東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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日々是日記/下北沢のパン屋さん『アンゼリカ』が幕を降ろすのだネ。

今朝の朝刊を開いたら、懐かしいパン屋さんの名前が紹介されていた。その記事は、下北沢で永く続いたパン屋『アンゼリカ』が今月末をもって閉店するとの内容だった。
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今から30年程前、僕は下北沢と云う街に住んでいた。駅から南口へと出て駅前の商店街を真っ直ぐ進み、茶沢通りに出る代沢三叉路手前に小さな郵便局が在った。一階が世田谷代沢郵便局で、その上がアパートになっていた。その名も「ポストハイツ」と云い、そのまんまのネーミングに物件を見に行った時に、思わず吹き出してしまったっけ。

駅からポストハイツへと向かう途中のちょうど真ん中辺りに『アンゼリカ』は在った。平日は殆ど店が開いている時間には帰れなかったが、土曜日はよくパンを買いに行った。みそパンが名物だったが、僕は此処のカレーパンが好きで、いつも二個買って食べていたナァ。

たまに友人の家に遊びに行く時などは、パンプディングを買い求めた。長細いアルミフォイルに入ったパンプディングはカスタードの香り豊かで、僕自身が大好きだったから、手土産にも重宝したっけ。

午前中に昼飯用のパンを買いに行った時などは、可愛い双子のお嬢さんを連れたシーナ&ロケッツの鮎川さんの姿を見かけたこともあったナァ。みんなもう随分前の思い出だ。50年の歴史に幕を降ろす「アンゼリカ」のパンの味は、ずっと僕の記憶の中に残っていくことだろう。当時は本当にお世話になりました。そして、お疲れ様でした。

僕は郵便局の二階に住み始めてから、毎晩のように茶沢通りに在ったソウルバー『あんずや』に入り浸った。通いだしてから1年ほどが過ぎた時に、店主のテル君から突然店を畳むとの知らせを受けた。そうか、行きつけの酒場が無くなってしまうのか、とまた何処か居心地の好い酒場を探さなくちゃなぁ、と思っていた時に家の近くの不動産屋に物件情報の貼り紙を見つけたのだった。

「あんずや」だった場所が居抜き物件として売りに出ていたのだ。最初は〝また誰かが借りて好い酒場が出来ると良いのだが〟程度のことだった。

当時、収集していたR&B、Soul Musicのアナログ盤が約4,000枚ほども有り、それに加えて当時主流になっていたCDも膨大な量になっていて、アパートの二階の床が抜けないかと心配する日々を送っていたのだ。そして、咄嗟に閃いたのが「居心地の良い酒場がなくなってしまったのならば、自分でバーを開こう」との考えだったのだナ。

部屋に有る膨大なレコードとCDも1階のバーならば安心して置いておけるし、みんなにも僕の好きなソウルミュージックを知って貰える、ましてや自分が一番居心地の良い酒場を作れば良いのだ。

こうして、一念発起して鉛筆ナメナメ事業計画書を仕上げて片っ端から金融機関の門を叩いた。営業譲渡金、不動産契約金、内外装費、酒等の仕入れ代金、音響設備などなど数百万円の見積もりとなったのだが、なんとか五年返済の計画で資金調達をすることが出来た。あとは友人知人たちの手を借りて殆どを自分たちで工事して店を仕上げたのだったナァ。

約三ヶ月の準備を経て1989年、僕は酒場『 ALGONQUIN’S BAR』の主人となったワケだ。
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あれから28年が過ぎたが、アルゴンキンズバーは、今も下北沢・茶沢通り沿いに健在だ。

きっちり5年で金融機関の返済を終えて無借金となり、丸10年が経った時に僕はまた違うことがやりたくなったのだナ。その頃、ちょうど二代目のバーテンダーの日影館くんが結婚し子供が出来たばかりだったので、この店の運営で家族を養えるならば、と彼に無償で店を譲ったのだった。唯一、僕が出した条件は「店の名前を残すこと」そして「僕のレコードを保管すること」だったが、タモツくんはちゃんと今でも守ってくれている。

今朝の朝日新聞の記事を読んで、久しぶりにあのパン屋さんのことを思い出し、当時住んでいた下北沢の街が走馬灯のように脳裏に浮かんだのだった。
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8月に入ったら『アルゴンキンズバー』の扉を開きに行ってみようかナ。

過去の日記から「2010/5月 ボブ・マーリーの命日に昔を思い出す」
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by cafegent | 2017-07-27 12:38 | ひとりごと | Trackback | Comments(0)