東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31

毎年、落語を聴く回数が増す季節。恒例の『圓朝祭』ももうすぐか。

金曜の晩は空が奇麗な茜色に染まっていたが、週末3連休のスタートは朝から雨だったなぁ。
b0019140_168127.jpg
b0019140_169574.jpg
ここ数年毎年楽しみにしている『大銀座落語祭』が12日から5日間開催されていたので、中でも楽しみにしていた林家正蔵の会を観て来た。
b0019140_1610296.jpg
この『大銀座落語祭』、今年は「東西味くらべ!落語満干全席」と銘打っているが、銀座を中心になんと12会場で60もの公演が繰り広げられるのだから凄いのなんの。落語家だって400人も登場するのだ。
沢山の方々に落語に触れて頂こうとの試みから一番高い入場料でも5千円だ。そして、50以上の催しが千円、800円、入場無料なんである。タダで立川志の輔や林家正蔵なども観られるので、素晴らしいイベントなのだ。
中でも注目すべきは、現役引退を表明してた三遊亭園楽師匠が久しぶりに高座に上がる事だ。落語家以外でも役者、風間杜夫や小沢昭一が登場したりする。また南原清隆は「ナンチャンの落語会」を開き、あの「芝浜」を演じるらしいし、稲川淳二のミステリーナイトやコロッケものまねオンステージと多種多彩の内容。

この催しは4年前から春風亭小朝の呼びかけの元、笑福亭鶴瓶、林家正蔵、春風亭昇太、立川志の輔、柳家花緑から成る「六人の会」が中心となって全銀座会、銀座連合会、西銀座通会と共に実施しており、落語を「デパ地下の試食のように気軽に楽しんで欲しいと」の思いから4回目を迎えた。
b0019140_1694093.jpg
で、僕が観に行ったのは14日の土曜の昼。東銀座で地下鉄を出て、万年橋から祝橋を過ぎて銀座ブロッサム中央会館へ。毎年違う図柄の団扇をもらい、会場へ上がる。それにしても雨の中満席である。
b0019140_1611151.jpg
「九代目 林家正蔵」を襲名してからとメキメキと芸に磨きがかかっている(と、僕は思っているのだが)こぶ平改め正蔵の落語が聴きたくて、この日の会に行く事にしたのだ。

三部構成になっており、まず第一部が「林家たい平・風間杜夫 二人会」だ。以前、桂歌丸や鈴々舎風車で一度聴いた古典落語の「お見立て」をたい平がテンポ良く演じていてたが、いま旬なネタも織り交ぜながら余裕たっぷりの一席だった。
代わって、風間杜夫も古典落語「酢豆腐」を演じた。それにしても役者と云う職業は凄い。演じるとは云え、芝居は誰かと演じ、落語は全てを一人が演じる訳だが余りに上手すぎて噺家○○○さんを演じた風間杜夫に見えてしまった。噺の中にアドリブが無い分随分と緊張をしていたんだろうなぁ、と思いながらも十分楽しめた一席だった。ちなみに「酢豆腐」とは「知ったかぶり」の事で腐ってしまい匂いのキツい豆腐を知ったかぶりの若旦那に珍味と称して喰わせてしまう噺だ。
終了後、二人の対談があって15分の仲入り。

第2部は「林家正蔵の会」。
前座は林家一門、林家しゅう平の「袈裟御前」だったが、しゅう平自慢の唄の披露がちぃとばかし多すぎた感が残った。噺の方はあっちこっちの飛びながら、最後は定石「今朝のご膳が...」で締めた一席。

そして、この日一番のお目当てである林家正蔵の登場である。枕でも随分と笑わせてもらったが、この日の演目「お菊の皿」は良かった。
夏の一席と云えば怪談噺。毎年、圓朝祭でも怪談噺を楽しむが、番町皿屋敷の噺はいつ誰の噺を聴いても楽しめるから良い。きっと、この日の為に義理の兄、小朝師匠にみっちりと稽古をつけてもらったんだろう。
参考までに:落語「皿屋敷」の舞台を歩く

またも15分の仲入りがあって、第3部は「林家木久蔵・ケーシー高峰 二人会」で〆だ。
前座の高座にはベテラン林家時蔵が上がった。時蔵師匠は八代目林家正蔵に入門の後、木久蔵師匠の門下になった方だが淡々と語りながら笑いを誘う噺が僕は好きなのだ。

演目は「目薬り」であった。
目が悪くなったと長屋でゴロゴロしている貧乏亭主。米びつもスッカラカンだと、ここ3日ばかりふかし芋しか喰っていない女房。
大工は目を患うと仕事になんねぇやぃ、と女房を呼んで「近所回って、金と米を借りてきておくれ。ついでに目薬も買って来てくれ」って頼むノン気な亭主。
やれやれ仕方ないねぇ、と気の良い女房は云われた通りにお金の都合をつけて目薬も買って戻って来た。
と、そこまでは良いのだが、何ぶん学もなく漢字が読めないこの夫婦。

字を知らねぇ亭主が薬袋に記された使用法が皆目読めず「めじりに耳かき一杯の薬をつける」の「め」の字が解らない。こんな字に似たカタチがあったような、はて。「あぁそういやぁ、こんな字が銭湯の暖簾にあったぞ。たしか「女」と書いてあったから、こりゃオンナって字だろうよ。んーっ、何だ? おんなしりにつける? おぃ、女の尻に付けるんだってよぅ!」って、ああ大いなる勘違い。「女」と云う字と「め」という字、たしかに似てるか。

「あんたが目を患ったのに、何であたしの尻なのよぅっ!!」と嫌がる女房に「なぁに、ちゃんと書いてあるんだから仕方あるめぃっ 後ろ向けッ!」と、女房を後ろに向かせ、尻をまくってケツの穴に匙で救った目薬を付けようとするのだ。亭主がケツを触るのでむずがゆくなり腹に力を入れていると、ここ数日芋しか喰っていない貧乏な女房のこと、グッとこらえた途端に一発かましてしまったのだ。
デっかい屁の勢いで薬が亭主の顔の方に舞い上がり目の中に粉が入ってしまった。
「おいおい、大事な時に屁なんかこくんじゃないよ! 目に入っちまったじゃあないか。んーっ、そうか!この目薬、やっぱりこうやって使うのか。」おあとが宜しいようで。
短い一席ながら、なんとも楽しく笑ってしまい、更にまた時蔵の落語が好きになった。

そして最後は、昔「大正寄席」今は「笑天」のステージでお馴染みの大ベテラン「グラッチェ!」ケーシー高峰の医学漫談と林家木久蔵の創作落語。
時事ネタを織り交ぜながら会場とのキャッチボールで大いに盛り上げたケーシー高峰の後は近々息子とダブル襲名披露を控える木久蔵師匠。
ここん所、少々親バカネタを引っ張り過ぎ気味だが、可愛い息子の為仕方ないのかな。噺のまくら噺で最後まで突っ走るような木久蔵師匠お得意の新生落語。とりとめの無い様で次々と笑わせてくれたトリの一席だった。
b0019140_16114980.jpg
外に出るとまだ雨脚強く降り続いていたが、大いに笑ったお陰で気分は晴れている。時計に目をやると4時少し前。八広の『丸好酒場』に行こうかと思ったが駅から歩くので雨降りじゃない時にしよう、と銀座線で恵比寿に出て、そこから埼京線で十条へ。

『埼玉屋』は三連休だったので、駅の近くの『斎藤酒場』へ。
b0019140_16121896.jpg
雨だからか店内満席とは驚きだ。だって、まだ4時過ぎだぞ。
椅子をつめてくれたので、かろうじて座る事が出来た。「冷やしビール」を一本頼んで「冷や奴」を注文。
b0019140_16125193.jpg
ここの短冊には何故かビールにあえて「冷やし」と記されている。いつでもキンキンに冷えている事の誇りを表しているのだろうか、素晴らしい。ビールの後は酎ハイにした。ここのハイボールは日本堤の『大林」同様に下町ハイボールにみられるエキスは入っていないのだ。その代わり、かなりキツめの炭酸で焼酎を割ってくれる。このスーパードライなハイボールは、じめじめした今の季節にはピッタしの酒だと思うなぁ。
入口の反対側の席に見覚えのある顔を発見。新橋の名ビアホール『ビアライゼ ’98』のオーナー、松尾さんだった。そうか第2土曜日は休みなのか。
では、近々ビアライゼにも行って見ようか、と軽く会釈をひとつ。

もう一軒、駅近くで生ホッピーを呑ませてくれる『かの字屋』で軽くひっかけて、
埼京線で恵比寿まで戻り駅前の『カドヤ』へ。
ボールを呑んでいると、店長のジュンちゃんから試作品のコロッケを味見させてもらう。
b0019140_16131580.jpg
じゃが芋がほどよくゴロっと残っていて、牛スジコンニャクの味も効いて酒のアテに良い一品だった。

さて、次の土曜日は新宿,紀伊国屋サザンホールにて『桂文珍 大東京独演会』を観て来るのだ。『大銀座落語祭』では、関西の噺家を観れなかったので楽しみだ。

そして、来月5日は『圓朝祭』。そう云えば、今年から名称が変わり『落語協会感謝祭 〜圓朝記念〜』になったそうだ。
7月25日の前夜祭『ぼくらの圓朝祭』では、林家正蔵が三遊亭圓朝作の「心眼」をやるらしい。こいつも今から楽しみだな。
by cafegent | 2007-07-19 16:28 | ひとりごと