東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31

新橋「以志井」の鯛めしはご主人と女将さんの温かさを味わえる名店だ。

梅雨明け間近の木曜の夕暮れ時、新橋では年に一度の「新橋こいち祭」が開催されていた。
b0019140_16461962.jpg
今年は12回目との事で、桜田公園では盆踊りの準備がなされ、夜店も多く出店し、浴衣姿の新橋商店会の女将さんたちで賑わっている。
そう云えば、昨年はブタドクロと一緒に冷えたキュウリをかじりながら、全国の焼酎利き酒で酔いしれていたっけ。一昨年はK君と一緒にニュー新橋ビルの4階テラスの星空ビアガーデンでジョッキ片手に「サロンド夜子オアシス」の夜子ママ&オアシスガールズの不気味なオンステージを観ていたなぁ。
b0019140_16463855.jpg
今年は26日、27日の2日間なのだが、交通規制もして歩行者天国になる。「浴衣美人コンテスト」や「打ち水」など趣向を凝らしたイベントも盛り沢山で、仕事帰りのサラリーマン達にもってこいのお祭りだ。

祭の雰囲気に後ろ髪を引かれながら、待ち合わせ場所の露地を入る。
この通りは、あの予約の取れない京料理で有名な『京味』があったり、デッカいメンチカツで有名な洋食屋『スイス』、安くて美味い鰻で気に入っている『うなぎのお宿』なども在って、僕の利用頻度が高い通りだ。
そして、この日訪れたのは冬はふぐ、夏は鯛めしでお馴染みの『季節料理 以志井』だ。
b0019140_1647747.jpg
先週予約の電話をした時に、広い座敷に先約があり部屋が取れないと云われ、では別の機会にしようかと諦めていたら、夕方ご主人からお電話を頂いて、「広い座敷を空けることが出来ましたので、どうぞ」との嬉しい連絡を受けたので予定通り六名で「鯛めし」を戴きに上がることにしたのだ。

ここは以前、「美味い魚が食べたけりゃ新橋の以志井だね。」と知人に連れて行ってもらいカウンターで刺身を食べたのがきっかけだが、どの魚も天然物しか扱わず旬の美味いものばかりをつまみながら酒を楽しめる名店だ。ただ、「鯛めし」が食べたくなると六本木『与太呂』ばかりに行ってしまっていたので、久しぶりに思い出して『以志井』を訪れることにした。

つまみを二、三品、アテに最初はビールで乾杯をし汗を拭う。
汗が引いた所で,見事な刺身盛りが登場。でっかい氷の塊を削って作った大きな台座にその日一番の美味しい刺身が盛られている。鯛、あいなめ、いさき、蛸等々旬の魚が氷の上に載り、見ているだけで涼しくなる夏らしい刺しみ盛りだ。

『以志井』では焼酎の水割が良い。芋焼酎「佐藤」の黒を5対5の割合で水で割った状態でカメに入れてあり、実にバランス良くスーっと喉を通るのだなぁ、これが。その後は「富の宝山」をロックでヤる事にした。

次に歯ごたえのしっかりした「湯葉」を山葵醤油で戴く。これも実に酒に合うのだ。

時折、女将さんが襖をちらりと開けて、お酒が空いていないか気を付けてみてくれるのだが、あのさりげない心配りがこの店の味と共に良い処だと感じる。
また、料理を運ぶ娘さんの素朴な雰囲気も心和むのである。

そして運ばれて来たのは、これまた見事な「天然かますの塩焼き」だ。
b0019140_16474448.jpg
身がしまり、ふっくらした焼加減も絶妙で、皆黙って真剣に食べていた。結構な大きさだったので、かなりお腹が膨れた気になった。

次に夏の味わいである「加茂茄子の煮物」が出された。
b0019140_1648976.jpg
ダシがたっぷりしみ込んだ加茂茄子はひんやりと冷たくて「夏は暑いから、良いのだ」と改めて感じてしまう一品であった。

冷たい一品の後は「鱧の揚げ浸し」。旬のハモを湯引きではなく、揚げ浸しにしたのも嬉しい。暑さでバテ気味には適度な油分が必要なのだ。

「毛ガニ」が運ばれて来た。
b0019140_16483368.jpg
そのままでも美味いのだが、さっぱりとした酢につけて戴けば、さらに酒が後を引く。

そして、本日の真打ち「鯛めし」の登場だ。
b0019140_16501940.jpg
ご主人の石井さんがデッカい土鍋を抱えて現れた。ここの鯛めしは他の所と違い大きな鯛の頭部分を使う。ご主人曰く「兜のゼラチン質がしっかりと溶け込んでいるので味もしっとりしているし、女性にも嬉しい。」との事だ。コラーゲンたっぷりだもんなぁ。
b0019140_16485885.jpg
たっぷり5合ぐらい炊き上げているんじゃないだろうか、骨を取って身をほぐしてくれているので、僕らはもうひたすら喰うだけなのだ。美味い、美味すぎる。あれだけ食べて満腹なのに、あと引く美味さなのだ。しっかりとお代わりをして、一同大満足だ。残りはおにぎりにしてお土産にしてもらった。
デザートは口直しにスイカを戴いた。今年初ものだったので、味わって食べる事にした。
最後にまたご主人が現れて、縁起物の「鯛のタイ」をひとつづつお土産にくれたのだ。
b0019140_17173077.jpg
鯛のエラの下部分についている骨なのだが、昔から持っているとお金が貯まるとも云われている。ひとつひとつ、色んな色に塗られていて、好きな色を選んだ。

この日は、「鯛めし」をメインにしてご主人にお任せにしたのだが、どれも全てが美味しく戴けた。そして、料理の美味さだけじゃなく、ご主人、女将さんたちの人柄のお陰で、皆また来たくなる店だと意見が一致。美味しい宴に満足し、玄関を出ると石井さんが優しい笑顔で僕らを見送ってくれた。
b0019140_16493659.jpg

外はまだまだ蒸し暑いのだが、幸せなひと時のおかげで実に爽快な足取りになった。並木通りを抜けて銀座のクラブに着くと、まだ8時を回ったばかり。
案の定、僕らが口開けの客となった訳だ。さて、また飲むとするか。
by cafegent | 2007-07-27 17:23 | 食べる