東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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「鈴本夏まつり」、笑いの扇風機で涼をとる。そして、権太楼師匠に感無量。

19日の日曜日、前日の涼しさから一転し、また残暑厳しい夏に戻ってしまった。

この日は、楽しみにしていた上野・鈴本演芸場での納涼名選会「第18回 鈴本夏まつり」を観に行くのである。夜の部は『さん喬・権太楼特選集」と銘打った大好評の特別興行である。

少し早めに出掛けることにして御徒町で電車を降り、アメ横界隈を覗いて歩く。「中田商店」は今も健在だ。30年程前はあの店で軍パンを手に入れるのが憧れだったっけ。スニーカーや和ロハシャツなんかを見て廻ったが、とにかく暑い。西陽がこれでも喰らえってくらいにキビしいのだ。

あぁ、こりゃもう駄目だ、と十何年ぶりかで『みはし』のかき氷を戴くことにした。
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考える事は皆同じ、店は大変な混み様だったが外に居るよりここが良い。
迷わず「氷宇治金時」を注文した。10数分で席が空き、憩いのひとときを迎えられた。
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かき氷自体が久しく食べていなかったのにこのお盆は2度も食べることになった。それ程に猛暑ってことか。
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汗がスーっと引いて、喉も潤ったところで鈴本演芸場へ向うことに。
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うわっ、入口前では長蛇の列が出来ているではないか。こんなに大人気大混雑なのに今回は無理云って権太楼師匠のお嬢さんのウメカナちゃんに席を予約して頂いたのだ。暑い中、早くから並んでいる方々に悪いなぁと思いつつも、感謝、感謝、機関車トーマス!って何だそりゃ。
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そして会場に入ると、とっても良い席を用意してくれていた。あぁ、もうほんとに嬉しい限りです。

9日目にあたる日曜は権太楼師匠がトリを務めるのだが、僕の大好きな方々が次々と登場したのでもう最初から最後まで釘付け状態であった。
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最初の我太郎師匠の「偽ライオンの動物園」はテンポ良く、僕らを落語の世界に引き入れてくれた。
10時-4時勤務でグータラで給料100万なら俺だってやりてーや、てか!

先日、圓朝祭の時に丁寧に筆でサインをしてくれた菊之丞師匠の噺は「紙入れ」。
あの美顔といい、細いシナといい、菊之丞師匠が演じるおかみさんとかは何とも云えず色艶があってスバラしい。新吉じゃぁないが、うーん、惚れてしまいそう。

漫才の昭和のいる・こいる師匠も相変わらず笑わせてくれた。ちょうど、先日食事をしたばかりの今井みはるさんがプロデュースした映画「トーリ」にも出演していると聞いていたので、実にタイミングが良かった。「へーへーホーホーで40年」って凄いね。

次の柳亭左龍師匠はたしか昨年真打ち昇進だったかな。
「真田小僧」を演じたがコンパクトに話をまとめ上手く仕上げていた。

柳家喬太郎師匠は今回楽しみの一人であった。何故ならここ最近兎に角面白いのだ。あの一見品のある顔立ちとべらんめぃな語り口の開き具合がいい。高座の上では、決まって腰を上げて演じて、自身のスタイルを作り上げている。人気なのが判るなぁ。

前半最後は正蔵師匠の登場。夏らしく「お菊の皿」。お馴染みの番町皿屋敷の一席である。今年は結構やったのだろう、すっかり馴染んでいる。しかし、個人的には先日の「大銀座落語祭」の時に演じた方が良かったかなぁ。

仲入りでビールをやり、一息つける。って僕が高座に上がっているわけでは無いのだが、観ている方もこっちはこっちで真剣なんである。
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立ち見まで出て、結構席に着くまでの時間がかかり全体に押している。後半は江戸家子猫師匠の動物ものまねから始まった。立秋を迎えたばかりだが、十八番(おはこ)の鈴虫の鳴き声に秋を感じ、さぁ大ベテランの登場だ。

柳家さん喬師匠は「抜け雀」。
一文無しなのに旅籠に泊まり大酒を喰らう男が宿代の代わりに屏風に雀の絵を描く。ある日、部屋の窓を開けると雀が外に飛び出していく。
はて、部屋に雀など居ただろうか、と屏風に目をやると絵に描いた筈の雀が居ない。と思ったら餌をつまんだ雀たちが次々と屏風の中に収まっていく。これが街中の評判になり、うんぬんかんぬん、と云う一席だ。

いやぁ、これまた落語好きなら知らない人など居ないくらいの噺だが、さん喬師匠のはもう芸術の粋に達していた。言う事なしである。 

続いて夏恒例の住吉踊りをさん喬師匠、権太楼師匠が踊り、アサダ二世師匠のマジックがテンポよく続き、いよいよトリを飾るのがこの日一番のお楽しみ、柳家権太郎師匠の登場である。

完全に押していたからだろうか、マクラも無くいきなり「居残り佐平次」に入っていった。いやはや師匠の気合いの入れように、こっちも心して聞かなくては。

品川遊郭を舞台に、何とも憎めないろくでなしの開き直りが佐平次だ。
口八丁手八丁、あの手この手で花魁あげては呑みまくる。とにかく痛快なんである。
まさか、こんな奴ほんとには居ないだろうなぁと思いつつも、権太楼師匠のあの語り口にグイグイと引き込まれてしまう。

馴染みの旦那が座敷で芸者を待っている。刺身が在るが醤油が無い。店も繁盛しているから呼べども呼べども誰も来ない。旦那がイラつき出した頃、ここへヒョイと醤油を持ってやって来る佐平次。ここからが師匠の噺の醍醐味だ。やっぱり落語は生で観るに限るねぇ。権太楼師匠の廻りには、遊郭で好き勝手に遊びまくる佐平次の姿が見えてくるのだ。
もう頭の中では自分もお座敷に上がって「おーぃ、幇間(たいこ)、居残り呼べ〜っ!!」って云いたくなってしまうのだ。

この「居残り佐平次」は数ある古典落語の中でもとっても有名な噺なので、いろんな方が演じている。僕のi-Podの中にも三遊亭圓生師匠、柳家小三治師匠、古今亭志ん朝師匠の「居残り佐平次」が入っている。
落ちの処で遊郭の楼主が「あの野郎、人をおこわにかけ(騙し)やがって」と来るのが定石だが、権太楼師匠の落ちはこれまた最高に良かった。ブラボー!!参りました、降参です、ハイ。
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これは、昨年の「圓朝まつり」の時の権太楼師匠の写真だ。

それにしても両師匠は流石に素晴らしかった。今の落語界の牽引力だなぁ、としっかり感じた高座であった。
今回、聞けなかったが権太楼師匠の「らくだ」と「茶の湯」を是非とも聞いてみたい。
あぁ、とても素晴らしい夏の思い出になった。改めてウメカナちゃん、ありがとう。

「鈴本夏まつり」毎年の恒例にしようかな。
by cafegent | 2007-08-21 20:19 | ひとりごと