東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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フレンチの王道で19万4千32羽目の鴨を頂く。

夕方6時。外はまだ日差しが強く、かなり湿度も高い。紀尾井町のニューオータニに着くとドっと汗が吹き出した。化粧室で顔を洗い、汗が引いたところでタワーから本館へ。『バー・カプリ』で一杯では無く、手前の『トゥール・ダルジャン』のウェイティング・ラウンジへ。いつもながら思うが、壁に飾られた51人の肖像画が圧巻だが、時にじろりと目が動いて誰かに見られているのでは、と云う気配を感じてしまう事がある。
重厚なソファに腰を落とし、外の日本庭園を眺めながら冷たいキールを頂いた。ここのキールは生のブルーベリーが数粒浮かべてあって必ず頼んでしまうのだ。うーん、汗を引かすのに丁度良いなぁ。他の連中は煙草が吸えるのはこのバーラウンジだけだから、としきりに煙草に火を付けていた。喫煙者は大変だなぁ。

一息ついたところで、メイン・ダイニングルームへ案内してもらう。エントランスホールの歴史ある品々を拝見しながらダイニングへ向う時は何か儀式にでも参加するような緊張感があって良いのだ。
いざ、ダイニングに入ると80席程ある広い部屋に客は僕らだけ。

おぉ、さすがこんな早い時間だと誰もいないのかと「えぇ、今日は僕らの貸切なのでー!」と平気でホラを吹き窓側の角の席へ座る。
夕暮れの蒼い空に変わって行く中での至福の宴に、いざ乾杯。

最初はボルドーサンジュリアンの「シャトー・ベイシュヴェル」1996年を頂いた。帆を半分下げた船の図柄が印象的で覚え易いが、味もしっかりとしていてフォアグラのソテーとの相性もバッチリだった。
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メートル・ド・テールの三谷さんオススメは、今月末までフランスはブルターニュ地方から活きたまま空輸されてくるオマール海老でした。
オマールはソテーとかカルパッチョ、フリカッセなどどれも美味しそうなメニューが用意されていたが、昨日もとにかく暑い一日だった。湿度の高い梅雨の暑さを吹き飛ばしたいし夏はこれだ、と「オマール海老のコンソメジュレ エストラゴン風味」を頼んでみた。
夏は居酒屋に行っても大抵「ふぐ皮の煮こごり」や「どぜうの煮こごり」なんぞをアテに一献つけるが、同様にプルンプルンとしたジュレは喉を通るだけで爽やかになるのだなぁ。

連れの頼んだキャビアとソバ粉のガレットがもの凄い氷の彫刻の上に鎮座してきて一同ビックリ。あの巨大な物がテーブルに乗るのかとおもいきや、そこから三谷さんが丁寧に取り分けてくれた。あぁ、キャビアも腰が抜けるほど美味かった。あれにはキリリと冷えたシャンパンが合うんだろうなぁ、と思いながら微炭酸の水で我慢した。

そして、メインの鴨料理。トゥールダルジャンを代表する一品「幼鴨のロースト”マルコポーロ”」と「幼鴨のロースト”オレンジソース”」を皆で取り分けることにした。マルコポーロは、4種の胡椒を使った香りの高いソースで必ず食べたくなるのだ。

さて、鴨に何を合わせようかと考えて、今度はブルゴーニュの逸品ドメーヌ・コンフュロン・コテティドの「ヴォーヌ・ロマネ」1999年赤を選んでみた。
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創業420余年、トゥール・ダルジャンの19万4千32羽目の鴨に感謝しつつ、濃厚なソースをたっぷりかけてパクリと頂く。うぅ、至福の時。ワインとの相性もバッチリだった。
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最後は、外はカリっと中はジューシーな鴨のもも肉のコンフィの様な料理で〆る。
4人で数種類を取り分けたから、結構お腹一杯になったが、昼飯を食べる時間がなかったので丁度良かった。
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食後にはお待ちかね、メートル・ド・テールのパフォーマンスが素晴らしいデザートで。
クレープにたっぷりとお酒を振りかけ仕上げていき、目の前で炎が立ち上がり、食後の歓談もしばし中断し見とれてしまう程である。
僕は「ピーチのフランベ フランボワーズの香り」を頂いた。皿の上の丸い桃に炎を上げたブランデーを注ぎフランベするのだが、結構強い酒が効いてかなり美味かった。
これには、ボルドー・ソーテルヌの貴腐ワイン「シャトー・ギロー」1989年を合わせてみた。甘さの中に少しスパイシーな香りを含み、とても味わい深かった。ポートワインにしようか迷ったがこちらにしてみて良かった。

今日から10日間、トゥールダルジャン「パリ祭」が開催されるとの事だ。1867年にロシア皇帝アレクサンドル2世と皇太子、プロシア王ギョーム1世の三皇帝が一同に会した「三皇帝の晩餐」は、トゥールダルジャンの地位を不動のものにしたそうで、 今年はその「三皇帝の晩餐」の140周年なのだそうだ。
それを記念し、パリ本店からオーナー、総料理長、シェフ、ソムリエ、メートル・ド・テルが一挙来日し、「パリ祭」を開催。凄いねぇ。
でも、そうそう立て続けには行けないのだ。皆さん、代わりに是非どうぞ。

それにしても王道のフランス料理は、やはり素晴らしい。
料理も良いが、なにより人が良い。前に出過ぎず、それでいてこちらの欲する事にサッと気付いてスマートに対応してくれる。
僕もついつい、新しいレストランに行ってしまう機会が多いが、たまに「ハレ」の日を楽しむにはここはオススメだ。
パリの本店は3つ星から格下げになったそうだが、『トゥール・ダルジャン』は安心して人をもてなす事が出来る名店だと思う。
by cafegent | 2007-07-06 19:14 | 食べる