東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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銀座路地裏の名店『栄庵』。こんな店を贔屓に出来るよう頑張りたいものだ。

九月某日 
この日は、余りの湿気の多さでシャツがべっとりと肌にくっ付いてとても具合の悪い一日で在ったが、夕暮れからの素晴らしい宴での酒と料理ですっかり爽快感を取り戻すことが出来た。

銀座マロニエ通りを松屋の裏手方面に入り、3本目あたりの露地に佇むのが『銀座 栄庵』だ。玄関には「お酒を飲まない方、お断り」と書いてある。もちろん下戸でも入れてくれる訳だがワイン大好きのご主人の事、洒落っ気たっぷりのご愛嬌である。

この日は2度目の訪問であったが、オーナーの長谷川シェフもマダムも変わらずお元気で、この日の宴も期待に胸躍る気持ちであった。

まずはビールで汗を拭い、一品目の「キャビアとコンソメのジュレ」を戴く。
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9月に入ってもまだまだ続く残暑厳しい中、ヒンヤリとしたジュレに濃厚なキャビアの舌触りはまるで天国への誘いの様であった。
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ルロアのシャブリ2001年を戴き、「天然鯛とサザエ、10種の野菜サラダ」、「煮アワビと蟹のサラダ」と続く。
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どちらの料理も辛口のシャブリにとても良くマッチしていた。サザエは久しぶりに食べたけれど、野菜と合わせてもこんなに旨いのかと驚かされた。

続いてご主人が仕込んでいたのは「帆立と生ウニのバター焼き」だ。
下ごしらえをした素材にたっぷりバターを乗せ再びオーブンに入れる。ジュワーっと溶けたバターの香りが食欲をそそり、口の中がヨダレでいっぱいになった。
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多めのバターに濃厚なウニ、中年オヤジ達には危険な香り漂う一品だが、もうたまらなくウマかった。

一緒に行ったA氏は鎌倉材木座に住むオヤジサーファーなのだが、流石に海の幸にはかなりウルサい方で、ご主人の用意する魚介にイチイチ反応していた。見事な伊勢エビが登場すると、「鎌倉エビ」のウンチクを傾けていたなぁ。

そして、「牛フィレのハンバーグ」が運ばれてきた。
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かなりレアに仕上げてあり、肉の味を堪能することが出来た。一口サイズと云うのも実に良い。
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今度はワインを赤にすることにした。
ご主人オススメはルロア「Volney」2001年、余り重たくなくて魚介にも合うワインにして頂いた。『栄庵』のご主人は元大手代理店に務めていたが、趣味のワイン好きが高じてワイナリーを歩き、ついにはご自身で料理し、それに合うワインを出す店をご夫婦で始めた才人である。
であるから、ワインも正直な価格設定で提供してくれる。奥のワインセラーに入って好きなワインを持って来ることも出来るのである。一本一本、ちゃんと価格を明記してあるのも嬉しい限りである。

この日チョイスの「Volney」は前回お邪魔した時も頂いた赤で、とても飲み易いワインだった。
ボラないワインなのにボルネイとは、これ如何に。なんちて。

そんなこんなで、先程から目の前で調理されていた「伊勢エビと貝のブイヤベース」が完成したご様子。見た目にも迫力があり、「いざ、勝負!」と云った趣きの一品であった。
以前はスズキとか他の魚介を沢山入れていたそうだが、具材が多すぎるとこの一皿でお腹一杯になってしまう、という訳でエビ、蛤、あさりとシンプルになったそうだ。
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粗く削ったパルミジャーノ・レッジャーノが溶け出した伊勢エビの出汁が濃厚で、パンを浸して食べればワインとの相性もバツグンなり。

この日もK君はビールの後、いきなりシングルモルトのウィスキーを酌っている。ホントお酒好きだよね、お互い。
ところが顔がかなりコワモテのA氏、顔に似合わず余り酒が強くないらしい。ワイン1本飲みきれないと云うので、カウンターで同席になったお二人にお裾分けする事にした。
そう、カウンター席と云うのは自然に皆が打ち解けて仲良くなれるのが楽しいね。

宴の後半仲良く一緒にワインを楽しんだのは、雑誌「クロワッサン」の編集を手掛けている鉅鹿(おおが)くみ子さんと云う方だった。非常に珍しい名字なので印象深く残ったのであった。確か中国の古都に鉅鹿と云う地が在り、そこは「きょろく」と呼んでいたが同じ字である。
以前「三国志」か何かで読んだ事があるが、鉅鹿に住む秀才、張角の話だね。

まぁ、そんな事はどーでも良いが、鉅鹿さんせっかくマガジンハウスで仕事されているのに目と鼻の先の『ビザール』を知らないと云う。これまた「灯台もと暗し」、是非近々お連れしたいものだ。

「さぁ、これでもか」と云わんばかりの最後のダメ押し。とびきり極上の牛肉ステーキを焼いてくれた。皆もう満腹だと云うのにこれを喰わずには死ねない。いや、本当に旨い肉である。いつもならば「ご飯ちょうだい!」と云いたい所だがさすがに肉だけで充分だった。

外はいつの間にか雨が降り出していたが、気温が下がった分過ごし易くなっていた。ワイン良し、料理良し、佇まい良し、そして何よりご夫妻の笑顔が良し。『銀座 栄庵』は、間違いなく僕の銀座の愉しみのひとつになっていた。
by cafegent | 2007-09-10 14:47 | 食べる