東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent

篠崎の「焼肉ジャンボ」で僕の焼肉感が変わってしまっった。

先日、「立ち飲み なるきよ」の取材をさせてもらったので、そのお礼もあって店に行ったのだが、相変わらず大繁盛で一人入るのもやっとと云う具合だった。
それでも続々といつもの顔が集まり、狭いカウンターを前後に使い呑むことにした。ここは多くのファッション関係者が贔屓にしている店だが、なるきよもまた今回面白い事をやってくれた。
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なんと「DRESS CAMP」で制作したスワロフスキー製「なるきよTシャツ」である。余りにも可笑しく洒落ていたので、早速「インソムニア バー&グリル」のオープンに着て出掛けてみた。
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それにしても、こんな遊び心が吉田成清の茶目っ気であり、皆から好かれる所以だろうなぁ。

さて、先日都営新宿線瑞江駅よりタクシーで1メーターの処にある焼肉屋に行って来た。

目指す『焼肉ジャンボ』は篠崎の新町商店街入口に位置するのだが、どの駅からも遠い。歩くと20分以上かかる。ここ江戸川区篠崎は、もう東京の端っこである。すぐ近くの今井橋を渡れば、千葉、行徳だ。
この辺りは、夏の風物詩「江戸川区花火大会」で訪れる篠崎緑地くらいしか知らなかったのだが、先日途或る酒場で「篠崎にべらぼうに旨い焼肉屋が在る」と云うのを聞いたのである。そして、もう居ても立ってもいられなくなり、早々に食べて来たのだ。
予約する時に瑞江の駅からタクシーで「ジャンボまで、と云って貰えれば大丈夫です。」との事だったが、まったくその通りだった。運転手も羨ましそうな笑顔だったので、期待に胸躍らせて乗り込んだ。

商店街の外灯が消えると、途端に真っ暗になる通りにその店はポツンと佇んでいた。細い階段を登ると店内は家族連れや競輪選手等々、実にいろんなお客さんで賑わっている。いたって普通の内装で、各テーブルにそれぞれガスコンロが埋まっている。なんだか、鶴橋の焼肉屋さんを彷彿させて、僕には非常に居心地の良さを与えてくれた。青山墓地近くのゴージャスな重厚インテリアの某焼肉店なんかとは大違いだ。

席に着く早々にビールを頂き、ナムルをつまみにメニューを眺める。まずは、並ロースとタン塩を頼んでみた。感じの良い兄さんが美味く味わえる「3秒焼き」を教えてくれた。
「生でも十分美味しく戴けますが、片面3秒づつ焼いてみてください。」と謂うじゃないか。そして、目の前でサッと焼いてみてくれた。ぐふふ、これが実に美味いのだ。口に入れた途端にトロけてしまった。こんな美味いロース肉は『焼肉京城』の「上巻きロース」以来だなぁ。

東京には焼肉の名店が沢山在る。どの店もそれぞれに上質の旨い肉を提供してくれるのだが、それ相応の値段である。殊に北千住の京城でもしかりだし、鹿浜の『スタミナ苑』でさえ2,200円の根付けだ。でも、ここはこんなにも旨い和牛ロース肉が一皿1,000円なのだ。しかも1200円の和牛並タンだって肉厚でプリプリ。
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他店で喰えば当然ながら倍以上取られるだろう。上ミノを頼み、一息ついた所でご主人にオススメの裏メニューをお願いすることにした。
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まずは、「上(うわ)ミスジ」、「イチボ」、「しんロース」なる三種の肉が登場。牛前足の肩甲骨の下あたりの部位ミスジは見事な霜降り肉で、薄くスライスされていた。これは片面6秒程焼くと良いと教えられた。さっと網の上に置き、焼き過ぎない程度で返す。ご主人曰く、「旨い肉は焼き過ぎよりも多少赤く残っていた方が美味いんだ。」そうだ。

イチボは、牛の尻の先の赤身だそうだ。もう言葉が出ない程旨い。ちなみに、牛の臀部の骨がHのカタチをしている所から「H骨」(エイチボーン)と呼び、それが訛って「イチボ」になったそうだ。
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ドーンと登場した「肩しんロース」とは、まさに和牛ステーキである。四角くカットされた肉厚な塊を網に乗せ4面を程よく焼き上げる。
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ここでまた大将が登場し、見事な焼具合を披露してくれる。同席の連中が「これ喰っちゃったらもう『あら皮』で無駄な金使ってる場合じゃない!」と唸っていた。いや、それは本当である。サワーで口の中をリフレッシュさせ、さらにご主人オススメの裏メニューをお願いする。
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今度は、「ザブトン」だ。大阪ではクラシタと呼ぶ部位だが、これはもう特上希少価値の肩ロース肉である。四角く取れる部位なので座布団と呼ばれるそうだ。
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所謂有名焼肉店などだと「特上ロース」5,000円とかで出ている肉がこれだね。さっきからつい値段の比較をしてしまうが、それ程ここが良心的な値段設定と云う事を伝えたいのだ。

最後にご飯が欲しいところだが、最高に美味いと云う肉をお願いした。それは、「トモ三角」なる肉である。マルと呼ばれる和牛もも肉の中でサシが多く入っており、マグロで謂う所の「大トロ」である。もも肉の味を一番堪能できる所なのだが、ご主人からまたも美味しいアドバイス。「まずは一度、この肉をタレに浸けたらそのままご飯の上に乗せて巻いて食べてみて。ご飯の余熱だけで肉の表面が加熱されいい具合にご飯に脂が落ちてくる。そりゃもうトモ三角の握りだね。」だと。いゃあ大トロ真っ青だ。こんなウメェ肉、初めてだ。続いて今度は表面をサッと炙ってご飯に乗せる。
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これまた関サバの炙り寿司を越える美味さだった。焼き過ぎないことで肉本来の味を楽しめた。
それにしても、ご主人南原竜男さんの肉に対する思い入れと意気込みは素晴らしいに尽きる。本当に美味しい肉を一番旨く食べさせてあげようと云う思いが僕らにドスンと刺さるのだった。

最近は恵比寿の『焼肉チャンピオン』の様に「牛一頭買い」と称して人気を誇る焼肉店が増えてきたが(事実、恵比寿カドヤ隣にそのまんまパクッた店も出来たし)
どこもイチボやザブトンなど希少部位を出しており、それ相応に旨い。
でも、牛一頭にこんなにも肉の種類が有り、それぞれがどこの部位でどんな味でどう焼けば一番美味か、などと云う事を実に懇切丁寧にそれも楽しく教えてくれた店は『焼肉ジャンボ』が初めてであった。ご主人は、本当に肉を愛しているのだなぁ。

実は家から歩いてすぐ、白金四の橋商店街の出口の処にも『焼肉ジャンボ』が在るのだ。永く篠崎の店で南原さんの元で修行した二人が出した支店である。篠崎店をようやく訪れる事が出来たので、今度は近所のジャンボに行ってみたいと思う。白金店は場所がら少しだけ高い価格設定だそうだが、まぁ近所には老舗『金龍山』や『きらく亭』と云った名店もあり焼肉激戦区であるし仕方がない。しかし、交通費と時間を考えるとコストパフォーマンスは篠崎まで行くのと一緒かもしれない。
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当分、旨い肉が食べたくなったら『焼肉ジャンボ』だなぁ。そして、肉の愛情に触れたくなったら、篠崎の南原さんに会いに行くとしよう。
by cafegent | 2007-10-22 20:45 | 食べる