東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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つじがそばで、気分は鬼平犯科帳なのだ。

つじがそばで、気分は鬼平犯科帳なのだ。_b0019140_2012637.jpg今朝、地下鉄のホームでボーッと突っ立っていたら、線路で何かが動いているからビックリしてしまい、すっかり眠気もさめてしまった。よく見たら地下鉄で作業をしている人たちだった訳だが、普段人が居る筈もない所に居るのだから驚くよなぁ、まったく。それにしても、電車がホームに入ってくるギリギリまで作業しているもんだから、見てるこっちがハラハラしてしまった。

こう毎日暑いと何だか喉ごし爽やかなモンが食べたくなるのだ。で、今日は新橋5丁目の『辻そば』に行ってきた。ここは何を食べても美味しいのだが、夏はやっぱり「つじがそば」に限る。北海道産のそば粉を石臼でひいて、つなぎなしの生粉打ちのそばに大根の千切りがからまったざるそばなのだ。シャキシャキした食感とそばの香りを楽しめて、まさに食べながら涼しくなる逸品だと思う。
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ご主人の辻さんは、きっと池波正太郎好きなのだろう。ここの品書きには「剣客そば」なる品が在る。こちらはざるではなく、しょうが風味のぶっかけそばなんだが、これも実に美味い。池波正太郎と云えば、誰もが知っている名作「鬼平犯科帳」や「剣客商売」、「仕掛人 藤枝梅安」なんかが有名だけど、『食』に関するエッセイがたまらなく面白いのだ。もっとも時代小説の中でも、結構食べ物に関する描写なんかは相当こだわっていると思う。で、今日は『食卓のつぶやき』と云う本を片手に辻そばにお邪魔したのだ。マルセイユのホテルで食したオムレツの話や先日他界したフォークシンガー高田渡氏が歌にまで唄った京都の「イノダコーヒー店」まで登場するし、池波さんは相当映画も良く観ていたみたいで、いろんな映画についても面白く語っている。この本は、83年頃1年近く週刊朝日に連載していたエッセイなのだが、今読んでもかなり面白いから、本屋で見つけたら読んでみて欲しいなぁ。つじがそばで、気分は鬼平犯科帳なのだ。_b0019140_2075588.jpg
僕の友人がプロデューサーとして働いているアド・エンジニアーズ・オブ・トーキョーなる広告制作会社があるのだが、その会社の創業者が西尾忠久さんと云う方で、広告関係の著作も沢山出しているし、僕の好きなデザイナー兼絵本作家トミ・アンゲラーの本なども出版してる凄いお方なのだが、西尾さんの究極の研究が何を隠そう「鬼平犯科帳」なのだ。鬼平を通じて、江戸文化を知る事が出来るなんて楽しいだろうなぁ。

機会があれば、是非西尾さんを辻そばにお連れしたい。辻そばは、夜も充実していて、酒やそば焼酎も楽しめる。美味いそばと酒を交わしながら、鬼平の世界を聞いてみたいものだ。
by cafegent | 2005-08-03 20:12 | 飲み歩き