東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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中山うりちゃんのライブのあと、パリの酒場が恋しくなる。

かつて、作家の柴田錬三郎の酒にまつわるエッセイの中にこんな事が書いてあった。
「礼節の酒がサロンを生み、サロンが芸術を生んだ。
ヨーロッパでサロンが発展し、そこから文化芸術が広がって行ったのは酒場で酒を飲んで音楽や詩を聴き、アートを論じたからだ。

音楽を聴く側だって素面(しらふ)じゃ駄目だ。少々のアルコールが入って、ほろ酔いになったそのあたりを、くすぐるのが、実に芸術なんである」と。

昨晩は豪雨が明けた渋谷にて、中山うりのワンマン・ライブを観た。
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会場入口にドアマンが立ち、木のドアを開いて中へ招いていたが、酒場の「サロンへの誘い」と云うことであろうか。

ライブが開催される『DUO』ではアルコールを嗜む事が出来たので、ライブ前のお馴染みDJ、ハスキー中川氏の選曲に耳を傾けながらビールで一息つくことに。
外は湿度が異常な程高かったので、冷たいビールが「オー・ド・ヴィ」のように滲みた。

ジプシージャズ、スィング、ミュゼット、ルンバ、タンゴ等々、いろんなジャンルの音楽のエッセンスをアコーディオンという楽器により調和させて、そこにあの独特のヴォーカルが絡み、「中山うりの世界」を創り上げている。もう、ロック、ジャズ、そんなジャンルの垣根を越えているのだ。

前回は確かアースデイ・イベント時の代々木公園野外ステージでのライブだったが、観る度にどんどんと彼女の唄の魅力にハマッてしまうのだ。あの時もビール片手にゴキゲンなライブを楽しんだ。

心地良く酒に馴染んで来たところで、冷めたトランペットの音色がヌーヴェルバーグの映画よろしく鳴り響き、「中山うりミラクルワンマン 秋・冬2007」のステージが始まった。

彼女のステージ・パフォーマンスでの凄い処は、アコーディオンを抱えたままでトランペットまで演奏する姿である。あれを一度観てしまうと、あぁ、この人はライブも欠かさず観なくっちゃと思うのである。

この日のステージは3人のホーンセクションを迎え、まるでパリ辺りの場末の酒場でのご機嫌なスィング・ライブと云う雰囲気だった。うん、酒が入っていて丁度良いのだ。

「ノスタルジア」、「月とラクダの夢を見た」を歌うと会場も一気に盛り上がっていた。
途中、高田渡の名曲「生活の柄」を歌ったが、ニューオーリンズジャズ風のアレンジに仕立て、会場を大いに湧かせていた。この冬にリリースされると云う新しいアルバムの中からの新曲も幾つか披露してくれたが、いずれも「中山うり」サウンドであり、彼女ならではの詩・曲であった。ニューアルバムの完成が待ち遠しい限りだ。

3曲のアンコールを終えて、ライブは幕を閉じた。ライブの回数が増す毎に彼女たちの唄と演奏は磨きがかかっていたが、たどたどしい語りの何とも普通の人っぽい処も彼女の魅力だろうか。やっぱり、また観たくなってしまうのだった。

さて、晴れたと思っていたら外はまた土砂降りの雨。渋谷は坂道が多いのだが、雨量の多さに路面が川の様になっているではないか。こりゃ、たまらんと一番近くの酒場『グラニテ』に駆け込むことに。ズブ濡れになりながら、階段を上がり、扉を開くと先程のライブ会場でお会いした人たちが何人か来ていた。
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サンジェルマンかモンマルトルの酒場で聴いたような中山うりのライブ直後だったので、カスレやクスクスの味がライブの余韻を引き立たせてくれた。
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頭の中ではまだ「マドロス横丁」が流れている。『青い部屋』でのライブも評判だったが、メジャーになった後もこんな『グラニテ』のような小ちゃな酒場で演奏してもらいたいものだ。
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中山うりの音楽は、s-kenさんのプロデュースワークが素晴らしいのだろうか。ホットボンボンズ時代からキューバ、ファンク、南部ファンクとゴッタ煮サウンドで独自の世界を展開していただけあって、プロデューサーに廻ってからもイカシた音を創ってくれている。

80年代から東京のロックシーンを牽引してきた一人だが、僕なんかは酒場で見かけるほうが多かったかなぁ。恵比寿の『次郎長バー』や外苑前に在った頃の『VIVE LA VIE』辺りで飲んでいた姿が印象的だった。

そんなs-kenさん、ほぼ毎朝僕が事務所まで歩いていると反対方向から自転車に乗って颯爽とすれ違うのだ。酒場で見かけていた時とは真逆でとっても健康的な印象である。
僕の酒場の友であるソニーミュージックのモリケンさんとエスケンさんがタッグを組んでメジャーデビューを果たした中山うりちゃんなのだから、皆もっと応援しなくては!!

次回のライブは10月28日(日)恵比寿『リキッドルーム』にて開催。
なんと、「勝手にしやがれ」との対バンだそうだ。「勝手にしやがれ」はイカつい面構えの野郎ばかりのバンドである。パーティなんかで架けると皆踊り出してしまうゴキゲンなジャズサウンドだ。
ビバップ、ジャイヴ、スウィングジャズにパンクやラテンのエッセンスをシェーカーに入れて一気にシェイク、ホットなダンスミュージックなのにキンキンに冷えてクールなのである。

「中山うりVS勝手にしやがれライブ」、ジプシースィングとヌーヴェルバーグな雰囲気が彼らの共通項なのであろうか?
さて、そんな彼らとどんな勝負に出るのか、うりちゃんのライブ今から愉しみである。
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DoReMiFa
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by cafegent | 2007-09-12 17:21 | ひとりごと