渋谷・百軒店のロック喫茶「ブラックホーク」の軌跡が本になった。
2007年 10月 22日
「ブラックホーク」は、しゃべるとすぐ怒られる厳しい音楽喫茶だったが選曲するロックは今でも色褪せていない名盤ばかり。喜楽の炒飯や金龍菜館のにらそば、ムルギーのカレーなどと一緒にZOOやブラックホークと云う喫茶店は、渋谷で過ごした僕の毎日に欠かせない場所だった。
僕の身近なJ.J伯父さん的存在だった故・若林純夫さんもこの店で働いていた敏子さんと出会い結婚したんだったっけなぁ。山本コータローさんたちと武蔵野たんぽぽ団を結成し、唄仲間の故・高田渡氏を京都から東京に呼んでしまったのも若林さんだと聞いた事が有った。僕は若林さんからロックやフォーク、時計、洋服、雑学等々を学び、渋谷道玄坂界隈の楽しさも沢山知る事が出来た。
ブラックホークのマッチに書かれていた『HUMAN SONGS』は70年代後半の渋谷の街にしっくりと馴染んだ。この店やZOOで回転していたザ・バンドやニール・ヤングがとってもこの街の匂いにハマっていた気がしたのだった。
大好きだった餃子の大芽園は10年近く前にご主人が亡くなり閉めてしまったし、カスミコーヒーやフレッシュマン・ベーカリーの跡には近くヤマダ電気が出店すると聞く。渋谷百軒店界隈も随分と様変わりしたが、まだまだ当時と変わらぬ店も在る。喜楽もムルギーもBYGも変わっていない。時代は変わり、百軒店では僕より一回り以上も若い連中があの頃の音楽を架けている。今でも僕はこの辺りで酒を呑むのが楽しく大好きだ。松平さんや若林さんが教えてくれたロックはしっかりと渋谷の街に根付いているのだ。
あの頃のロックミュージックは今知っても素晴らしい音ばかりだ。そして今回発売される『渋谷百軒店 ブラックホーク伝説』は、当時の渋谷の街の様子をうかがえる貴重な一冊になるであろう。
渋谷百軒店ブラックホーク伝説