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by cafegent
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『金刀比羅宮 書院の美』展で「香川のこんぴらさん」の広間空間にワープだ。

今、上野公園の奥、東京芸術大学の大学美術館に於いて、『金刀比羅宮 書院の美 - 応挙・若中・岩岱 -』展が開催されている。
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日頃から「こんぴらさん」として慣れ親しんでいる香川県の金刀比羅宮は、膨大な文化財を保有していて、過去数々の美術芸術品が奉納されてきた。
今回は重要文化財に指定されている表書院と奥書院の障壁画の中から代表的な応挙の鶴の絵、虎の絵や七賢人を描いた作品、伊藤若冲の「花の丸図」、また岩岱や邨田丹陵の襖絵なども展示され、これだけ多数の障壁画を金刀比羅宮以外の所で観られるのは初めてだと伺った。
それにしても、展示の仕方が凄い。まるで同書院にいるかの如くその部屋通りに再現されているのだ。これは、現地を訪れたっていつも見られる訳ではない作品を持って来ているので必見だ。

移動が可能な襖絵などは実物が運ばれ展示され、保存状態が悪い作品や壁に描かれた作品等は現代の技術の力技で再現された画像をインクジェットで出力し精巧なレプリカが展示された。しかしながら、そばに寄って凝視しないと判らないほど見事な再現力なので、只ただ驚いた。

まずは、丸山応挙の『遊鶴図』の広間が再現されていた。
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シンプルに描かれているのに観ているうちに生きているような錯覚に陥ってしまう鶴の襖絵だ。この鶴はどこを向いているのだろうか、と左の襖を挟んで隣角を観ると別の鶴がちょうど陸地に舞い降りてきているのだ。この絵を観ることが出来ただけでも本展覧会に来た甲斐があった。

次も応挙の『遊虎図』。これは圧巻。
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京都絵画界を牽引した応挙が50代になってから取り組んだかなり晩年の作品で、三面を取り囲む襖16枚に様々な姿の虎が8頭描かれている作品。
背景はわざとデフォルメして描かれていたり、平面的なので、虎だけが動きのある描写で観る者に迫る勢いだ。グっと襖の前面にせり出してくるような虎は今にもこの襖から飛び出してきそうな気配なのだ。こちら側をじっと見つめる虎は「八方睨みの虎」と呼ばれているが、応挙は本物の虎を見ることが無かったので、猫の描写を参考にしたとも云われているそうだ。どうりで、どの虎もどっか愛くるしい感じがする。

その次も応挙の『竹林七賢図』、岩岱の『水辺花鳥図』、『群蝶図』等々と見事な空間が続いていく。
数々の間を過ぎると、今度はこれまた必見の伊藤若中の「小宇宙」の部屋が登場する。
そこには若冲がこんぴらさんの奥書院「上段の間」に描いた『花の丸図』の間が再現されていた。六畳間程の小さな空間に博物画とも云うべき見事な細密画で描かれた花の数々はまるで「小宇宙」だ。
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これはもう圧巻と云うべき世界であり、「百花繚乱」とは正にこの作品をさすのだろうか。襖、壁と四方すべてに等間隔で様々な花が描かれていて、若中の絵に対する執着と動植物、昆虫、野菜等々の日々の観察力が脳裏に浮かび、観ていて身震いする程の緊張感さえ覚える展示であった。
応挙の『遊虎図』の広間もそうだが、実際にこの部屋に通された人は、どんな思いで待っていたのだろうか、そっちの方が興味深かったのだ。
ただ、絵を鑑賞するのではなく、自分がこんぴらさんの広間にワープしてしまった感覚になれる再現の展示手法は、「展覧会」の新しいカタチを見い出してくれた。
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9月9日まで開催されてるので、この機会に是非日本が誇る作品に触れて見て欲しい。
「金刀比羅宮 書院の美展公式サイト」

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どっぷりと絵を堪能した帰りは、『聚楽』の座敷席でキッチュな酒盛りをするも良し。
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さもなくば、アメ横ガード下『モツ焼き 大統領』で馬モツ煮込みに酎ハイも更に良し。
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上野を大いに楽しもう。
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by cafegent | 2007-07-24 16:38 | ひとりごと