、五行に由来した暦の雑節だネ。四季に合わせて、年に4回あり、立夏・立秋・立冬・立春の「四立(しりゅう)」に入る前の18日間のことを土用と云う。

この中の夏の土用は、暦の立秋を迎える前の期間をさし、今年は7月の19日が「土用の入り」と呼び、来月の6日あたりを「土用明け」と呼んでいる。年に4回あることから、夏以外にも秋土用、冬土用、春土用もあるのだナ。

土用の季節の間の丑の日に当たるのが「土用の丑の日」というワケだ。今年は7月25日と8月6日が丑の日となる。
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実は鰻の旬は冬だったのだネ。江戸時代、学者や発明家として流しれていた平賀源内が、夏場がヒマで困っていた鰻屋の主人に頼まれて『本日、土用の丑の日』という貼り紙を鰻屋の店先に貼り出したら、途端に流行りモノに目がない江戸っ子たちがこぞって鰻を求めてやって来て大人気となったそうだ。今で言うところのキャッチコピーが見事にハマッたってことだネ。現代まで「土用の丑の日」には鰻を食べるってことが根付いているのだから、江戸期の天才コピーライター平賀源内、恐るべし!

物心ついた少年時代から、土用の丑の日と言えば鰻の日だった。世話になっていた叔母が、近所のうなぎ屋の軒先で香ばしく焼かれた鰻の蒲焼を買ってきてくれてドンブリ飯の上に乗せてくれた我が家のうな丼は夏のご馳走のナンバーワンだったナァ。ひょうたん型の山椒入れは、多分、年に一度しか食卓に並ばなかったのじゃなかろうか。

そして、たまに北海道に帰省した折に祖父の家に遊びに行った時などは、うな重を出前でとってくれたものだった。重箱に収められた鰻の蒲焼は、それはもう〝特別〟な食べ物だった。蓋を開けた瞬間に香ばしい香りが鼻腔を刺激し、ストレートに胃袋を揺さぶるのだ。目で十分にうな重を鑑賞し、箸を手に取る。サァ、どっちから食べようか。ふっくらした首下の身から行こうか、それともこんがりと焼かれた尾の部分から行こうか、毎回悩むのでアル。最初は鰻だけを味わい、それからご飯と鰻をバランスよく箸で取り分けて口へと運ぶ。程よく乗った鰻の脂がタレと一緒にご飯に絡まり渾然一体となって旨味を増幅させるのだナ。最後に重箱の隅に残った米粒は、蒲焼の名残りのタレと風味でかき込むって寸法だ。

高校時代までは、毎年夏になると鰻にあり付けていたのだが、大学で上京してからはトンとご無沙汰になった。社会人になって数年が経ち、自力で焼肉屋や寿司屋に行けるようになった頃から、再び夏の土用を迎えると鰻を食べるようになった。もちろん、それからは酒も一緒に愉しんだのだナ。
       ◇             ◇             ◇
さて、昨日は朝10時15分、酒仲間のダンディさん、スーさんと新小岩駅で待ち合わせをした。
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駅前からタクシーに乗り込み江戸川区役所方面へと向かった。
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「魚三酒場」の前を通り、区役所を過ぎてから左へとコの字のように回りタクシーを進めると、なんとシャッターが下りているではないか。タクシーの運転手さんが「お休みみたいですネ〜!」と一言。シャッターに貼られた「本日、お休みさせて戴きます」の紙に僕らも諦めた。そうだよネ、最近は普段から流行っている『野田岩』のような鰻屋さんは、土用の丑の日を休むところが増えているものナ。

11時開店に合わせて向かったので、まだ次の手立てを考える時間はある。我ら三人は、タクシーを降りずにそのまま再び新小岩の駅まで戻ることにした。

そして浮かんだのが亀戸天神社の参道に店を構える天ぷら・活鰻の『八べえ』だ。こちらも臨時休業だったら元も子もないので、新小岩の駅から電話を入れてみた。すると、感じの良い声で「はい、八べえです!」との返事が聞こえた。今日は鰻を食べられるかを問い合わせると、この日も11時半から通常に営業をするとのことだった。ただし、近所への出前の注文がいっぱいなので、店内での鰻の提供は12時を回ってしまうかもしれない、とのことだった。

おぉ、これはありがたい!毎週土曜日の立石朝酒で、待つことには慣れている三人だ。喜んで待ちます、と今から向かう旨を告げて電話を切った。

よしっ、とJRの改札に入り、総武線で亀戸へと移動したのだナ。
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亀戸駅を出て北口の商店街を進み蔵前橋通りへと歩く。

夕方に通夜に向かうスーさんは喪服姿で暑そうだ。
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パナマハットに短パン姿と見た目にも涼しそうなダンディさんとは真逆だったナァ。

そして杖をつきながら、僕は後ろから追いかけるのでアル。

11時5分前、『八べえ』に到着だ。11時半開店なので、30分ちょっと待つことにした。
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すると、ガラリと戸が開いて「お暑うございますので、中でお待ち戴いて大丈夫ですよ」とお声掛けしてくれたのだ。これは嬉しい気遣いだネ。先ほどの電話の応対といい、本当にお客様本位の素晴らしいお店なのだネ。

お店の方にご挨拶をして、奥の小上がりへと進み腰を下ろした。駅から亀戸天神社まで歩くと、やっぱり汗も吹き出すのだ。
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冷たいおしぼりで汗を拭い、ホッと一息。すると、飲み物を出してくれるとの嬉しいお言葉!では、お言葉に甘えて「生ビール3つ、お願いします!」
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では、カンパ〜イ!

こうして、お店の方々の気遣いに甘えて、並ぶことなく鰻を待つことが出来たのだ。
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それにしても、喪服姿のスーさんと、真っ白なTシャツ姿のダンディさん、まるでレザボアドッグスに出てくる野郎どもにしか見えないネ。

メゴチの天ぷらを肴にビールが美味い。
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江戸前の天ぷらには欠かせないメゴチの身はふっくらとして塩が旨味を引き立ててくれたナ。

11時半の開店になると続々とお客さんたちが入ってきて、スグに座敷も満席となった。

そして、12時過ぎまで待つとばかり思っていたうな重も程なくやって来た。
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美しい重箱の蓋を取ると、ふっくらと焼きあがった天然青うなぎの姿に目が釘付けになる。
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おぉ、麗しき蒲焼よ。タレとうなぎの脂が醸し出す香ばしい香りが僕の鼻腔をくすぐるのだ。この香りだけで、酒がススむススむ。

よし、戴きます!「八べえ」ではうなぎを頼むと、関東風の「蒸し」か関西風の「地焼き」かを聞いてくれる。どちらも好みなので、気分によって変えることが多いのだが、今回は天然の青うなぎなので、身もしっかりしているだろうから、と蒸しをお願いした。肉厚なうなぎが程よく蒸されているので、ふっくらとした口当たりで実に美味い。
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先ずは、いちばん身の厚い胴のところから口へと運んだ。むふふ、辛めのタレが東京のうなぎ屋らしさを醸し出しているネ。
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岡山は児島湾で捕れる青うなぎは、アナジャコを餌にしているので「しゃこうなぎ」とも呼ばれているのだナ。川で捕れる天然ものと違って、身も柔らかく、脂も程よいのが、青うなぎなのだ。
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肝吸いも三つ葉が仄かに香り、うな重で満たされた口の中をさっぱりとさせてくれる。あぁ、もっとじっくりと味わいたかったが、美味し過ぎて三人ともモノの10分ほどで平らげてしまったネ。

「どうぞ、ゆっくりとして行って下さいネ〜」と声を掛けて頂いたが、真に受けちゃイカン。何と言ってもこの日は「土用の丑の日」だ。長っ尻は待っている方々にも失礼でアル。ご馳走様でした。
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外に出ると蝉の鳴く声が参道の彼方此方に響き渡っていた。
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亀戸天神社を一回りして、藤棚の向こうに望むスカイツリーを拝んだ。

ちょっと外に出るともう汗が噴き出している。亀戸天神社の隣に店を構えるくず餅の老舗『船橋屋本店』にて涼を取ることにしたのでアル。
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再び、三人揃って氷宇治金時の白玉トッピングを注文。
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それにしても氷がデカい。
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こちらでは、純白の氷に自分で抹茶シロップと小豆をかけるのだネ。氷が器から崩れ落ちないように気をつけて食べなくちゃならない。
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意外と、呑んべいに甘いもの好きが多いのだネ。

店の奥の坪庭を眺めながら、冷たいかき氷を戴く。
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なんて贅沢はひとときだろうか。

宇治抹茶も濃くて、甘さも控えめだった。
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冷たく冷えた白玉に甘く煮た小豆が合うナァ。最初は氷の量が多いから、全部食べきれるだろうか、と心配したが最後はペロリと平らげ小さなガラスの器だけになった。

オヤジ三人、茶寮での一服を堪能し、涼を取ることが出来た。
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午後1時、今にも一雨降り出しそうな灰色の空の下を錦糸町まで歩き、次の酒場へと向かったのでアール。

過去の日記から「2011/8月 児島湾の天然しゃこうなぎに唸る。」
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by cafegent | 2017-07-26 13:28 | 食べる | Trackback | Comments(0)