東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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日々是日記/7月の終わり、夏の酒を想う。

      ひやひやと壁をふまえて昼寝哉       松尾芭蕉

子供の頃、夏の暑い日など、土壁に頬や太ももを引っ付けてヒヤリとした涼を感じながら楽しんでいたナ。クーラーなどまだ高嶺の花だった時代、土壁は湿気を吸い取り、梅雨のジメジメした空気や秋の長雨の嫌な匂いなどもかき消してくれて、昔の人の知恵に随分と感心したっけ。

残暑厳しい夏の盛り、旅の途中の芭蕉翁も昼寝の最中に壁に触れてひやっとした涼しさを楽しんでいたのかナ。

僕の住むマンションはちょうど今、大規模修繕の真っ最中だ。あと残り二ヶ月、朝から夕方まで通路やベランダをたくさんの方々が作業をしながら往来している。午前中はずっと部屋でパソコンに向かっているので、工事の騒音に閉口しているワケだが、僕らの快適な住まいのために作業をしてくれているのだから、とこちらも堪えないとネ。そんな工事の音も12時を迎えるとピタッと止まり平穏な時が戻ってくるのだ。そう、作業員さんたちの昼休みの時間なのだ。小一時間のことだが、僕はその時間に大いにキーボードを叩き、文面に集中することにしている。

自分の昼飯を買いにマンションを出ると、駐車場脇や工事現場の空いたスペースなどで昼寝をしている作業員さんを見かけるのだナ。こんな夏の暑い昼間に職人や大工さんが休憩時に仮眠を取ることを「三尺寝」と呼ぶのだネ。太陽の影が三尺ほど傾く小一時間ほどの睡眠だから、この名が付いたと言われているが、作業場の隙間の三尺ほどの小さなスペースで寝転んでいたからとの説もある。

しかし、どの家庭にもエアコンが設置してある時代、昼寝する場所だって室外機の熱気で涼など取れないだろうネ。三尺寝の真っ最中の職人さんたちは、芭蕉の昼寝とまではいかないがせめて日陰が続いていてくれることを願いつつ買い物に出かけたのでアル。
    ◇             ◇             ◇
暑い夏の日に一番飲みたくなるのがミントジュレップだ。
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週末の昼下がり、冷蔵庫から取り出した氷を細かく砕き大きめのグラスにぎっしりと詰める。ベランダから摘んだミントをサッと水で洗い氷の上に置いたら粉砂糖を加えてスプーンの頭でミントを氷に押しつぶすようにして砂糖を一緒に溶かす。その上からバーボン・ウィスキーをなみなみと注ぎ、太いストローで軽くステアすれば完成だ。

あとは、グラスと本を持ってベランダの日影を探すのだ。最近では、もっぱらラム酒を使ったモヒートが持て囃(はや)されているが、僕の時代はバーボンかライ・ウィスキーだった。我が家にはいつもジムビームやフォアローゼス、それにオールドオーバーホルトが置いてあった。特に銘柄にこだわっていた訳じゃなく、その日の気分で選んでいたっけ。

イアン・フレミングが書いた『ゴールドフィンガー』の中で、ジェイムズ・ボンドは甘さを抑えたミントジュレップを飲んでいた。
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何をやってもさまになるボンドに僕も憧れたものだ。

今からもう30年以上も前、軽井沢を訪れた時、ホテルの庭のテラスで初めてこのカクテルを飲んだ。ボンドが頼んだカクテルよりは甘い味だったのだろうが、その時から僕の中では「避暑地の酒」と言えばミントジュレップになったのだナ。
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夏の飲み物と言えば、もうひとつ。英国の夏の定番飲み物が「ピムス」だ。ジン・ベースのリキュール「PIMM’S No.1」をレモネードかサイダーで割り、レモンスライスとキュウリを入れるのだヨ。日本でも下町の居酒屋あたりに行くとチューハイにキュウリのスライスが幾つも入ったものを目にすることがある。この「かっぱ割り」、まるでメロンのような香りを放ち、爽やかな酒となるのだネ。

夏のロンドンでは、パブなどで大きめのグラスにキュウリやオレンジなどを入れたピムスのカクテルを飲んでいる人たちをよく見かけた。彼らの感覚だと、食前のサングリア的なものなのだろうナァ。

昔は、余り日本では目にしなかったリキュールの PIMM’S No.1だが、今はキリンが国内で発売しているのだネ。
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ピムス 25度 700ml
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by cafegent | 2017-07-31 12:35 | ひとりごと | Trackback | Comments(0)