東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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『パンズ・ラビリンス』は、ガールフレンドとルンルン気分で観る映画じゃない。

週末の朝、京成線に乗って立石の『宇ち多”』まで出掛けた。世間は三連休の初日だが、宇ち多”も日月火と三連休と云うこともあり、いつも以上に両入口側とも人で溢れていた。11時ちょうどに着いたのだが、もう少し遅ければ最初のテーブルには着けなかっただろう。僕より後の連中は店のソウさんから「もう無理だよ。暫く待ってね。」と云われていた。
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外の人が多過ぎて道行く人の邪魔になるからだろうか、普段よりも10分程早く開店した。運良く初回の席には着けたものの、ホネは既に終わっていた。がっかり。焼酎の梅割4杯にもつ焼き5皿で、この日は1,530円也。相変わらず「レバ素焼き若焼きお酢掛け」と「ガツ生ハツ生」は絶品だった。調子に乗って梅割4杯も飲んでしまったが、躯の事考えるとチト反省だな。

午後は、有楽町ビックカメラ上の「シネカノン有楽町」にて映画「パンズ・ラビリンス」を観た。
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僕が好きな近年のアメコミにマイク・ミニョーラの「ヘルボーイ」なる作品がある。第二次大戦時のナチスの黒魔術的実験の末にこの世に生まれてきた赤鬼のような子供がアメリカ軍の特殊部隊により米国に渡り、普通の家族の一員としてスクスクと育てられ「ヘルボーイ」として世界の超常現象に立ち向かう、と云うダークヒーローモノの漫画だ。
このアメコミの描くタッチそのままに見事な映像作品に仕立てた映画がメキシコ出身の映画監督ギレルモ・デル・トロだ。

「ヘルボーイ」の前に撮った「ミミック」が大ヒットを飛ばし一躍メジャー監督となったのだが、SFホラー映画の鬼才と云うべきだろうか。
そのデル・トロ監督の最新作が今話題の「パンズ・ラビリンス」だ。
予告編だけは観ていたのだが、深くその内容までは知らずに観たので非常に重い後味を残した映画であった。

舞台は1944年のスペイン。内戦が続く中、独裁者フランコの恐怖政権時代が舞台だ。内戦で父親を亡くした少女オフェリアは、子を宿した身重の母とその父となる渦中の独裁者フランコのもとへと連れて行かれる。独裁者フランコは己の血を受け継ぐ息子の誕生だけを喜び、母の命や連れ子のオフェリアの事など尊い家族として扱う気など毛頭ないのだ。平気で人を撃ち殺す残忍な男の元でなど心を開けないオフェリアは父が居るかもしれない「迷宮」と云う世界への願望から近くの森の中を彷徨う。そこで、半獣半人の牧神パンに出会う。
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パンは、貴方こそ、我が魔法の迷宮の王女モアナの生まれ変わりである。そして、両親の待つ魔法の国へ戻るには満月の夜までに3つの試練に耐えなくてなならないと云う。
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この残酷な現実から逃避したい幼いオフェリアは、どんどんと幻想の世界に入り込んで行くのだった。
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現実の世界が余りにも残忍、残酷ゆえに摩訶不思議な幻想世界に足を踏み入れたくなる、これこそが映画を観ている我々のリアル社会なのではないだろうか。しかし、それに気付く頃には「時すでに遅し」と云う事なのだろう。尊い命を自ら閉じることは避けるべきだが、不本意な悪者に命を奪われるのであれば、パンの誘(いざな)う幻の世界へ踏み込んでいくオフェリアの真理は受け入れられるだろう。デル・トロ監督は、リアルな世界をこれでもかと謂うくらい残忍な描写で捉えており、迷宮への使者パンの容姿や3つの試練に現れる世界もかなりダークな造形美と映像美に仕上げている。今まで撮り続けていたホラー映画の技とセンスが巧みに生きており、最後まで強く重く観客を釘付けにするだろう。
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新たな希望が待つ迷宮の世界に降り立ったオフェリアが全身ゴールドの姿になって現れる黄金色世界は、余りに美し過ぎるファンタジアだ。

今年観た中でも出色の出来栄えの映画である。デル・トロ監督の最高傑作だろう。観終わって「幸福とは誰にとってか、でこうも違うのか。」と考えさせられた。オフェリアにとっては、きっとこの結末こそが幸福なのだろうか。
但し、間違っても「ハリー・ポッター」や「ナルニア国物語」などの様に小さな子と観てはイケナイ映画だ。これはファンタジーと云うよりは、ホラー映画だからね。

あぁ、すっかり『宇ち多”』の迷宮から醒めてしまった。
「パンズ・ラビリンス公式サイト」
(c)2006ESTUDIOS PICASSO,TEQUILA GANG Y ESPERANTO FILMOJ
※スチール提供:CKエンタテインメント
   塚田さん、ありがとうございます。
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by cafegent | 2007-10-09 20:11 | ひとりごと