東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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牛肉三昧で、至福の夜。書きながらまたヨダレが出てくるのだ。

毎年、年末恒例でお邪魔していた池ノ上の『ハッチとノラ』が、12月は僕の勘違いでお店が冬休みに入ってしまい、年明けにずれ込んでようやく行って来れた。井の頭線の各駅に乗って池ノ上駅で降り、踏切を渡ってそのまま歩いて行くとすぐに左側に赤い提灯が見えて来る。

この店にはもうかれこれ20年近く通っていると思うけど、普通の通行人にはどっからどう見ても焼き鳥屋にしか見えない門構えの店である。でも、ここは焼き鳥屋でもモツ焼屋でもなく、牛肉の炭火焼専門の店なのだ。30数年前の開店以来、ここのマスターはひたすら牛肉の赤身にこだわり、250種類以上あるオリジナルメニューを季節に応じて料理してくれるのである。ここは下北沢近くと云う場所柄若者も多い所なので1,500円、2,000円とリーズナブルなコースや単品の串焼きもあるが、まずはマスターに予算を告げてお任せで頼むのが一番なのだ。もう、これでもかッ!!と云うくらいに美味い肉を喰わせてくれる。

そしてこの日は、まず「特製煮込みスープ」から。これを飲まないと始まらない、って云う程の名物です。そして、レバーの刺身。新鮮なレバーが入ったからと塩だけで食べさせてもらいました。次にマスターがボソッと一言、「タルタルステーキ、食べたいか?」。カウンターの3組は皆口を揃えて、「はい!頂きますっ!!」。
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いやぁ、美味い。ホント、ウマかった。長年通っているけど、ここでタルタルステーキを食べたことは無かったなぁ。「ウチは牛の赤身がどれだけ美味しいかを追求しているが、タルタルステーキはやっぱりサシの脂が入ってないと美味しく無いワケよ。」とマスターがつぶやく。何が凄いって、上等な牛の刺身だけでもとびきり美味いのにパルミジャーノレッジャーノを削り、更にゴルゴンゾーラチーズを加える。それをぐちゃぐちゃと混ぜて口に運べば、肉がトロけてチーズの香りと絡まってくるのだ。これ、赤ワインに合うなぁ。いつもの牛刺しも絶品だけど、この「タルタル」にはやられました。

生肉が続き、焼き場の炭火がヒマそうにしていたかと思ったら、マスターがまたガツンと肉の塊を切り出した。厚さ5センチ程に分厚くカットした牛肉に鉄串を数本刺し炭火の上で焼きだした。「今度はステーキね。どう食べたい?」って聞くから、思わず「しらすとサワークリームの奴でお願いします。」とリクエスト。
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コレがまたハマってしまう味で、牛ステーキをしらすたっぷりで戴くんです。他じゃ絶対喰えんね、これは。この取り合わせがまず考えつかないもんね。ちなみに普通に頼むと一人前2,500円もするメニューなのだ。
ワインのボトルが又空いて、続くは、「ハツのニンニクバター焼き」の登場。これはマスターが炭火を持って来て、目の前でハツ焼きの上にデーンと乗ったバターを炭火の熱でジュワーっと溶かしてくれるのである。
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いつもは串焼きなのにこの日はかなりのボリュームで出してくれた。目で楽しみ、味でなお楽しめる逸品だ。

次に「これもワインに合うよ。」と煮込んだシチュー鍋から出してくれたのが、この店にしては珍しく豚バラ肉。
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食べる少し前に鍋に入れた豚肉は程よく味が滲みていて言う事なしの味だった。箸休めの「大根の浅漬けの牛肉だれかけ」。これもさっぱりして美味い。
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しこたま美味い肉を食べて満足、満足と思っていたらマスターが〆の一品を出して来た。「たんもと」だ。
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最初に出してもらった「特製煮込みスープ」の鍋の底でじっくりと煮込まれた「たんもと」は、黙って食べるべしの逸品です。参りました。

マスターの渡辺厚水さんは、元商社マンから脱サラして数十年。牛の赤身の追求のみならず、塩も研究しまくっている。マスターの機嫌が良い時には、なんと塩から調理し出してくれるのである。世界中の塩をセレクトしてブレンドし、干した貝柱をミキサーで粉塵し、塩とダシと酒(etc...)をフライパンで煎り出して、水分が飛ぶまでじっくりとフライパンを回し出す。その途中、途中で僕らに味見をさせてくれて、しょっぱい塩がどんどんと旨味を増した味わいになってくプロセスまで堪能させてくれる。そして、その塩を使った肉料理を作ってくれるのだ。最高でしょう。
霜降り牛肉のすき焼きなんかも良いが、マスター渾身の赤身&究極の塩料理を是非とも食べてもらいたい限りだ。
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ちなみに店名の『ハッチとノラ』は、ペットの犬の名前だそうだ。顔に似合わず、可愛い所もあるマスターなのだ。(と、こんな事云うとまた怒られんだろーなぁ。)

今年も春から至福の肉料理と美味しいワインをありがとうございました。
マスター、ご馳走さまでした。

ここまで来たからには、帰りは散歩がてら、下北沢「アルゴンキンズ・バー」で一杯引っ掛けて行くのだ。
「ハッチとノラ」
by cafegent | 2007-01-26 15:45 | 食べる